てんかんに伴う精神症状として適切でないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
疾病利得は、病気であることによって得られる心理的・社会的利益を指す概念であり、主に身体表現性障害やヒステリー、神経症などで使われる用語です。てんかんそのものに直接伴う精神症状とは分類されません。一方、粘着性、爆発性、不機嫌状態、もうろう状態は、てんかん患者が経験する可能性のある具体的な精神症状や意識状態として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. てんかん、特に側頭葉てんかん患者の一部に見られる特性で、考えや感情の切り替えが困難になったり、会話が冗長になることがあります。これはてんかんに伴う精神症状として適切です。正しくは:これはてんかんに伴う精神症状として適切である。選びやすい理由:てんかんの精神症状としてはあまり一般的ではないと感じるかもしれないが、粘着性はてんかん性格(てんかんパーソナリティ)の特徴の一つとして知られている。混同注意:他の精神疾患の症状と混同しやすいかもしれないが、粘着性はてんかん患者に見られる具体的な症状である。
- 2. 突然の激しい感情の outburst で、特に感情の抑制が難しくなるてんかん患者に見られることがあります。これもてんかんに伴う精神症状として適切です。正しくは:これはてんかんに伴う精神症状として適切である。選びやすい理由:感情の爆発的な表出は様々な精神疾患でみられるため、てんかん特有ではないと考えるかもしれない。混同注意:衝動性や易刺激性といった他の精神症状と混同しやすいが、てんかんにおける爆発性は、特に焦点てんかん(側頭葉てんかん)の行動面での症状として認識されている。
- 3. 正解。疾病利得(primary gain, secondary gain)は、身体表現性障害やヒステリー反応、神経症などにおいて、疾病状態にあることによって得られる心理的・社会的な利益を指す概念であり、てんかんそのものに直接的に伴う精神症状ではありません。てんかんの発作や病状から「得られるもの」があるとしても、それはてんかんの精神症状というよりも、病状に対する心理的反応や環境要因に起因するものです。正しくは:疾病利得は、身体表現性障害や神経症など、別の精神病理学的概念であり、てんかんの精神症状としては直接的に扱われない。選びやすい理由:てんかん患者が病気から何らかの利得を得る可能性はゼロではないため、症状の一つとして捉えてしまうかもしれない。しかし、これは症状そのものではなく、病気に関連する心理的・社会的な側面である。混同注意:てんかんの『精神症状』と、病気に関連する『心理社会的な反応』を混同しやすい。疾病利得は後者に分類される。
- 4. てんかん患者、特に間欠期(発作のない期間)に、理由なく不機嫌になったり、易刺激性を示すことがあります。これもてんかんに伴う精神症状として適切です。正しくは:これはてんかんに伴う精神症状として適切である。選びやすい理由:不機嫌は誰でも経験する感情であり、てんかん特有ではないと考えるかもしれない。しかし、てんかん患者においては病状に関連した特定のパターンで現れることがある。混同注意:気分障害の症状と混同しやすいが、てんかんにおける不機嫌状態は、発作前後や間欠期に特異的に出現しうる症状である。
- 5. てんかん発作の後、意識が混濁し、時間や場所の見当識が障害され、意識がはっきりしない状態が続くことがあります。これはてんかん発作後の精神症状として適切です。正しくは:これはてんかんに伴う精神症状として適切である。選びやすい理由:意識障害の一種であり、単なる発作の余韻と捉えられがちだが、これは精神症状の一部と見なされる。混同注意:せん妄や他の意識障害と混同しやすいが、てんかんにおけるもうろう状態は、発作前後に特徴的に出現する意識変容である。
国試ポイント
てんかんに伴う精神症状に関する知識が問われています。てんかん性格(てんかんパーソナリティ)や発作後の意識状態、間欠期の行動特性など、てんかんに関連する精神症状の具体的な内容を正確に理解しているかが鍵となります。また、他の精神疾患で用いられる用語との区別も重要です。
混同注意
てんかんの『精神症状』と、病気によって引き起こされる『心理社会的影響』や『他の精神疾患の概念』が混同しやすい。特に、疾病利得は精神医学の広範な知識の中で位置づけられる概念であるため、てんかん固有の症状と誤解されやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、てんかんに関連する精神症状と、他の精神疾患で用いられる特定の精神医学的用語(例:解離、転換、強迫観念など)との区別を問われる可能性が高い。また、各症状がてんかんのどのタイプ(例:側頭葉てんかん)やどの病期(発作前、発作中、発作後、間欠期)に現れやすいかまで問われる可能性もある。
関連知識
てんかん性格(粘着性、几帳面、固執性、爆発性)、てんかん発作後もうろう状態、てんかん精神病、てんかんにおける気分障害、不安障害。また、身体表現性障害における疾病利得(一次利得、二次利得)の概念も重要。