注意欠如・多動性障害について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ADHDの症状は年齢とともに変化する特徴があります。特に運動性の多動は、乳幼児期や学童期に顕著に現れますが、青年期以降になると、その表現はより内面化され、外から見て明らかな多動は減少する傾向にあります。代わりに、心の中の落ち着きのなさやそわそわ感、多弁といった形で現れることが多いです。したがって、青年期以降に運動性多動が目立たなくなるという記述は正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. ADHDは男性に多く、男女比は約3:1〜5:1と報告されています。正しくは:ADHDは一般的に男性に多く見られます。選びやすい理由:特定の精神疾患において性差があることは事実なので、一見正しいかのように思わせるかもしれません。混同注意:他の疾患(例:うつ病、摂食障害など)で女性に多いものと混同する可能性があります。
- 2. 低出生体重はADHDのリスク因子の一つですが、ほとんどが発症するわけではありません。多くのリスク因子の一つに過ぎず、必ずしもADHDに繋がるわけではありません。正しくは:低出生体重はADHDの発症リスクを高める要因の一つです。選びやすい理由:低出生体重が発達障害のリスク因子であることは知られているため、関連性があることから正しい選択肢だと誤解する可能性があります。混同注意:低出生体重が発達リスクを高めるという一般的な知識と、ADHDの発症がほぼ確実であるかのように誤って解釈するかもしれません。
- 3. 感情の衝動性、特に不適切な感情爆発やイライラは、ADHDの特性として成人期まで持続しやすく、改善が難しい症状の一つとされています。正しくは:感情の衝動性は、ADHDにおいて成人期まで持続しやすく、改善が難しい場合があります。選びやすい理由:小児期の問題行動は成長とともに自然に改善するという一般的な期待があるため、正しい選択肢だと感じるかもしれません。混同注意:単なる子どものわがままや未熟さと、ADHDに起因する感情調整の困難さを混同する可能性があります。
- 4. ADHDは成人期まで持続することが多く、約3分の2が成人期まで症状の一部または全てが残存すると言われています。完全寛解に至るのは約15%程度とされています。正しくは:ADHDは成人期まで症状が持続することが多く、完全に寛解するのは少数派です。選びやすい理由:成長に伴い症状が軽減する傾向があることは事実であるため、その程度を過大評価してしまいがちです。混同注意:症状の軽快と完全な寛解を混同する可能性があります。また、DSM-5の診断基準で成人期に症状基準を満たさなくなるケースと、症状が生活に支障をきたさないレベルになることを混同するかもしれません。
- 5. 正解。ADHDの運動性多動(じっとしていられない、走り回るなど)は、一般的に加齢と共に減少・内面化し、青年期以降は落ち着きのなさやそわそわ感といった形で現れることが多くなります。表面的な多動は目立たなくなる傾向があります。正しくは:この記述は正しいです。混同注意:青年期以降も他のADHD症状(不注意や衝動性など)が持続するため、多動性自体が完全に消失すると誤解するかもしれません。
国試ポイント
ADHDの疫学、病因、症状の経年変化、予後に関する正確な知識が問われています。特に、症状が年齢とともにどのように変化するか、特に多動性の変化はよく出題されるポイントです。
混同注意
ADHDの症状が完全に消失すること(寛解)と、症状の現れ方が変化すること(症状の形態変化)が混同されやすいです。また、ADHDの主要な症状である不注意、多動、衝動性のどれが加齢で改善しやすいか、あるいは持続しやすいかという点も混乱しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、ADHDの症状が成人期にどのように持続・変化するのか、特に不注意と衝動性の症状が成人期にもたらす影響や、併存疾患との関連性が問われる可能性があります。また、治療的介入が各症状にどのような影響を与えるかも重要です。
関連知識
ADHDの診断基準(DSM-5)、小児期と成人期の診断の違い、併存症(学習障害、不安障害、気分障害など)、治療法(薬物療法、行動療法、環境調整)、低出生体重や周産期の問題が発達障害のリスク因子となること。