筋力増強運動で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
等張性収縮とは、筋肉の長さが変化しながら張力を発生させる収縮様式であり、筋肉が短縮する求心性収縮と、筋肉が伸長する遠心性収縮に分類されます。これは筋収縮様式の基本的な定義であり、明確に正しい記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者の筋力増強運動では、関節への負担や安全性を考慮し、通常は中等度から低負荷で高頻度(週2~3回程度)の運動が推奨されることが多いです。高負荷は怪我のリスクを高める可能性があります。正しくは:高齢者では、安全性を考慮し中等度負荷・高頻度で実施するのがよい。選びやすい理由:若年層の筋力増強トレーニングにおいて高負荷・低頻度が推奨されるケースがあるため、筋力増強の原則として一般化しやすいです。混同注意:若年者や熟練アスリートのレジスタンストレーニング原則と、高齢者や初心者のトレーニング原則とを混同しやすいです。
- 2. 運動経験は、筋力増強運動の効果に大きく影響します。運動経験のある人は神経系の適応が早く、より高い強度でトレーニングを開始できるなど、初心者と経験者ではトレーニングに対する反応や適応の仕方が異なります。正しくは:運動による効果には、その人の過去の運動経験が大きく影響する。選びやすい理由:筋力増強の生理学的メカニズム自体は誰にでも起こるため、経験の有無は関係ないと考えてしまうかもしれません。混同注意:筋肥大や筋力向上といった生理学的反応が起こる普遍性と、その反応の速度や程度、効果的なトレーニングプログラムの設計において運動経験が重要な要素である点とを混同しやすいです。
- 3. 正解。等張性収縮とは、筋肉の長さが変化しながら張力が発生する収縮様式です。筋肉が短縮しながら張力を発生させるのが求心性収縮(Concentric contraction)、筋肉が伸長しながら張力を発生させるのが遠心性収縮(Eccentric contraction)と呼ばれます。
- 4. 一般的に、筋力を効果的に維持するためには、より高い負荷(例えば最大筋力の60%以上)が必要とされることが多いです。40-50% 1RMは、運動経験の少ない人や高齢者で筋力向上が見られる範囲ですが、訓練された人の筋力維持としては不十分な場合があります。正しくは:筋力維持には、現在の筋力レベルに応じた十分な負荷が必要であり、効果的な維持には最大筋力の60%以上の負荷がより推奨される。選びやすい理由:40-50% 1RMという数値が、筋力トレーニングの文献(特に初心者における筋力向上や筋肥大の閾値)で言及されるため、正しいと判断してしまう可能性があります。混同注意:筋力向上に必要な最低負荷量(特に運動初心者向け)と、訓練された人の筋力維持に必要な負荷量とを混同しやすいです。
- 5. 筋の特性として、収縮速度が速くなるほど発揮できる筋力(出力)は減少します(力-速度関係)。等速性収縮運動においても、角速度が速い領域では筋の最大出力は低下します。出力効果が増大するのは、一般的に低~中程度の角速度域です。正しくは:等速性収縮運動では、関節の角速度が速くなるほど、筋肉の出力効果は減少する。選びやすい理由:速度が速いと運動量が増えるため、直感的に出力も増大すると考えてしまう可能性があります。また、パワー(仕事率=力×速度)が、高速域である程度の値を示すことと混同しやすいですが、ここでは「筋出力効果(筋力)」が問われています。混同注意:筋力(力)と筋パワー(仕事率=力×速度)の概念を混同しやすいです。高速域ではパワーがピークに達する(またはピークを過ぎる)ことはありますが、筋力自体は低下します。
国試ポイント
この問題は、筋力増強運動の基本的な生理学的概念とトレーニング原則に関する知識を問うものです。筋収縮の種類とそれぞれの特性、および特定の対象者(高齢者など)に対するトレーニング負荷設定の理解が重要となります。
混同注意
「筋力」「筋出力」「筋パワー」といった用語の定義の違いや、筋力増強運動における負荷設定の推奨値が、対象者の運動経験や年齢、目的によって異なる点を混同しやすいです。また、力-速度関係に関する理解も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず問われている概念が定義(例:筋収縮様式)なのか、それとも応用(例:特定の対象者への負荷設定)なのかを明確に区別します。数値(%1RMなど)が提示されている場合は、それがどの集団(若年者、高齢者、初心者、経験者)の、どのような目的(筋力向上、維持、パワー向上)に対するものかを吟味して判断します。特に「出力」と「パワー」の違いに注意が必要です。
関連知識
筋収縮の様式(等尺性、等張性、等速性)、求心性収縮と遠心性収縮の生理学的特性、力-速度関係、筋力増強の原則(過負荷の原則、特異性の原則、可逆性の原則など)、高齢者に対するレジスタンストレーニングのガイドライン。