嚥下造影検査の嚥下反射終了後の静止画像(別冊No. 1)を別に示す。咳反射はない。認める所見はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
別冊No.1の嚥下造影検査画像では、造影剤が気管内へ流入しているのが明瞭に確認できるため、「誤嚥」が認められる所見です。設問に「咳反射はない」とあることから、不顕性誤嚥の状態であると考えられます。他の選択肢は、画像から直接的に確認できる所見とは一致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。別冊No.1の画像では、造影剤が気管内に流入している様子が確認できます。これは誤嚥の直接的な所見です。設問で「咳反射はない」とされているため、不顕性誤嚥である可能性が高いです。正しくは:この選択肢は画像所見と一致するため修正不要です。選びやすい理由:嚥下造影検査の目的の一つが誤嚥の有無を確認することであり、画像で気管内の造影剤が明確に見えるため、判断しやすいです。混同注意:声門閉鎖が不十分な場合や、嚥下機能の低下がある場合に誤嚥が発生するため、他の選択肢と混同する可能性もありますが、直接的な所見は誤嚥です。
- 2. 別冊No.1の画像では、造影剤が気管内に入り込んでいるのが確認できるため、嚥下時の声門閉鎖が適切に行われていないと判断されます。もし声門閉鎖が適切であれば、造影剤が気管内に流入することはありません。正しくは:「声門閉鎖不全」または「声門閉鎖不十分」が正しい記述です。選びやすい理由:嚥下反射が終了した後の画像であるため、正常な嚥下では声門閉鎖は一時的に起こり、その後開大しますが、気管内への流入が見られる時点で、嚥下時の適切な声門閉鎖が不十分であったことを示唆します。混同注意:誤嚥があるということは、声門閉鎖が完全でなかったことを意味しますが、選択肢「声門閉鎖」は、閉鎖が認められるかのような印象を与えるため、不適切です。
- 3. 頸椎の生理的弯曲は前弯ですが、嚥下造影検査の静止画像から特異的な頸椎前弯の異常や嚥下との直接的な関係をこの画像だけで読み取ることは困難です。嚥下姿勢の評価には関連しますが、画像における主要な異常所見ではありません。正しくは:「頸椎の異常なアライメント」といった所見であれば、姿勢と関連する可能性がありますが、この画像から具体的な異常は読み取れません。選びやすい理由:姿勢は嚥下機能に影響を与えるため、頸椎の形状に関心が向くかもしれませんが、直接的な異常所見としては適切ではありません。混同注意:嚥下時の頭頸部姿勢は重要ですが、この画像で「頸椎前弯」という所見が直接的に、かつ異常を示すものとして識別できるわけではありません。
- 4. 別冊No.1の画像は嚥下反射終了後の静止画像ですが、口腔内に造影剤が残存している様子は明確には確認できません。主に咽頭および気管内の所見が目立ちます。口腔内残留があれば、それは別の問題として捉えられます。正しくは:画像からは口腔内残留の所見は読み取れません。もし口腔内に造影剤が残っていれば「口腔内残留あり」と判断されます。選びやすい理由:嚥下障害の所見として口腔内残留はよく見られるため、選択肢として注意を引きますが、この画像では確認できません。混同注意:咽頭残留と混同する可能性もありますが、口腔と咽頭は異なる部位です。画像で明確な口腔内残留は見られないため誤りです。
- 5. 嚥下反射終了後の静止画像において、食道入口部が持続的に開大していることは通常ありません。嚥下時には一時的に開大しますが、嚥下反射終了後は通常閉鎖します。画像では食道入口部の持続的な開大の所見は確認できません。正しくは:嚥下反射終了後の食道入口部は閉鎖しているのが一般的であり、持続的な開大はむしろ異常所見となりえますが、この画像でその所見は確認できません。選びやすい理由:嚥下機能には食道入口部の開大が不可欠であるため、この部分に注目する受験者もいるかもしれませんが、画像では異常な開大は見られません。混同注意:食道入口部の機能不全は嚥下障害の原因となりえますが、この画像で嚥下反射終了後に異常な開大が確認されるわけではありません。
国試ポイント
嚥下造影検査(VF)の基本的な画像読影能力が問われています。特に、誤嚥の有無を判断できることが重要です。気管内への造影剤の流入は誤嚥の直接的な証拠となります。また、嚥下反射終了後の「静止画像」である点もポイントです。
混同注意
嚥下障害に伴う様々な所見(咽頭残留、声門閉鎖不全など)が選択肢に含まれており、直接的な所見と間接的な所見、あるいは画像で明確に確認できない所見を区別する能力が問われます。
次に同じ論点が出たら
誤嚥が確認された場合、誤嚥の原因(声門閉鎖不全、咽頭収縮力低下など)をさらに詳細に評価し、適切な嚥下指導やリハビリテーションプランを立案する必要があります。
関連知識
嚥下造影検査の各フェーズ(口腔期、咽頭期、食道期)における正常像と異常像、誤嚥の種類(顕性誤嚥、不顕性誤嚥)、誤嚥のメカニズム、嚥下障害の評価方法、嚥下リハビリテーションの基礎知識。