糖尿病患者に対する運動療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
運動療法は、筋肉でのブドウ糖の取り込みを促進し、インスリン受容体の感受性を高めることで、インスリン抵抗性を改善し、血糖コントロールに良い影響を与えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。運動療法は、インスリン受容体の感受性を高め、インスリンの作用効率を向上させることで、インスリン抵抗性を改善します。これにより、同じ量のインスリンでより効率的に血糖を細胞内に取り込むことができるようになります。
- 2. 高すぎる血糖値(例: 250mg/dL以上、特にケトン体陽性の場合)や低すぎる血糖値(例: 70mg/dL未満)の時には、運動は推奨されません。高血糖時の運動は、かえって血糖値を上昇させたり、ケトアシドーシスを悪化させたりするリスクがあり、低血糖時の運動は低血糖をさらに悪化させる危険性があるためです。正しくは:運動を開始する前に血糖値を確認し、適切な範囲(通常100〜250mg/dL程度)であることを確認する必要があります。極端な高血糖や低血糖の場合は運動を中止または延期すべきです。選びやすい理由:運動療法が糖尿病管理の重要な柱であることから、どんな時でも良いと誤解しやすいため。混同注意:血糖コントロールにおける運動の重要性と、運動実施の際の血糖値の確認の必要性が混同されやすいです。
- 3. 運動療法の主目的は、筋肉でのブドウ糖利用を促進し、インスリン感受性を高め、体重を管理することによる血糖コントロールの改善です。尿からの糖排泄は、SGLT2阻害薬などの薬剤の作用機序であり、運動療法の直接的な目的ではありません。正しくは:運動療法の主目的は、血糖降下作用、インスリン抵抗性の改善、心血管リスクの低減、および体重管理です。選びやすい理由:高血糖が尿糖を引き起こすことから、運動が尿糖と関連すると漠然と考えてしまう可能性があります。混同注意:運動療法の効果と、薬物療法(特にSGLT2阻害薬)の作用機序が混同されやすいです。
- 4. 糖尿病患者の運動療法では、一般的に中等度の運動強度(ボルグスケールで11~13程度、『やや楽』〜『ややきつい』と感じるレベル)が推奨されます。17(きつい)は高強度に分類され、糖尿病患者、特に合併症を持つ患者には過度な負担となる可能性があり、低血糖のリスクも高まります。正しくは:糖尿病患者の運動強度は、ボルグスケールで11〜13(『やや楽』から『ややきつい』程度)が適切とされています。選びやすい理由:効果的な運動にはある程度の強度が必要という認識から、より高い強度が良いと誤解しやすいため。混同注意:運動の効果と、個々の患者の状態に合わせた適切な運動強度の設定が混同されやすいです。
- 5. シックデイ(発熱、下痢、嘔吐などで体調が悪い日)は、脱水や低血糖・高血糖のリスクが高まるため、運動は中止し安静にすることが原則です。体調不良時は血糖値が変動しやすく、無理な運動は病状を悪化させる可能性があります。正しくは:シックデイには運動を控え、安静にして、水分補給に努め、必要に応じて医療機関を受診すべきです。選びやすい理由:運動療法が糖尿病管理に不可欠であるという認識から、中断すべきではないと誤解しやすいため。混同注意:糖尿病管理における運動の重要性と、体調不良時の対応(シックデイ対策)が混同されやすいです。
国試ポイント
糖尿病の運動療法に関する基本的な知識が問われています。特に、その効果、実施の条件(血糖値、体調)、および適切な運動強度について正確な理解が求められます。
混同注意
糖尿病における運動療法の効果と、運動を実施すべきでない状況(高血糖・低血糖時、シックデイ)や、適切な運動強度・目的が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、糖尿病合併症の有無による運動療法の適応や禁忌、または運動の種類(有酸素運動、レジスタンス運動)とその効果の違いについて問われる可能性があります。
関連知識
糖尿病の三大治療は食事療法、運動療法、薬物療法です。運動療法は血糖コントロールの改善だけでなく、心血管疾患リスクの低減、脂質異常症や高血圧の改善、精神的健康の向上にも寄与します。ただし、網膜症や腎症などの合併症がある場合は、運動の種類や強度に制限があることがあります。