COPD患者で増加するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
COPD患者では、気道の慢性的な閉塞により呼気流が障害され、肺内に空気が閉じ込められる(air trapping)状態となります。これにより、通常の呼気後に肺に残る空気の量である機能的残気量(FRC)が増加します。また、肺気腫が進行すると肺の弾性収縮力が低下し、肺全体の容積が増加するため、全肺気量(TLC)も増加傾向を示します。一方で、1秒量(FEV1)やピークフロー(PEF)といった呼気流速を示す指標は低下し、肺の過膨張により予備吸気量(IRV)も減少します。
選択肢ごとの解説
- 1. COPDでは気道抵抗が増加し、呼気の流れが妨げられるため、最大吸気から1秒間で吐き出せる空気の量は減少します。正しくは:COPDでは気道閉塞により、1秒量(FEV1)は減少します。選びやすい理由:肺の容積変化に関心が行きがちですが、COPDの核心は「閉塞性」であり、呼出能力の低下が特徴であるため、増加するとは考えにくいです。混同注意:肺活量や全肺気量といった「貯められる量」と、1秒量やピークフローといった「出せる速さ」を混同しやすいです。
- 2. 正解。COPDでは気道閉塞により呼気が十分に排出されず、肺に空気が閉じ込められる(air trapping)ため、通常の呼気後に肺に残る空気の量(機能的残気量)が増加します。
- 3. 正解。重度のCOPD、特に肺気腫が優位な病態では、弾性収縮力の低下やair trappingの慢性化により、最大吸気時に肺が保持できる総量(全肺気量)が増加することがあります。
- 4. COPDでは気道閉塞により、勢いよく息を吐き出す際の最大流量(ピークフロー)は著しく低下します。正しくは:COPDでは気道閉塞により、ピークフロー(PEF)は減少します。選びやすい理由:「肺に空気がたくさんあるから勢いも増すのでは」と誤解する可能性がありますが、気道の閉塞がそれを妨げます。混同注意:肺容量の増加と、呼気流速の増加を混同しやすいです。
- 5. COPDでは機能的残気量が増加し、肺がすでに過膨張状態にあるため、通常の吸気からさらに吸い込める空気の量(予備吸気量)は減少します。正しくは:COPDでは肺の過膨張により、予備吸気量(IRV)は減少します。選びやすい理由:全肺気量が増加するから、吸気能力も全体的に向上すると錯覚しやすいです。混同注意:全肺気量(TLC)と予備吸気量(IRV)を混同し、TLCが増えるならIRVも増えると考えてしまうことがあります。実際には、TLCが増えてもFRCが高まるため、相対的にIRVやVCは減少傾向になることが多いです。
国試ポイント
COPDにおける閉塞性換気障害と肺の過膨張が、各肺気量分画にどのような影響を与えるかを理解しているか問う問題です。特に、増加する指標と減少する指標を正確に区別できるかが重要となります。
混同注意
肺気量分画の各用語(1回換気量、予備吸気量、予備呼気量、残気量、機能的残気量、肺活量、全肺気量など)の定義と、それぞれがCOPDや拘束性肺疾患でどう変化するかを混同しやすいです。特に、肺全体の容量を示す全肺気量(TLC)と、呼気後の残存量である機能的残気量(FRC)はどちらも増加傾向を示すため、両方を選ぶ必要がありますが、他の減少する指標と誤って選ばないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、COPDの重症度分類と各ステージでの肺機能検査値の変化、あるいは拘束性肺疾患との比較、さらに各肺気量分画の測定方法や臨床的意義についても問われる可能性があります。
関連知識
肺気量分画の定義、COPDの病態生理(気道狭窄、肺気腫、air trapping、弾性収縮力低下)、換気機能検査の各指標(FEV1、FVC、FEV1/FVC、PEFなど)と疾患との関連。拘束性肺疾患における肺気量分画の変化との比較。