腱板断裂の範囲の把握に最も有用な検査はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
腱板は筋肉と骨を結ぶ軟部組織であり、その断裂の有無や範囲、程度を正確に評価するためには、軟部組織のコントラスト分解能に優れるMRIが最も適しています。MRIは水分の含有量に基づいた信号差を利用して組織を描出するため、腱の損傷や浮腫、変性などを詳細に捉えることが可能です。他の選択肢は、骨の評価や血管系の評価には有用ですが、腱板の軟部組織の損傷を直接的に診断する能力には劣ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腱板は軟部組織であるため、その断裂の有無や範囲を詳細に評価するには、軟部組織の描出に優れるMRIが最も有用です。CTやX線では骨病変は確認できますが、腱板そのものの損傷は評価が困難です。
- 2. 単純CTは骨病変の評価には優れていますが、腱板のような軟部組織の断裂を直接的に評価することは困難です。ただし、広範囲の断裂による脂肪変性や筋萎縮の間接的な評価には役立つことがあります。正しくは:単純CTは骨の形態や石灰化の評価に優れていますが、腱板断裂の直接的な診断にはMRIが優れています。選びやすい理由:骨の構造を詳細に見る検査というイメージから、腱の付着部付近の問題を捉えられるのではないかと誤解することがあります。混同注意:骨折や骨棘といった骨病変の診断と、腱板のような軟部組織の損傷診断を混同しやすいです。
- 3. 血管造影は血管系の異常(狭窄、閉塞、奇形など)を評価する検査であり、腱板の断裂を直接診断する目的では用いられません。正しくは:血管造影は血管の異常を評価する検査であり、腱板断裂の診断には適していません。選びやすい理由:痛みの原因が循環障害にある可能性を連想し、血管造影が関連するのではないかと考える人もいるかもしれません。混同注意:整形外科領域の他の疾患(例:骨壊死の一部)で血管造影が用いられるケースと混同しやすいです。
- 4. 単純エックス線は骨の形態や位置関係、石灰化などを評価する検査であり、腱板の軟部組織の断裂を直接描出することはできません。広範囲の断裂による肩峰と上腕骨頭の間の狭小化を間接的に示唆することはありますが、診断に最も有用とは言えません。正しくは:単純エックス線は骨病変のスクリーニングには有用ですが、腱板断裂の直接的な診断には限界があります。選びやすい理由:最も手軽に行われる画像検査であるため、何らかの情報が得られるだろうと考えてしまいがちです。混同注意:骨折や脱臼など、骨に明らかな異常がある場合の初期診断と、軟部組織の損傷診断を混同しやすいです。
- 5. 骨シンチグラフィーは骨の代謝活性を評価する検査で、骨腫瘍、骨炎症、疲労骨折などの診断に用いられます。腱板の断裂そのものの有無や範囲を診断する目的では使用されません。正しくは:骨シンチグラフィーは骨の代謝異常を検出する検査であり、腱板の軟部組織の断裂には不適切です。選びやすい理由:炎症や損傷によって骨にも二次的な変化が生じることから、関連があるのではないかと考える人もいるかもしれません。混同注意:他の骨疾患(例:骨腫瘍、骨髄炎)の診断と、腱板の軟部組織損傷の診断を混同しやすいです。
国試ポイント
腱板断裂の診断における各画像検査の役割と、それぞれの得意分野を理解しているかが問われています。特に、軟部組織の評価にはどの検査が最も適しているかを正確に把握している必要があります。
混同注意
CTや単純X線も整形外科でよく用いられる画像診断法であるため、それぞれの検査の得意分野(骨・軟部組織)を混同しやすいです。また、血管造影や骨シンチグラフィーのような特殊な検査の適用範囲も理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、まず「何(骨、軟部組織、血管など)を評価したいのか」を明確にし、次に「その評価に最も適した画像診断法は何か」を判断する視点を持つことが重要です。
関連知識
腱板の解剖、腱板機能、腱板断裂の病態、各画像診断モダリティ(MRI、CT、X線、超音波など)の原理と臨床応用、超音波検査も腱板断裂の診断に有用な非侵襲的検査であることを知っておくと良いでしょう。