関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準)で、図の基本軸・移動軸・測定肢位が規定どおりなのは、2(指外転)と5(足部外転)です(公式正答2・5)。1・3・4は、基本軸や移動軸のとり方または測定肢位が規定と異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 母指橈側外転の測定として、図の基本軸・移動軸のとり方が規定と異なります。正しくは:この患者は両手でボールペンを保持できるため、レベル1よりも高い機能を有すると考えられる。選びやすい理由:頸髄損傷患者であることから重度の機能障害を想定しやすいが、具体的な動作能力とレベルを照らし合わせる必要がある。混同注意:Zancolli分類の最も低いレベル(0または1)と、それより高いレベルの機能的差異。
- 2. 正解。指外転の測定として、図の測定方法は規定どおりです。選びやすい理由:レベル2は手関節背屈機能のみで指伸筋機能がないため、両手でボールペンを保持する様子からは、手関節の背屈機能はあるが、指の随意的な伸展や屈曲が不十分な状態を示唆しており、レベル3との境界が混同されやすい。混同注意:Zancolli分類レベル2とレベル3の機能的境界、特に指の伸展機能の有無と、腱作用による把持と手術による把持の違い。
- 3. 胸腰部屈曲の測定として、図の基本軸・移動軸のとり方が規定と異なります。選びやすい理由:レベル3は通常、指伸筋機能がない状態で腱移行術が行われた場合に該当するが、問題文の患者が手術を受けているかは不明である。しかし、手関節背屈機能があることと、両手で保持して筆記動作が可能であることから、レベル2よりも進んだ機能を示す可能性があるため。混同注意:Zancolli分類レベル2とレベル3の機能的境界。レベル2は手関節背屈筋の機能のみ、レベル3はそれに加えて手術的介入(腱移行術)によって指の把持が可能になるという点で区別される。
- 4. 股関節屈曲の測定として、図の測定肢位または軸のとり方が規定と異なります。正しくは:この患者は両手でボールペンを保持するため、レベル4の機能は過剰に評価している。選びやすい理由:指の屈曲拘縮があるため、指伸筋の機能残存を期待しにくいが、他のレベルとの機能的な差異を明確に理解していないと選択しやすい。混同注意:Zancolli分類レベル3とレベル4の機能的境界、特に指伸筋の機能残存の有無。
- 5. 正解。足部外転の測定として、図の基本軸・移動軸のとり方は規定どおりです。正しくは:この患者は両手でボールペンを保持するため、レベル5の機能は過剰に評価している。選びやすい理由:機能回復を期待して高めのレベルを選択してしまう可能性があるが、具体的な動作能力とZancolli分類の定義を照らし合わせる必要がある。混同注意:Zancolli分類レベル4とレベル5の機能的境界、特に固有指伸筋と総指伸筋の機能残存の違い。
国試ポイント
Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類の各レベルと、その特徴的な残存筋機能、遂行可能な動作を理解しているか。
混同注意
Zancolli分類と国際脊髄損傷学会(ASIA)の機能分類は、どちらも脊髄損傷患者の機能評価に用いられるが、Zancolliは上肢機能に特化している点が異なる。また、各レベルの機能的定義を曖昧に理解していると混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
頸髄損傷患者の上肢機能に関する問題が出題された際は、まず残存している筋力や関節可動域制限、および日常動作における具体的な動作能力(特に手指の把持、つまみ動作の可否)に注目する。特に、手関節背屈の有無と手指の伸展・屈曲機能の程度がZancolli分類の判断基準となる。
関連知識
Zancolli分類は頸髄損傷後の上肢機能を0〜VIIIの9段階で評価する。レベル0は上肢機能全廃、レベルIは三角筋・上腕二頭筋のみ、レベルIIは手関節背屈可能、レベルIIIは手関節背屈可能で指伸筋機能なし(手術で把持可能)、レベルIVは固有指伸筋以外の指伸筋機能あり、レベルVは固有指伸筋機能あり、レベルVIは短母指外転筋・短母指屈筋機能あり、レベルVIIは全指・手内在筋機能あり(対立は不十分)、レベルVIIIは全上肢機能完全回復。