人工透析患者の死亡原因として最も多いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
人工透析患者は、腎臓の機能障害によって引き起こされる高血圧、貧血、電解質異常、体液貯留、動脈硬化の進行、心筋症など、心臓に大きな負担がかかる状態にあります。これらの要因が複合的に作用し、心不全をはじめとする心血管系疾患が圧倒的に主要な死亡原因となっています。具体的な統計データでも、心不全が透析患者の死因の約3割から4割を占めることが示されており、最も多い死因として認識されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺炎も透析患者において問題となる合併症ですが、主要な死因の中では心疾患に比べ頻度は低いです。正しくは:肺炎は人工透析患者の主要な死因の一つではあるものの、最も多いわけではない。選びやすい理由:免疫力の低下や誤嚥リスクから、肺炎は透析患者に多く見られるため、選択肢として選びやすい。混同注意:感染症全般のリスク増大と誤解されやすい。
- 2. 正解。人工透析患者は、高血圧、動脈硬化、心肥大、貧血、電解質異常、体液過剰など、心臓に負担をかける様々な要因を抱えており、心血管系合併症、特に心不全が最も多い死因となります。
- 3. 脳出血は透析患者に見られる合併症の一つですが、死因として心不全ほど多くはありません。正しくは:脳血管疾患も人工透析患者に多いが、心血管疾患に次ぐ。選びやすい理由:透析患者は高血圧を合併しやすく、脳卒中のリスクが高いため、選びやすい。混同注意:脳卒中全体の発生率の高さと、特定の死因としての頻度を混同しやすい。
- 4. 悪性腫瘍も透析患者の死因の一つですが、心血管疾患と比較すると頻度は低いです。しかし、透析期間が長くなるとリスクが上昇する傾向にあります。正しくは:悪性腫瘍は透析患者の死因の割合を占めるが、心不全が最も多いわけではない。選びやすい理由:高齢化や免疫機能の変化により、悪性腫瘍の発生率も増加するため、選択肢として選びやすい。混同注意:透析患者における合併症全体のリスクと、直接的な死因の順位を混同しやすい。
- 5. 慢性肝炎自体が直接の主要な死因となることは稀です。肝疾患が進行した場合でも、心血管疾患が主な死因となるケースが多いです。正しくは:慢性肝炎は透析患者の死因として一般的ではなく、最も多いものではない。選びやすい理由:腎不全と肝不全が関連する病態もあるため、選びやすい可能性はある。混同注意:他の内臓疾患との関連性を過度に評価してしまう可能性がある。
国試ポイント
この問題は、人工透析患者の予後と最も関連の深い合併症、特に主要な死因に関する基本的な知識を問うものです。透析患者の病態生理を理解し、OTとして介入する上で、生命予後に最も影響を与える因子が何かを把握しているかが重要です。複数の合併症がある中で、どの疾患が最も危険であるかを特定できる能力が求められます。
混同注意
肺炎や脳出血なども透析患者によく見られる合併症であり、死因ともなり得るため混同しやすいですが、頻度において心不全が圧倒的に多い点を正確に理解しているかが鍵となります。
次に同じ論点が出たら
この論点に関して次に問われる場合、具体的な心血管合併症の種類(虚血性心疾患、弁膜症、心筋症など)や、それらの発症機序、あるいはそれらの合併症に対するOTとしての具体的な評価・介入方法が問われる可能性があります。また、透析患者の生命予後を改善するための多職種連携についても問われることが考えられます。
関連知識
人工透析患者の合併症(心血管疾患、脳血管疾患、感染症、悪性腫瘍、骨・関節疾患、神経疾患など)、透析の種類とそれぞれの特徴(血液透析、腹膜透析)、透析患者のリハビリテーションにおける留意点。