小脳障害でみられる症候はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
小脳は運動の協調性、バランス、姿勢制御に関与しており、その障害により筋緊張の低下(小脳性低緊張)や、目標とする運動の距離調節が困難になるジスメトリー(測定障害)が生じます。これらは小脳病変に特徴的な症候です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。小脳障害では、筋紡錘からの求心性入力の調節異常により、筋緊張の低下(小脳性低緊張)が生じることが知られています。これは、小脳が運動の抑制・調節に関与しているためです。選びやすい理由:小脳は運動制御の中枢であり、筋緊張への影響があることを想起しやすいからです。混同注意:痙縮(錐体路障害)や弛緩性麻痺(下位運動ニューロン障害)
- 2. 静止時振戦は、パーキンソン病に代表される基底核(錐体外路系)の障害によってみられる症候であり、小脳障害では主に企図振戦(運動時振戦)がみられます。正しくは:小脳障害では、運動時に出現する企図振戦(運動時振戦)が特徴的です。選びやすい理由:振戦という言葉から、小脳障害による運動症状の一部と誤解しやすいからです。混同注意:企図振戦(小脳障害)、体位時振戦(本態性振戦)
- 3. 正解。ジスメトリー(測定障害)は、目標物に対して運動の距離や範囲を適切に調節できない小脳障害に特異的な症状です。これにより、指鼻試験や膝踵試験で目標を行き過ぎたり手前で止まったりします。選びやすい理由:小脳は運動の協調性や正確性を司るため、運動の距離調節障害はその代表的な症状として認識されやすいからです。混同注意:運動失調全般、特に拮抗運動反復不能(アディアドコキネシス)
- 4. 深部感覚(位置覚、振動覚、圧覚など)の障害は、主に脊髄の後索障害(例:脊髄癆、亜急性連合性脊髄変性症)や、末梢神経障害でみられる症候であり、小脳自体が深部感覚路の一次中継点ではないため、直接的な障害とは言えません。正しくは:深部感覚障害は、脊髄後索障害や末梢神経障害でみられます。選びやすい理由:小脳は運動のフィードバックに感覚情報を用いるため、感覚障害と関連があるように錯覚しやすいからです。混同注意:脊髄後索障害、末梢神経障害
- 5. 病的反射(例:バビンスキー反射、トレムナー反射)の陽性は、大脳皮質から脊髄へ下降する錐体路(上位運動ニューロン)の障害を示す症候であり、小脳障害ではみられません。正しくは:病的反射陽性は、錐体路(上位運動ニューロン)の障害でみられます。選びやすい理由:神経系の広範な障害と関連があると一般的に考えられやすいため、小脳障害でも生じると誤解しやすいからです。混同注意:錐体路障害(上位運動ニューロン障害)
国試ポイント
小脳障害の主要な症候(運動失調、協調運動障害、筋緊張低下、平衡障害、眼振、構音障害など)を覚えることが重要です。
混同注意
静止時振戦はパーキンソン病など基底核障害でみられる症候であり、小脳性振戦(企図振戦)とは異なります。深部感覚障害は脊髄後索障害や末梢神経障害でみられ、病的反射陽性は錐体路障害でみられます。
次に同じ論点が出たら
「運動失調」や「協調運動障害」に加えて、特に「筋緊張低下」「測定障害(ジスメトリー)」「企図振戦」「平衡障害」「構音障害」「眼振」といったキーワードがあれば小脳障害を第一に考えます。
関連知識
小脳の機能として、運動の学習、円滑な運動の遂行、平衡機能の維持などがあります。各症候がどの小脳部位の障害で起こりやすいか(例:片側病変は同側の症状)も理解すると良いでしょう。