がん性疼痛で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
がん性疼痛のマネジメントは、身体的な苦痛の緩和だけでなく、患者さんが抱える精神的苦痛(不安、抑うつ、絶望など)にも配慮する全人的アプローチが不可欠です。痛みの軽減はQOL向上に直結し、そのプロセスには精神的ケアも重要な要素として含まれます。
選択肢ごとの解説
- 1. 突出痛(ブレイクスルーペイン)の中には、体位変換や運動など特定の動作や状況によって誘発される予測可能な突出痛と、原因が特定できない予測不可能な突出痛の両方があります。すべてが予測不可能というわけではありません。正しくは:突出痛の中には、特定の動作によって誘発されるなど、予測可能なものも存在します。選びやすい理由:急激に起こる強い痛みであるため、その突発性から予測不可能と誤解しやすいですが、実際には予測可能な誘因がある場合も多いです。混同注意:予測困難な突発性突出痛と、予測可能な体動時痛などを含む突出痛全般との混同が生じやすいです。
- 2. 正解。がん性疼痛は身体的な痛みだけでなく、不安、抑うつ、絶望感といった精神的な苦痛を伴うことが多いため、全人的医療の観点から精神的ケアも疼痛マネジメントの重要な要素です。患者さんのQOL向上には多角的なアプローチが不可欠です。
- 3. がん性疼痛は、腫瘍そのものによる神経圧迫、骨転移、炎症、治療による副作用(手術後疼痛、放射線治療後疼痛、化学療法による神経障害など)といった複数の要因が絡み合って生じることが多く、単一の原因だけとは限りません。正しくは:多くの場合、がん性疼痛は複数の原因が複雑に絡み合って生じます。選びやすい理由:患者さんが痛みの部位を指し示すため、あたかも単一の原因があるかのように感じやすいですが、その痛みの裏には複合的な病態が隠れていることが多いです。混同注意:急性の外傷性疼痛のように原因が比較的明確な場合と、慢性的な経過をたどるがん性疼痛の複雑な原因との混同。
- 4. がんの進行度合いや種類にもよりますが、診断時にすでにがん性疼痛を伴っているケースは少なくありません。特に、骨転移や神経浸潤を伴うがんなどでは、診断時から痛みを訴えることがあります。正しくは:がんと診断された時点で、すでにがん性疼痛を伴っている場合も少なくありません。選びやすい理由:がんの初期には症状がないという一般的な認識があるため、痛みもがんが進行してから生じると考えやすいです。混同注意:がんの初期段階における無症状性(特に一部の臓器のがん)と、がん性疼痛の発生時期の混同。がんの部位や種類によっては早期から痛みを伴うことがあります(例:膵臓がん、骨腫瘍など)。
- 5. WHO方式がん性疼痛治療ガイドラインでは、疼痛の段階に応じて薬剤を選択する「三段階除痛ラダー」が推奨されています。軽度の痛み(NRS 1-3)には非オピオイド鎮痛薬やNSAIDsが第一選択であり、オピオイド鎮痛薬は中等度以上の痛み(NRS 4-6以上)から使用が検討されます。軽度疼痛にいきなりオピオイド鎮痛薬を積極使用するのは適切ではありません。正しくは:オピオイド鎮痛薬は、中等度から重度の痛みに対して使用が検討されます。選びやすい理由:オピオイドが強力な鎮痛薬であるため、どのような痛みにも有効と思われがちです。しかし、副作用のリスクも考慮し、段階的な使用が基本となります。混同注意:がん性疼痛の治療におけるオピオイドの重要性と、WHO方式三段階除痛ラダーによる適切な薬剤選択の原則との混同。
国試ポイント
がん性疼痛に関する基本的な知識、特にWHO方式三段階除痛ラダーの原則、突出痛の理解、および疼痛マネジメントにおける全人的ケアの重要性が問われています。薬剤の選択だけでなく、心理社会的側面への配慮が重要であることを理解しているかが試されます。
混同注意
がん性疼痛の管理は、一般的な急性疼痛や慢性疼痛の管理と異なる点が多いです。特に、オピオイドの使用に対する抵抗感や、突出痛の予測可能性、痛みの原因の複雑性などについて誤解が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
次にがん性疼痛に関する問題が出題された場合、WHO方式三段階除痛ラダーの具体的な薬剤選択(軽度、中等度、重度)、突出痛への対応(レスキュー薬など)、オピオイドの副作用と対策(便秘、吐き気など)、または非薬物療法(理学療法、心理療法など)の具体的な内容が問われる可能性が高いです。また、緩和ケア全体の理念や対象患者の範囲も重要になります。
関連知識
WHO方式がん性疼痛治療ガイドライン、三段階除痛ラダー、突出痛の種類(予測可能/不可能)、全人的医療、緩和ケアにおけるQOLの概念、がん性疼痛の原因(腫瘍浸潤、治療関連、併存症など)、オピオイド鎮痛薬の種類と副作用。