ATP産生に関わる細胞小器官はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ミトコンドリアは、細胞呼吸の主要な場であり、特にクエン酸回路と電子伝達系を通じて酸化的リン酸化を行うことで、細胞が必要とするATPの大部分を合成します。そのため、「細胞の発電所」とも称されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 中心小体は、細胞分裂時の紡錘体形成や微小管の組織化に関与する細胞小器官であり、ATP産生には直接関わりません。正しくは:細胞分裂における微小管形成の中心となる細胞小器官です。選びやすい理由:「中心」という言葉から、細胞の重要な機能全般を担うように連想されがちですが、その役割はATP産生とは異なります。混同注意:細胞内の主要な機能(例:増殖)に関わるため、エネルギー代謝と混同する可能性があります。
- 2. ゴルジ装置は、小胞体で合成されたタンパク質や脂質の修飾、選別、濃縮、輸送を行う役割を担いますが、ATPの生成そのものには関与しません。正しくは:タンパク質や脂質の修飾・選別・分泌に関わる細胞小器官です。選びやすい理由:タンパク質の修飾や輸送といった重要な代謝機能を持つため、エネルギー代謝全体と結びつけて考えてしまう可能性があります。混同注意:小胞体と連携して機能するタンパク質・脂質代謝経路の一部であるため、これをエネルギー産生と誤解する場合があります。
- 3. 滑面小胞体は、脂質の合成、薬物代謝(解毒)、カルシウムイオンの貯蔵といった機能を持ち、ATP産生には直接関与しません。正しくは:脂質の合成や薬物代謝、カルシウムイオン貯蔵を担う細胞小器官です。選びやすい理由:肝細胞に豊富に存在し、解毒など活発な代謝活動を行うため、エネルギー産生と誤って結びつけやすいです。混同注意:粗面小胞体との機能の違い(リボソームの有無、タンパク質合成 vs 脂質合成)と混同することがあります。
- 4. リボソームは、メッセンジャーRNAの情報に基づいてタンパク質を合成する細胞小器官であり、ATP自体を産生する機能はありません。タンパク質合成にはATPを消費しますが、ATPを作るわけではありません。正しくは:タンパク質合成の場となる細胞小器官です。選びやすい理由:タンパク質合成は生命活動の根幹であり、多量のエネルギー(ATP)を消費するため、あたかもATPを産生しているかのように誤解する可能性があります。混同注意:ATPを「消費する」過程とATPを「産生する」過程を混同しやすいです。
- 5. 正解。ミトコンドリアは「細胞の発電所」とも呼ばれ、細胞呼吸の最終段階である酸化的リン酸化を通じて、細胞が必要とするATPの大部分を効率的に生成する主要な細胞小器官です。
国試ポイント
細胞小器官の主要な機能とその特徴、特にエネルギー代謝に関わる器官(ミトコンドリア)やタンパク質合成・輸送に関わる器官(小胞体、ゴルジ体、リボソーム)は、国家試験で頻繁に問われる基本的な知識です。それぞれの細胞小器官がどのような役割を担っているかを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
ATP産生には、解糖系(細胞質基質)、クエン酸回路(ミトコンドリアマトリックス)、電子伝達系(ミトコンドリア内膜)など複数の段階があり、それぞれが細胞内の異なる場所に位置します。ミトコンドリアは主要なATP産生部位ですが、解糖系は細胞質基質で行われる点、また、タンパク質合成(リボソーム)や脂質合成(滑面小胞体)など、ATPを「消費する」細胞機能とATPを「産生する」細胞機能を混同しないことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、他の細胞小器官の機能(例: タンパク質合成、物質輸送、解毒、細胞分裂など)や、ATP以外のエネルギー源(例: GTP、クレアチンリン酸)の代謝経路についても確認するとよいでしょう。また、嫌気的条件下のATP産生経路(解糖系)と好気的条件下のATP産生経路(ミトコンドリア)の違いも重要です。
関連知識
・解糖系: 細胞質基質で行われ、ブドウ糖から2分子のATPを産生する。酸素を必要としない。 ・クエン酸回路(TCA回路): ミトコンドリアのマトリックスで行われ、NADHやFADH2を生成する。 ・電子伝達系と酸化的リン酸化: ミトコンドリア内膜で行われ、NADHやFADH2が持つ電子のエネルギーを利用して大量のATPを合成する。 ・細胞小器官の膜: 各細胞小器官は特定の機能を果たすために特化した膜構造を持つ。特にミトコンドリアの内膜はATP合成に重要な役割を果たす。