健常者の歩行で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
遊脚後期は、振り出された下肢が次の初期接地に向けて減速し、足部が適切な位置に配置される準備段階です。この減速により、安定した接地と衝撃の緩和が可能となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者では歩行の安定性を確保するため、歩幅が短くなり、歩隔が広がる傾向があります。そのため、歩行比(歩幅÷歩隔)は小さくなるのが一般的です。正しくは:高齢者の歩行では、一般的に歩行比は減少する。選びやすい理由:高齢者の歩容が若年者と異なるため、何らかの指標が大きくなる、という誤ったイメージを持つ可能性があります。混同注意:歩幅や歩隔の変化、または歩行率(ケイデンス)との混同が生じやすいです。
- 2. 膝関節は、歩行周期の間に主に2回屈曲します。1回目は荷重応答期(初期接地直後)に衝撃を吸収するため、2回目は遊脚期(振り出し期)に下肢を効率的に前方に運ぶためです。正しくは:歩行の1周期において、膝関節は2回屈曲する。選びやすい理由:最も目立つ大きな屈曲運動を1回と捉えてしまう可能性があります。混同注意:膝関節の主な役割である衝撃吸収と振り出し運動における各フェーズでの運動を正確に把握できていないと混同します。
- 3. 股関節の伸展が最大になるのは、通常、立脚後期(踵離地時前後)であり、そこから遊脚期に入るにつれて股関節は屈曲し始めます。爪先離地時には、すでに股関節は屈曲方向へと移行しています。正しくは:踵離地時で股関節伸展は最大となる。選びやすい理由:推進力を得るために股関節が大きく伸展するというイメージから、爪先離地時と結びつけてしまいやすいです。混同注意:股関節の動きと足関節の底屈、膝関節の屈曲/伸展といった下肢全体の関節運動のタイミングが混同しやすいです。
- 4. 荷重応答期は、踵が接地し、衝撃を吸収しながら体重を支え始める段階です。この時、重心はまだ接地側の足部よりやや後方(支持基底面内ではありますが)にあり、完全に足部の直上には移動していません。重心が足部の直上に来るのは、主に立脚中期以降です。正しくは:立脚中期に体重心は足部の直上にある。選びやすい理由:荷重を受け止める時期なので、足の上に重心があるべき、と直感的に考えてしまうことがあります。混同注意:歩行周期における重心の上下左右、前後方向への正確な移動パターンを理解できていないと混同します。
- 5. 正解。遊脚後期は、下肢が前方に振り出された後、次の接地(初期接地)に備えて、その動きを減速させ、適切な位置に足部を配置する段階です。これにより、衝撃を和らげ、安定した接地が可能になります。
国試ポイント
健常歩行における各歩行相の運動学的特徴、特に各関節の動きや重心の移動、下肢の速度変化に関する正確な知識が問われています。歩行周期を詳細に理解しているかが鍵となります。
混同注意
歩行周期における各関節の角度変化、重心の移動方向、各相における下肢の速度変化など、複数の要素が複雑に絡み合うため、細部の知識が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題される場合は、特定の歩行相における特定の筋の活動パターンや、異常歩行との比較、あるいは歩行の運動学・運動力学における具体的な数値(例:重心の移動量、関節角度の範囲)が問われる可能性があります。
関連知識
歩行周期のフェーズ分け(立脚相、遊脚相、各サブフェーズ)、各関節(股関節、膝関節、足関節)の動きと角度変化、重心の上下左右・前後方向への移動パターン、歩行の安定性と効率性を高めるメカニズム。