老化に伴う生理機能の変化で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
加齢に伴い、呼吸筋の筋力低下や胸郭の弾力性低下が生じ、肺の最大呼気能力が減少するため、予備呼気量は低減します。これには残気量の増加も関与しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 加齢に伴い動脈硬化が進展しやすくなるため、血管の弾力性が低下し、血管抵抗は増加します。正しくは:血管抵抗は増加する。選びやすい理由:一見すると、運動量が減ることで血管への負担が減り、抵抗が減少すると誤解するかもしれませんが、実際には血管の構造的変化が優位です。混同注意:若年者の運動による一時的な血管拡張と混同しやすいかもしれません。
- 2. 加齢により肺胞の弾力性が低下し、気道が閉塞しやすくなるため、肺の中に残る空気の量(残気量)は増加します。正しくは:残気量は増加する。選びやすい理由:肺機能全体の低下という漠然としたイメージから、すべての肺容積が減少すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:肺活量や努力肺活量の減少と混同しやすいですが、残気量はそれらとは異なる変化を示します。
- 3. 安静時の心拍出量は加齢による変化が少ないか、わずかに減少傾向にあります。最大心拍出量は心臓の収縮力や心拍数の低下により減少します。正しくは:心拍出量は減少する。選びやすい理由:血圧の上昇と関連付けて、心臓がより多く血液を送り出している、つまり心拍出量が増加していると誤解する可能性があります。混同注意:若年者の運動時の心拍出量の増加と、高齢者の安静時・最大心拍出量の変化を混同しやすいです。
- 4. 加齢に伴い胸郭や肺の弾力性が低下し、肺を最大限に膨らませたり縮めたりする能力が衰えるため、肺活量は減少します。正しくは:肺活量は減少する。選びやすい理由:深呼吸の能力が維持されると思いがちですが、胸郭の柔軟性や呼吸筋の機能低下が影響します。混同注意:一回換気量(通常の呼吸量)と混同しやすいですが、肺活量は最大吸気から最大呼気までの量です。
- 5. 正解。加齢により呼吸筋の機能が低下し、胸郭の柔軟性も失われるため、通常の呼気後さらに吐き出せる空気の量(予備呼気量)は減少します。これは残気量の増加と関連しています。選びやすい理由:他の呼吸機能の減少傾向と同様に、予備呼気量も減少するという共通のパターンを認識できれば正答にたどり着きやすいです。
国試ポイント
この問題は、高齢者の生理機能変化に関する基本的な知識を問うものです。特に心血管系と呼吸器系の加齢性変化は頻出テーマであり、各指標がどのように変化するかを正確に理解しているかが重要です。それぞれの項目が『増加』するのか『減少』するのかを明確に覚える必要があります。
混同注意
各生理機能の変化方向(増加/減少)が逆になる選択肢が頻繁に作られるため、混同しやすいです。例えば、残気量と肺活量、心拍出量と血管抵抗など、関連する指標であっても変化方向が異なるものに注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、今回は呼吸器系と心血管系が中心でしたが、腎機能や消化器系、筋骨格系の加齢性変化についても同様に増加/減少の方向性を問われる可能性があります。また、具体的な数値や疾患との関連を問う応用問題も考えられます。
関連知識
心血管系:心拍数(最大)減少、心拍出量(最大)減少、血管抵抗増加、血圧上昇。呼吸器系:肺活量減少、残気量増加、努力肺活量減少、呼吸筋力低下。腎機能:腎血流量減少、糸球体ろ過量(GFR)減少。消化器系:消化管運動低下、吸収能力低下。骨・筋:骨密度低下、筋量・筋力低下。