急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
慢性炎症は長期にわたる炎症反応であり、組織の破壊と修復が同時に進行する。この過程で、損傷した組織への栄養供給や免疫細胞の供給を目的として血管新生(新しい血管の形成)が起こり、また、繰り返される組織損傷と修復の結果としてコラーゲン線維などの沈着が増加し、組織の線維化が進行する。これらは急性炎症では見られにくいか、限定的な所見であるため、慢性炎症の特徴として適切である。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。慢性炎症では、炎症が長期にわたるため、炎症組織への栄養供給や修復を促進するために、新しい血管(血管新生)が形成されやすい。これは肉芽組織の重要な構成要素である。
- 2. 好中球の集積は、急性炎症の代表的な特徴である。細菌感染などの初期段階で速やかに動員され、病原体の排除にあたる。正しくは:慢性炎症では、主にリンパ球、形質細胞、マクロファージといった単核球が優位に集積する。選びやすい理由:炎症反応自体には好中球が関わるため、漠然と「炎症」という言葉から選びやすいかもしれない。混同注意:急性炎症と慢性炎症における主要な炎症細胞の種類の違い。
- 3. 正解。慢性炎症は組織の損傷と修復が同時に進行し、コラーゲンなどの線維組織が過剰に産生されることで線維化が起こる。これは長期にわたる組織破壊と再生の繰り返しによって生じる。
- 4. 血漿タンパク質の浸出は、血管透過性の亢進を伴う急性炎症の主要な特徴である。これは浮腫の形成に深く関与する。正しくは:慢性炎症では血管透過性の亢進は急性炎症ほど著明ではない。選びやすい理由:炎症反応における血管透過性の変化は重要であるため、一般的な炎症の所見として選びやすい。混同注意:急性炎症における血管透過性亢進による浮腫形成と、慢性炎症における組織変化(線維化など)の違い。
- 5. 血管内皮細胞の損傷は、急性炎症において物理的、化学的刺激により生じやすく、血管透過性の亢進や血栓形成の誘因となることがある。慢性炎症では組織破壊が進行すれば二次的に生じる可能性はあるものの、特徴としては急性炎症でより顕著である。正しくは:慢性炎症では、血管の新生が主な変化であり、急性期の細胞損傷とは異なる。選びやすい理由:炎症は組織破壊を伴うため、血管も損傷を受けるという連想から選びやすいかもしれない。混同注意:炎症の急性期に生じる組織・細胞障害と、慢性期に生じる組織リモデリング・修復過程の違い。
国試ポイント
急性炎症と慢性炎症の病理学的特徴を区別する能力。特に、それぞれの炎症期で優勢となる細胞の種類や、血管・組織に生じる変化の違いを理解しているかどうかが問われている。
混同注意
急性炎症の「血管透過性亢進」と慢性炎症の「血管新生」は混同しやすい。また、急性炎症の「好中球優位」と慢性炎症の「単核球(リンパ球、マクロファージ、形質細胞など)優位」も重要な鑑別点である。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、慢性炎症における主要な細胞浸潤を問う問題(例:リンパ球、マクロファージ、形質細胞)や、肉芽組織を構成する要素を問う問題、あるいは特定の疾患における慢性炎症の病理学的特徴を問う問題が出題される可能性がある。
関連知識
炎症の5主徴(発赤、腫脹、熱感、疼痛、機能障害)、炎症性サイトカインの種類と役割、肉芽組織の形成、創傷治癒の各段階、各炎症細胞(好中球、マクロファージ、リンパ球、形質細胞など)の機能。