呼吸の調節機構で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肺の伸展受容器は、肺の過度な膨張を感知し、その情報を迷走神経を介して呼吸中枢に伝達します。この伝達によって吸気が抑制され、過剰な換気が防がれる仕組み(Hering-Breuer反射)の一部です。
選択肢ごとの解説
- 1. 呼吸運動を司る主要な中枢は、主に脳幹の延髄と橋に存在します。視床下部は自律神経系の高次中枢ではありますが、直接的な呼吸中枢ではありません。正しくは:呼吸中枢は主に延髄と橋にある。選びやすい理由:視床下部は体温調節や内分泌機能など、多くの自律神経活動の統合に関わるため、呼吸調節にも関与していると誤解しやすいです。混同注意:自律神経系の高次中枢(視床下部)と、呼吸運動を直接制御する中枢(延髄、橋)の機能分担。
- 2. 末梢性の化学受容器は、主に頸動脈小体(頸動脈分岐部)と大動脈小体(大動脈弓)に存在し、動脈血中のO2、CO2、pHの変化を感知します。椎骨動脈は脳に血液を供給する動脈であり、化学受容器が存在する場所ではありません。正しくは:末梢の化学受容器は頸動脈小体や大動脈小体にある。選びやすい理由:「動脈」という言葉から、血液ガスを感知する部位として関連があるように感じ、椎骨動脈も動脈であるため正しい選択肢と誤認しやすいです。混同注意:主要な化学受容器の正確な解剖学的位置(頸動脈小体、大動脈小体)と、一般的な動脈の名称の混同。
- 3. 横隔膜や肋間筋は、普段は無意識的に呼吸運動を行っていますが、深呼吸、息止め、発声、咳など、意識的な動作によっても収縮を制御することができます。正しくは:横隔膜や肋間筋は、随意的に収縮させることができる。選びやすい理由:普段は意識せずに呼吸が行われているため、呼吸筋の収縮も完全に不随意であると誤解しやすいです。混同注意:自律的に行われる呼吸運動と、意識的な制御が可能な随意的な呼吸運動の二重支配。
- 4. 末梢化学受容器は、主に動脈血中の酸素分圧が「低下」した際に強く興奮し、呼吸を促進します。また、二酸化炭素分圧の「上昇」やpHの「低下」(アシドーシス)によっても興奮します。酸素分圧の上昇は、通常、呼吸への刺激とはなりません。正しくは:末梢の化学受容器は酸素分圧の低下により興奮する。選びやすい理由:何らかの血液ガス変化に反応するという点で、反応の方向性を間違えやすいです。特に、高CO2や低O2のどちらも呼吸刺激となるため、高O2も刺激となると誤認することがあります。混同注意:末梢化学受容器が反応する主な刺激(O2低下、CO2上昇、pH低下)と、その反応の方向性。
- 5. 正解。肺が過度に膨張した際に活動する伸展受容器(肺の壁に存在する機械受容器)からの求心性情報(インパルス)は、迷走神経(第X脳神経)を介して脳幹の呼吸中枢に送られ、吸気を抑制することで肺の過膨張を防ぎます。これはHering-Breuer反射として知られています。
国試ポイント
呼吸の神経性調節に関する基本的な知識、特に呼吸中枢の部位、各種受容器の種類と機能、およびそれらが中枢へ情報を伝える神経経路を正確に理解しているかが問われています。
混同注意
呼吸中枢の正確な位置(延髄・橋と視床下部)、末梢化学受容器の場所(頸動脈小体・大動脈小体と椎骨動脈)、化学受容器の刺激因子(酸素分圧の低下と上昇)、呼吸筋の随意性と不随意性、そして呼吸反射の求心路(迷走神経など)。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、Hering-Breuer反射の具体的な作用(吸気抑制)や、他の呼吸に関する反射(例:咳反射、くしゃみ反射)の求心路・遠心路、中枢化学受容器が主にCO2分圧に反応すること、末梢化学受容器がO2分圧低下に反応することを理解しているかが問われる可能性があります。
関連知識
Hering-Breuer反射、中枢化学受容器(延髄)と末梢化学受容器(頸動脈小体、大動脈小体)の機能の違い、呼吸中枢の構成(延髄背側・腹側呼吸群、橋の呼吸中枢)、呼吸筋(横隔膜、肋間筋)の神経支配、血液ガスが呼吸調節に与える影響。