肩甲骨の筋と運動の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
肩甲骨は体幹と上肢をつなぐ重要な骨であり、その動きは複数の筋肉によって複雑に制御されています。僧帽筋下部線維は肩甲骨の内側縁を下方に引き、同時に肩甲骨の下角を外側へ回すことで、肩甲骨の上方回旋に大きく貢献します。他の選択肢は、示された筋肉の主な作用と異なるため誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 僧帽筋上部線維の主な作用は、肩甲骨の挙上と上方回旋です。肩甲骨の外転は前鋸筋などの作用であり、肩関節の外転と混同されやすいですが、肩甲骨自体の外転という表現は一般的ではありません。正しくは:僧帽筋上部線維:肩甲骨の挙上または上方回旋選びやすい理由:僧帽筋は肩の動きに大きく関与するため、一見正しく見えるかもしれませんが、その特定の作用は異なります。混同注意:肩甲骨の挙上や上方回旋、または肩関節の外転と混同しやすいです。
- 2. 正解。僧帽筋下部線維は、肩甲骨を下方(下制)に引き寄せつつ(内転)、肩甲骨下角を外側方へ引くことで上方回旋に強く作用します。これは肩甲骨の上方回旋に不可欠な筋の一つです。
- 3. 菱形筋の主要な作用は、肩甲骨を内転(後退)させ、下方回旋させることです。わずかな挙上作用もありますが、下制作用はほとんどありません。下制は主に僧帽筋下部線維や小胸筋の作用です。正しくは:菱形筋:肩甲骨の内転または下方回旋選びやすい理由:菱形筋は肩甲骨の安定性に関わるため、何らかの動きと結びつけやすいですが、作用を正確に覚えていないと誤って選択することがあります。混同注意:僧帽筋下部線維や小胸筋の下制作用、または僧帽筋中部線維の内転作用と混同しやすいです。
- 4. 前鋸筋の主な作用は、肩甲骨を外転(前方突出)させ、上方回旋させることです。下方回旋は菱形筋や小胸筋の作用であり、前鋸筋とは逆の作用を持ちます。正しくは:前鋸筋:肩甲骨の外転または上方回旋選びやすい理由:前鋸筋は肩甲骨の動き全般において重要な筋肉であるため、特定の作用と誤って関連付けてしまう可能性があります。混同注意:菱形筋や小胸筋の下方回旋作用、または前鋸筋の逆の作用である内転と混同しやすいです。
- 5. 小胸筋の主な作用は、肩甲骨を下制させ、前傾させ、下方回旋させることです。挙上は僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の作用です。正しくは:小胸筋:肩甲骨の下制または下方回旋選びやすい理由:胸部の筋肉として肩甲骨に作用するため、挙上のように力強い動きに関わると誤解しやすいかもしれませんが、実際には肩甲骨を下に引く作用が主です。混同注意:僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の挙上作用と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、肩甲骨周囲の主要な筋肉とその基本的な作用を正確に理解しているかを問うものです。各筋の具体的な起始・停止だけでなく、その収縮によって肩甲骨がどのような運動をするかを把握していることが重要となります。特に、似たような名称を持つ筋(例:僧帽筋上部・下部線維)や、拮抗する作用を持つ筋の区別がポイントです。
混同注意
肩甲骨の挙上・下制・内転・外転・上方回旋・下方回旋といった基本的な運動と、それぞれの運動を主導する筋肉の組み合わせを混同しやすいです。特に、拮抗する作用を持つ筋(例:前鋸筋と菱形筋の回旋作用)を逆に覚えているケースが多く見られます。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題される場合、他の肩甲骨周囲筋(例:肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋)の作用を問う問題や、複数の筋が関与する複合的な運動(例:腕を挙上する際の肩甲骨の動き)について問われる可能性があります。また、臨床的な症状(例:翼状肩甲)と関連付けて、特定の筋の麻痺や機能不全を診断する問題として出題されることも考えられます。
関連知識
肩甲骨の安定性や動性は、上肢の機能に直結します。僧帽筋は上部・中部・下部の各線維で異なる作用を持ち、互いに協調・協力して肩甲骨を様々な方向に動かし、また安定させています。前鋸筋は『ボクサー筋』とも呼ばれ、パンチ動作での肩甲骨の外転・上方回旋に重要です。小胸筋は肩甲骨を前傾させる作用もあり、不良姿勢との関連が深いとされています。