快適歩行から速度を速めた際の変化で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
歩行速度を快適歩行から速めた場合、歩行周期全体が短縮されます。この短縮の主な要因は、片方の足が地面に接している時間である立脚相の短縮です。これにより、片足支持の時間や両足支持の時間が減少します。また、一般的に歩幅や歩調(ケイデンス)、各関節の運動範囲(ROM)は増加します。
選択肢ごとの解説
- 1. 歩行速度を上げると、通常は歩幅が長くなります。これは、より大きな推進力を得るため、また速い移動速度に対応するためです。正しくは:歩行速度を上げると、歩幅は増加します。選びやすい理由:ゆっくり歩く時の方が、一歩一歩を丁寧に踏み出すイメージから、速度が上がると逆に歩幅を縮めるのではと誤解する可能性があります。混同注意:歩調(ケイデンス)の増加と混同しやすい。歩調は増加するが、歩幅も増加する。
- 2. 歩行速度が増すと、通常は重心の上下動はわずかに増加するか、少なくとも減少することはありません。速度が増すことで、より大きな推進力が必要となり、それに伴い重心の移動も大きくなる傾向があります。正しくは:歩行速度を上げても、重心の上下動は減少するとは限りません。むしろ、わずかに増加するか、ほぼ一定に保たれることが多いです。選びやすい理由:効率的な歩行では重心動揺が少ないというイメージから、速度が上がると効率を求めて上下動が減少するのではと考えるかもしれません。混同注意:左右の重心動揺の減少とは異なる。また、走行時と比較して、歩行における重心上下動の変化は複雑です。
- 3. 正解。歩行速度が増加すると、全体的な歩行周期が短縮されます。この短縮は主に、地面に足が接地している立脚相の時間の短縮によって達成されます。相対的に遊脚相の割合が増加します。選びやすい理由:この選択肢は直接的に速度増加と周期短縮の関係を示しており、迷う要素が少ないため正答を選びやすいです。
- 4. 歩行速度が増加すると、より大きな推進力と大きな歩幅を得るために、股関節の運動範囲(屈曲・伸展)は増加する傾向にあります。特に、遊脚相初期の股関節屈曲は大きくなります。正しくは:歩行速度を上げると、股関節の屈曲角度は増加します。選びやすい理由:速度が上がると動きが小さくなるという誤ったイメージや、特定の相でのみ考えてしまうと間違える可能性があります。混同注意:快適歩行での関節角度と、速度を上げた際の変化を混同しやすい。快適歩行では効率的な運動を行うが、速度を上げるとその効率を越えて可動域を拡大することが多い。
- 5. 歩行速度が増加すると、通常は体幹の回旋運動は増加します。これは、四肢の振り出しと連動してバランスを保ち、効率的な推進力を生み出すために必要な動きだからです。正しくは:歩行速度を上げると、体幹の水平面内回旋運動は増加します。選びやすい理由:無駄な動きをなくすことで速度を上げるという考えから、回旋運動が減少すると誤解する可能性があります。しかし、歩行における体幹の回旋はむしろ効率的な運動の一部です。混同注意:体幹の安定性と混同しやすい。安定性を保ちつつ、より大きな動きを生み出すために回旋が増加します。
国試ポイント
歩行の基本原則と、速度変化が歩行周期や各相、関節運動に与える影響について理解しているかを問う問題です。各選択肢の変化方向(増加/減少)を正確に把握することが重要です。
混同注意
歩行速度を上げた際の『増加』と『減少』の判断を混同しやすいです。特に、歩幅・歩調・立脚相時間・関節ROMの変化は重要なポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、歩行速度変化だけでなく、疾患や加齢によって歩行がどう変化するか(例:パーキンソン病での小刻み歩行、高齢者での歩幅減少・二重支持期延長など)も確認することが求められます。
関連知識
歩行周期の各相(立脚相、遊脚相、二重支持期、単一支持期)、歩行率(ケイデンス)、歩幅、歩長、重心動揺。これらの要素が歩行速度によってどのように変化するかを理解している必要があります。特に、疾走(ランニング)では二重支持期がなくなり、両遊脚期が出現する点も関連知識として重要です。