末梢動脈疾患で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
末梢動脈疾患が重症化すると、血流が極度に低下し、組織の壊死や感染症を併発することがあります。特に重症虚血肢(CLI)に至った場合、潰瘍や壊疽が進行し、感染の拡大や激しい痛みを伴うため、下肢の温存が困難と判断された際には、救命やQOL改善のために下肢切断が選択されることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 末梢動脈疾患は、一般的に男性に多く発症するとされています。喫煙や糖尿病などの危険因子は男女共通ですが、男性の方が罹患率が高い傾向にあります。正しくは:男性患者に多く見られる。選びやすい理由:一般的な生活習慣病のイメージや、動脈硬化の疾患が性差なく起こるという漠然とした知識から、女性にも多いと誤解する可能性があります。混同注意:心血管疾患全体の男女差(冠動脈疾患は男性に多く、脳卒中は女性に多い傾向があるなど)と混同する可能性があります。
- 2. 末梢動脈疾患の診断において、足関節上腕血圧比(ABI)は0.9以下が診断基準となります。血流障害があるため、足関節の血圧が上腕の血圧よりも低くなるためです。高い値は正常か、または血管石灰化の可能性を示唆し、疾患を否定する方向に働きます。正しくは:足関節上腕血圧比(ABI)の値が低い。選びやすい理由:高血圧との関連性や、単に「血圧」という言葉から漠然と高い状態を連想してしまう可能性があるためです。混同注意:高血圧そのものや、血管の石灰化が進みすぎて測定不能な場合(見かけ上ABIが高く出ることもあるが、これは例外的な状況であり、病態としては血流障害が深刻である)と混同する可能性があります。
- 3. 間欠性跛行は、末梢動脈疾患(特に閉塞性動脈硬化症)の代表的な症状の一つです。歩行時や運動時に下肢の痛みやしびれが生じ、休息すると軽減するのが特徴です。正しくは:間欠性跛行の症状が現れることがある。選びやすい理由:脊柱管狭窄症など、他の疾患による間欠性跛行との区別が曖昧な場合、末梢動脈疾患では起こらないと誤解する可能性があります。混同注意:神経性の間欠性跛行と血管性の間欠性跛行の鑑別点、あるいは、末梢動脈疾患の進行度によって症状が出ないケースもあるという知識と混同する可能性があります(しかし「ない」と断言するのは誤りです)。
- 4. 閉塞性動脈硬化症(ASO)は、末梢動脈疾患(PAD)の最も一般的な原因疾患の一つであり、PADの大半を占めます。したがって、頻度は非常に高いです。正しくは:閉塞性動脈硬化症の発症頻度が高い。選びやすい理由:「動脈硬化」という言葉が一般的に使われるため、具体的な疾患名との関連性が頭の中で整理できていないと、誤って低いと判断する可能性があります。混同注意:末梢動脈疾患の他の原因(バージャー病など、頻度が比較的低いもの)と混同し、全体の頻度が低いと誤解する可能性があります。
- 5. 正解。末梢動脈疾患が進行し、重症虚血肢(CLI)に至ると、難治性の潰瘍や壊疽が発生し、生命を脅かす感染症を併発したり、疼痛管理が困難になったりする場合があります。この場合、感染の拡大を防ぎ、患者のQOLを維持するために下肢の切断が必要となることがあります。
国試ポイント
末梢動脈疾患の疫学、病態生理、診断指標(ABI)、代表的な症状(間欠性跛行)、および重症化した場合の合併症(切断の可能性)に関する基本的な知識を総合的に理解しているかを問う問題です。特に、主要な症状や、重篤な転帰に関する知識が重要視されます。
混同注意
末梢動脈疾患の性差(男性に多い)、ABIの解釈(0.9以下で異常、高い値はむしろ正常か石灰化)、間欠性跛行の原因疾患(血管性か神経性か)、末梢動脈疾患と閉塞性動脈硬化症の関係性(ASOはPADの主要な原因)。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、末梢動脈疾患の病態、診断基準、治療選択肢、そして具体的な患者の症状と予後について、より詳細な知識が問われる可能性があります。例えば、各分類段階での治療方針や、間欠性跛行の具体的な歩行距離や改善策、ABI以外の診断法(SPP, TBIなど)の臨床的意義に注目してください。
関連知識
末梢動脈疾患の危険因子(喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高齢)、Fontaine分類やRutherford分類などの重症度分類、ABIの測定方法と臨床的意義、間欠性跛行の鑑別診断、PADの治療法(薬物療法、運動療法、血管内治療、バイパス手術)。