血液検査項目と疾患の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Dダイマーは、体内で血栓が形成され、それがフィブリン溶解系によって分解される際に生成されるフィブリン分解産物である。深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症などの血栓性疾患の診断補助、特に除外診断に有用な血液検査項目である。
選択肢ごとの解説
- 1. CK-MBは心臓の筋肉に特異的に存在する酵素で、心筋細胞が障害された際に血中に逸脱します。主に心筋梗塞などの急性心筋障害の診断マーカーとして用いられます。末梢動脈疾患(PAD)は、手足の動脈硬化性病変であり、CK-MBは直接的な診断指標ではありません。正しくは:CK-MBは心筋梗塞、PADの診断には足関節上腕血圧比(ABI)や超音波検査などが用いられます。選びやすい理由:「動脈」という言葉から心臓や血管系の疾患全般を連想し、関連があると感じるかもしれませんが、CK-MBの特異性は心筋障害にあります。混同注意:CK-MBは心筋逸脱酵素、PADは動脈硬化による血流障害であり、診断に用いるマーカーや検査が異なります。
- 2. 正解。Dダイマーは、体内で血栓が形成され、それが線溶系によって分解される過程で産生されるフィブリン分解産物です。深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)などの血栓性疾患の診断補助マーカーとして広く用いられ、特にDVTの除外診断において非常に有用です。
- 3. eGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓が血液をろ過する能力を示す指標であり、慢性腎臓病の診断や重症度評価に用いられます。一方、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の病気であり、eGFRとは直接的な関連がありません。正しくは:eGFRは慢性腎臓病、COPDの診断には呼吸機能検査(スパイロメトリー)などが用いられます。選びやすい理由:eGFRが一般的な健康診断項目であるため、何らかの慢性疾患と関連していると漠然と考えるかもしれませんが、対象臓器が異なります。混同注意:eGFRは腎臓機能、COPDは呼吸器機能に関わる疾患であり、それぞれの評価指標は異なります。
- 4. NT-proBNPは、心臓に負荷がかかった際に心筋から分泌されるホルモンである脳性ナトリウム利尿ペプチドの前駆体の一部で、主に心不全の重症度評価や予後予測に用いられるマーカーです。間質性肺疾患(ILD)は肺の炎症や線維化を特徴とする疾患であり、NT-proBNPはILDの主要な診断マーカーではありません。正しくは:NT-proBNPは慢性心不全、ILDの診断や病態評価にはKL-6やSP-D、画像検査(HRCT)などが用いられます。選びやすい理由:重度の肺疾患は右心不負荷を招くことがあり、間接的な関連があるように見えるかもしれませんが、NT-proBNPは心臓の機能を示す特異性の高いマーカーです。混同注意:NT-proBNPは心不全、ILDの主なマーカーはKL-6やSP-D(SP-Dは5番の選択肢とも関連)。
- 5. SP-D(サーファクタントプロテインD)は、肺胞上皮細胞から分泌されるタンパク質で、主に間質性肺疾患、COPD、ARDSなどの肺疾患において、その病態評価や炎症・線維化の指標として用いられます。慢性心不全(CHF)は心臓の機能不全であり、SP-DはCHFの主要な診断マーカーではありません。正しくは:SP-Dは間質性肺疾患などの肺疾患、CHFの診断や病態評価にはBNPやNT-proBNPなどが用いられます。選びやすい理由:心不全が重度になると肺水腫などを引き起こし肺に影響を与えるため、肺関連マーカーが関連すると思われがちですが、SP-Dは心不全自体に特異的ではありません。混同注意:SP-Dは肺疾患、CHFの主なマーカーはBNP/NT-proBNPであり、それぞれ対象とする臓器と病態が異なります。
国試ポイント
血液検査マーカーとその対象疾患の基本的な知識を問う問題です。特に、疾患特異性の高いマーカーと、関連性の薄いマーカーを組み合わせることで、受験者の正確な知識を判別させます。国試では頻出のジャンルであり、各臓器系の主要疾患と関連する検査項目を正確に覚えている必要があります。
混同注意
似たような略語の検査項目や、複数の疾患で上昇する可能性のある非特異的なマーカー(例:CRP)と、疾患特異性の高いマーカーが混同されやすいです。また、疾患が重症化することで間接的に他の臓器に影響が出た場合、関連するマーカーが上昇することがあるため、その直接的な病態を反映しているかを見極める必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合は、「その検査項目がどの臓器の、どのような病態を反映しているか」という根本的な機能を理解しているかを確認する視点が重要になります。特定の疾患だけでなく、複数の疾患で関連するマーカー(例:炎症マーカー)、または一つの疾患でも病期や重症度によって用いられるマーカーが異なる場合(例:心不全におけるBNP/NT-proBNP、急性期トロポニン)も注意が必要です。
関連知識
各主要臓器(心臓、腎臓、肺、肝臓、血液など)の代表的な疾患と、それぞれに関連する血液検査マーカー(例:心筋梗塞-トロポニンT/I、BNP/NT-proBNP-心不全、AST/ALT-肝機能障害、BUN/Cr-腎機能障害、HbA1c-糖尿病、CRP/ESR-炎症)。画像診断や理学所見と合わせて、診断プロセスにおける血液検査の役割を理解することも重要です。