Brunnstrom法ステージの検査において、ステージと可能な随意運動の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Brunnstrom法のステージⅤは、共同運動から分離した運動がかなり可能となる段階です。立位で踵を床につけたまま足関節を背屈する運動は、下肢伸展共同運動(股関節伸展、膝関節伸展、足関節底屈)からの分離が必要であり、このステージで獲得される特徴的な能力の一つです。他の選択肢の運動は、示されたステージよりも低い、あるいは高いステージで可能となる運動能力を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 上肢ステージⅡは共同運動が出現し始める段階であり、個別の関節運動は困難です。この運動は共同運動からの分離がかなり進んだステージ(ステージⅤなど)で可能になります。正しくは:上肢ステージⅡでは、肘関節の屈曲または伸展の共同運動が見られ始めます。選びやすい理由:共同運動が始まったばかりのステージでも、単純な回旋運動ならできるのではないかと誤解しやすいかもしれません。混同注意:ステージⅡは共同運動の出現期であり、分離運動の出現期(ステージⅣ以降)とは異なります。
- 2. 上肢ステージⅢは、共同運動が最大限に発揮される段階ですが、共同運動パターン以外での運動は困難です。腕を側方水平位に挙上する(肩関節外転90度、肘関節伸展)という動きは、共同運動パターンから分離した運動能力を必要とします(ステージⅣ以降)。正しくは:上肢ステージⅢでは、肩甲骨挙上、肩関節外転・外旋、肘関節屈曲、前腕回外、手関節屈曲の屈筋共同運動、またはその逆の伸筋共同運動が最大限に発揮されます。選びやすい理由:ステージⅢで運動が強く出現するため、ある程度の自由な動きができると錯覚しやすいかもしれません。混同注意:ステージⅢは共同運動の全盛期であり、協調運動や選択的運動の出現期(ステージⅣ以降)とは異なります。
- 3. 手指ステージⅣでは、共同運動パターンから分離した動きが出現し始めますが、「手指集団伸展が十分にできる」や「多様な握り方ができる」は、より複雑な手指の巧緻性を要求するため、ステージⅤやⅥで可能となる運動です。ステージⅣでは、上肢共同運動と連動せずに一部の関節が動かせるようになる程度です。正しくは:手指ステージⅣでは、手関節背屈位で手指集団屈曲や、MP関節屈曲位でのIP関節伸展などの協調運動が見られますが、完全な分離運動ではありません。選びやすい理由:ステージⅣから分離運動が始まるため、手指の基本的な動きはできると誤解しやすいかもしれません。混同注意:手指ステージⅣは分離運動の初期段階であり、巧緻性の高い運動が可能なステージⅤ・Ⅵとは異なります。
- 4. 正解。下肢ステージⅤでは、共同運動パターンからかなりの分離が進み、比較的難しい分離運動も可能になります。立位で踵を床につけたまま足関節を背屈する動作(足関節単独の背屈運動)は、下肢伸展共同運動(足関節底屈を伴う)からの分離が十分に進んだ状態を示すため、このステージで適切です。正しくは:この記述は正しいです。
- 5. 下肢ステージⅥは、ほとんど正常に近い運動機能に回復した段階であり、あらゆる共同運動からの分離運動が自由自在に可能となります。立位で股関節を伸展したまま膝関節を屈曲する運動は、下肢共同運動からの分離が進んだ状態を示すものの、ステージⅤでも可能となるレベルの運動であり、ステージⅥの特徴的な運動能力を十分に表しているとは言えません。ステージⅥでは、より速く、より複雑な協調運動が可能になります。正しくは:下肢ステージⅥでは、速い速度で多様な運動がスムーズに行え、ほぼ正常に近い協調性が得られます。例えば、片足立ちでのバランス保持や、スムーズな歩行などが可能です。選びやすい理由:ステージⅥは最も回復が進んだ段階なので、どのような運動でもできると考えやすいですが、選択肢の運動はステージⅤでもできるため、ステージⅥの特徴とは断定できません。混同注意:ステージⅤとⅥの区別は、運動の速さや協調性の向上、より高度な運動が可能になる点で評価されます。提示された運動はステージⅤでも可能な範囲です。
国試ポイント
Brunnstrom法における各ステージの定義と、それぞれのステージで可能となる代表的な随意運動を正確に理解しているかが問われる問題です。特に、共同運動パターンから分離した運動能力がどのステージでどの程度可能になるかが重要です。
混同注意
各ステージの運動能力の区別、特にステージⅢ(共同運動全盛期)、ステージⅣ(共同運動からの分離開始)、ステージⅤ(分離運動の進展)、ステージⅥ(ほぼ正常な運動)の違いを混同しやすいです。具体的な運動例とステージを正確に結びつける知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各ステージで可能な特定の運動を、より詳細な肢位や負荷条件と組み合わせて問われる可能性があります。例えば、手指の個々の関節運動がどのステージから可能になるか、または歩行パターンにおける共同運動からの逸脱がどのステージで改善するか、といった応用問題が出題されるかもしれません。
関連知識
Brunnstrom法は、脳卒中片麻痺患者の運動機能回復段階を評価するための代表的な指標です。各ステージの特徴、共同運動パターン(屈筋・伸筋)、および回復の原則(近位から遠位、粗大から微細)を理解することが重要です。また、他の運動機能評価スケール(Fugl-Meyer評価など)との関連性も学習しておくと良いでしょう。