作業療法に関する歴史について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高木憲次は、肢体不自由児の治療、教育、福祉を統合した「療育」の概念を提唱し、その実践を体系化しました。彼は肢体不自由児の保護と育成に生涯を捧げ、日本の肢体不自由児支援の基盤を築いた人物として高く評価されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 呉秀三は日本の精神医学の父と称され、精神障害者の開放処遇や作業療法を推進しましたが、認知行動療法は提唱していません。認知行動療法は20世紀中頃に欧米で発展した治療法です。正しくは:呉秀三は、日本の精神医療の近代化に貢献し、精神科病院における作業療法の導入を推進しました。選びやすい理由:精神科領域の偉人なので、何かしらの治療法を開発したと誤解しやすいかもしれません。混同注意:日本の精神医学史における他の人物や、精神療法全般の歴史と混同しやすいです。
- 2. Adolf Meyerは精神科医であり、作業療法の哲学的基盤を築いた人物として知られていますが、感覚統合療法を提唱したのはA. Jean Ayresです。正しくは:A. Meyerは、作業療法を「生活の習慣付け」と捉え、精神科領域における作業療法の基礎概念を提唱しました。選びやすい理由:作業療法の創始者の一人であるため、有名な治療法と関連付けてしまいがちです。混同注意:作業療法の創始者たち(Dunton, Bartonなど)と、その後に発展した具体的な治療法(Ayresの感覚統合療法など)の区別が曖昧だと間違えやすいです。
- 3. 加藤普佐次郎は日本の近代作業療法の黎明期に活動した人物ですが、主に精神科領域での作業療法実践に尽力しました。結核患者の作業療法に貢献したのは、特に石橋初子らが知られています。正しくは:加藤普佐次郎は、日本の精神科領域で作業療法を実践し、その普及に貢献しました。選びやすい理由:日本の作業療法史における重要人物であるため、他の疾患領域での貢献も大きいと誤解してしまう可能性があります。混同注意:日本の作業療法における他のパイオニア(石橋初子、加藤泰造など)との功績の区別が曖昧だと間違えやすいです。
- 4. 正解。高木憲次は、肢体不自由児の医療・教育・福祉を統合した療育システムを日本で確立した、整形外科医であり教育者です。彼が創設した日本肢体不自由児協会は、現在の肢体不自由児の療育の礎となっています。正しくは:正しい記述です。
- 5. William Rush Dunton Jr.は「作業療法の父」と呼ばれ、作業療法の普及と精神科領域での実践に尽力しましたが、彼自身が精神力動的作業療法理論を提唱したわけではありません。精神力動的作業療法は、フロイトの精神分析理論を作業療法に応用したもので、Duntonの時代より後に発展しました。正しくは:W. Duntonは、作業療法の原理を提唱し、精神科医療における作業療法実践の初期の発展に大きく貢献しました。選びやすい理由:Duntonが精神科医であり、作業療法の創始者であるため、精神科領域の様々な理論と結びつけてしまいがちです。混同注意:作業療法の創始者と、その後に発展した多様な治療モデルや理論(行動モデル、認知モデル、精神力動モデルなど)の提唱者を混同しやすいです。
国試ポイント
作業療法の歴史における主要人物とその功績について、正確な知識が問われています。特に、日本の作業療法史における重要人物、および海外の創始者たちの功績について、誰が何を提唱・実践したのかを明確に区別できる必要があります。各人物が関わった疾患領域や具体的なアプローチに注意が必要です。
混同注意
作業療法の創始者、日本の精神科医療の先駆者、特定の治療法の提唱者がそれぞれ誰であるか、またその貢献内容を混同しやすいです。例えば、DuntonとMeyer、AyresとMeyer、呉秀三と加藤普佐次郎といった人物と、彼らが関わった分野や提唱した概念を正確に結びつけることが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、各人物が『どの分野で』『どのようなアプローチや概念を』提唱・実践したのか、という点に焦点を当てて確認します。特に「〇〇の父」や「〇〇療法の提唱者」といったキーワードと人物名を正確に結びつけられるかが重要です。
関連知識
・ウィリアム・ラッシュ・ダントン・ジュニア(W.R. Dunton Jr.):『作業療法の父』、精神科医。・アドルフ・マイヤー(A. Meyer):作業療法の哲学的な基礎を築く。・A.ジーン・エアー(A. Jean Ayres):感覚統合療法の提唱者。・呉秀三:日本の精神医学の父。精神障害者への人道的な処遇と作業療法の導入を推進。・加藤普佐次郎:日本の作業療法の黎明期における精神科領域での実践者。・石橋初子:結核療養所における作業療法の発展に貢献。