タイプⅡ筋線維と比較した場合のタイプⅠ筋線維の特徴はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
タイプI筋線維は、遅筋線維とも呼ばれ、持続的な収縮に適した特性を持ちます。これは、ミトコンドリアやミオグロビンが豊富で酸化酵素活性が高いことによる高い持久力に支えられています。しかし、筋線維径が細いことに加え、単一の筋線維あたりの筋原線維が少ないため、単位筋線維あたりの最大の張力発生能力はタイプII筋線維と比較して低いという特徴があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。タイプI筋線維(遅筋線維)は、筋線維の直径が細く、タイプII筋線維(速筋線維)と比較して筋原線維の数が少ないため、瞬間的に発生させられる最大の張力は小さいです。持久的な活動に適しています。
- 2. タイプI筋線維は、タイプII筋線維(特にタイプIIb/IIx)と比較して筋線維の直径が細いです。細い筋線維は酸素や栄養素が供給されやすく、持久性に優れます。正しくは:筋線維自体の太さが小さい。選びやすい理由:筋線維が太い方が強い力を出せるというイメージから、活動的な筋線維は太いと誤解しやすいかもしれません。混同注意:タイプII筋線維は筋線維径が太く、より大きな張力を発生させることが可能です。
- 3. タイプI筋線維は「遅筋・酸化線維」とも呼ばれ、好気的な代謝経路(酸化リン酸化)を主なエネルギー源とします。そのため、クエン酸回路や電子伝達系に関わる酸化酵素(例:コハク酸デヒドロゲナーゼなど)の活性が高いです。正しくは:酸化的なエネルギー産生に関わる酵素の活動性が高い。選びやすい理由:速筋の瞬発的なイメージから、遅筋は全体的に代謝が低いと錯覚することがあります。混同注意:タイプII筋線維(特にタイプIIb/IIx)は、嫌気性代謝経路が主であるため、酸化酵素活性は低いです。
- 4. タイプI筋線維は、酸素を貯蔵・運搬するタンパク質であるミオグロビンを豊富に含むため、「赤筋」とも呼ばれます。ミオグロビン量が多いことで、持続的な酸素供給が可能となり、好気的代謝を効率よく行えます。正しくは:ミオグロビンの含有量が多い。選びやすい理由:「遅筋」という名称から、全体的に機能が低いと誤解し、ミオグロビン量も少ないと考えてしまう可能性があります。混同注意:タイプII筋線維(特にタイプIIb/IIx)はミオグロビン量が少なく、「白筋」と呼ばれます。
- 5. タイプI筋線維は、好気的代謝を主なエネルギー源とするため、その代謝の中心であるミトコンドリアが非常に多く存在し、密度が高いです。正しくは:ミトコンドリアの細胞内密度が高い。選びやすい理由:発生張力が弱いことから、エネルギーを生産するミトコンドリアも少ないと誤って推測するかもしれません。混同注意:タイプII筋線維(特にタイプIIb/IIx)は、嫌気性代謝を主とするためミトコンドリア密度が低いです。
国試ポイント
筋線維のタイプ(I型、IIa型、IIb/IIx型)ごとの特徴(収縮速度、疲労耐性、筋線維径、張力発生能力、ミトコンドリア、ミオグロビン、毛細血管密度、主なエネルギー代謝経路、酵素活性など)を正確に理解しているかが問われる頻出テーマです。特に、対照的な特性を持つI型とII型を比較させる問題が多く出題されます。
混同注意
タイプI筋線維とタイプII筋線維は、筋線維径、酸化酵素活性、ミオグロビン量、ミトコンドリア密度、疲労耐性、収縮速度、張力発生能力といった多くの生理学的・形態学的特性において互いに逆の傾向を示すため、これらの点を混同しやすいです。それぞれの特性がその筋線維の機能(持久性か瞬発性か)にどう結びつくかを理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
筋線維のタイプに関する問題が出題された際は、まずその筋線維が「速筋(瞬発力、疲労しやすい)」か「遅筋(持久力、疲労しにくい)」かを大まかに判断します。その上で、それぞれの筋線維が主に利用するエネルギー代謝経路(好気性/嫌気性)、それに伴う細胞小器官の量(ミトコンドリア、ミオグロビン)、酵素活性、筋線維径などの構造的特徴、そしてそれらが張力発生や疲労耐性にどのように影響するかをセットで想起し、選択肢を判断するようにしましょう。
関連知識
筋収縮のメカニズム、エネルギー供給系(ATP-CP系、解糖系、有酸素系)、運動の種類と筋線維動員パターン(低強度運動と高強度運動)、トレーニングによる筋線維タイプの変化、筋力トレーニングと持久力トレーニングの効果、各筋線維タイプが優位に存在する部位。