入院患者のせん妄発症を予防するための取り組みとして適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
せん妄予防には、身体的・精神的な要因への介入と環境調整が重要です。選択肢1の処方内容の確認は、せん妄の原因となりうる薬剤(向精神薬、睡眠薬、抗コリン薬など)を評価し、必要に応じて調整することで、薬剤起因性のせん妄を予防します。選択肢5の見当識を保つための時計の配置は、環境からの情報提供を促し、時間や場所の混乱を防ぐことでせん妄のリスクを低減します。これらはせん妄予防の基本的な介入として広く認識されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。せん妄の原因となる薬剤(向精神薬、睡眠薬、抗コリン薬など)が多く存在するため、処方内容を定期的に確認し、必要に応じて見直すことはせん妄予防に重要です。
- 2. 家族との面会は、患者さんの精神的な安定や現実検討能力の維持に寄与し、せん妄のリスクを低減する効果が期待されます。面会を謝絶することは、かえってせん妄を誘発する可能性があります。正しくは:家族との面会を促進し、患者さんが安心して過ごせる環境を整える。選びやすい理由:感染症予防などの観点から面会制限が必要な場合もあるが、せん妄予防においては原則として家族との交流が推奨されるため、誤り。混同注意:感染対策とせん妄予防の区別。
- 3. 環境の変化はせん妄の誘因となるため、病室の頻繁な移動は患者さんの混乱を招き、せん妄発症のリスクを高めます。可能な限り環境の変化を最小限に抑えるべきです。正しくは:病室の移動は必要最小限にとどめ、環境の変化による負担を軽減する。選びやすい理由:特に無し。環境の変化を嫌うという一般常識と合致するため、選びにくい選択肢。混同注意:環境の変化が必ずしも悪いとは限らないという誤解(せん妄予防においては避けるべき)。
- 4. 多職種連携は、患者さんの状態を多角的に把握し、せん妄のリスク因子を早期に発見・介入するために不可欠です。職種間の情報共有や協働は、せん妄予防の効果を高めます。正しくは:多職種で積極的に連携し、患者さんの情報を共有しながらせん妄予防に取り組む。選びやすい理由:スタッフの交代が多いと患者さんが混乱するという誤解があるかもしれないが、情報共有が適切に行われていれば問題ない。混同注意:担当者が頻繁に変わることと多職種連携を混同している可能性。
- 5. 正解。時計やカレンダーを患者さんに見える位置に置くことで、時間や日付の感覚を保ち、見当識障害の予防に繋がります。これはせん妄予防のための環境調整の重要な要素です。
国試ポイント
せん妄の予防策に関する基本的な知識、特に薬剤管理と環境調整の重要性が問われています。ネガティブな介入(謝絶、増やす、避ける)が誤りであることを明確に判断できるかどうかも試されます。
混同注意
せん妄予防と直接関係のない、病院運営上の制約(感染対策など)や、一見患者のためになりそうな誤った介入(環境変化を避けることと病室移動を避けることの区別)で迷う可能性があります。
次に同じ論点が出たら
せん妄の予防策について問われた場合、薬剤管理、環境調整(見当識保持、騒音・光の調整)、身体的介入(脱水・栄養・疼痛管理)、精神的介入(安心感、家族の関与)の観点から選択肢を吟味する。
関連知識
せん妄のリスク因子(高齢、認知症、脱水、感染症、疼痛、多剤併用、手術、環境変化など)、せん妄の症状(意識混濁、見当識障害、精神運動興奮/抑制、幻覚・妄想など)、せん妄に対する看護・リハビリテーション介入(身体拘束の回避、日中の活動、夜間の睡眠確保、脱水・栄養管理、排泄管理、感覚調整など)。