ノーマライゼーションで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ノーマライゼーションの理念は、障害のある人が障害のない人と同じように、可能な限り普通の生活を送る権利と機会を保障することです。そのためには、個人の尊厳が尊重され、自身の人生や生活環境について自ら意思を決定できる「自己決定権」が保障されることが不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. ノーマライゼーションは、障害を個人の疾病や機能障害として捉える医学的モデルではなく、社会が作り出す障壁によって生じるものと捉える社会モデルに根ざした理念です。医学的モデルは、障害を治療や訓練で「正常」に戻すことを目指し、ノーマライゼーションの多様性を尊重する考え方とは異なります。正しくは:社会モデルに基づいた概念である。選びやすい理由:「正常化」という言葉から、病気を治す、体を治すといった医学的なアプローチを連想しやすいため、誤って選択する可能性があります。混同注意:医学的モデルと社会モデルの違い、およびノーマライゼーションの根本的な思想(個人の多様性尊重と社会参加の促進)を混同しやすいです。
- 2. ノーマライゼーションの理念は、1950年代から1960年代にかけてデンマークのバンク-ミケルセンやスウェーデンのニィリエによって提唱され、北欧諸国から国際的に広まりました。日本が発祥ではありません。正しくは:デンマークやスウェーデンなどの北欧諸国からはじまった社会理念である。選びやすい理由:日本でも障害者福祉の発展が著しく、独自の取り組みも多いため、日本発祥と誤解する可能性があります。また、提唱者の国籍まで正確に把握していない場合に選びやすい選択肢です。混同注意:日本の障害者福祉の歴史と、ノーマライゼーションの国際的な起源や提唱者を混同しやすいです。
- 3. 正解。ノーマライゼーションの核心は、障害のある人が他の人々と同様に地域社会で普通の生活を送る権利と機会を保障することです。そのためには、個人の尊厳が尊重され、自身の人生や生活環境について、自ら選択し決定できる自己決定権が保障されることが極めて重要です。
- 4. ノーマライゼーションは、障害のある人が必要に応じて福祉サービスや支援を受けながら、社会の中で「普通の」生活を送ることを目指します。福祉サービスを利用しないことが目的ではなく、サービスを通じて個人のニーズが満たされ、選択肢が広がることを重視します。支援は自立を妨げるものではなく、むしろ自立を可能にする手段と捉えられます。正しくは:必要に応じて福祉サービスを利用しながら、地域社会で普通の生活を送ることである。選びやすい理由:「正常化」という言葉を「特別な支援なしで生活できる状態」と誤って解釈し、自立と支援からの脱却を混同しやすいです。混同注意:自立と、支援の放棄を混同したり、ノーマライゼーションの目的が「健常者と同じ状態になること」という誤解からこの選択肢を選びやすいです。
- 5. ノーマライゼーションは、個人の身体機能の改善のみに焦点を当てるものではありません。身体機能の改善はリハビリテーションの一環として重要ですが、ノーマライゼーションの理念は、機能改善だけでなく、社会環境の整備や適切な支援を通じて、障害のある人が地域社会で多様な選択肢を持ち、普通の生活を送れるようにすることにあります。障害のない人と同じようになることではなく、それぞれの人が自分らしく生活できることを目指します。正しくは:身体機能の改善に加え、社会環境の整備や支援を通じて、障害のある人が地域社会で普通の生活を送れるようにすることである。選びやすい理由:「ノーマライゼーション」の「ノーマル(正常)」という言葉から、身体的な正常化や機能改善を直接的に結びつけてしまいがちです。また、リハビリテーションの目標と混同しやすいです。混同注意:機能訓練や医学的リハビリテーションの目的と、ノーマライゼーションの理念(社会参加、QOL向上、環境整備)を混同しやすいです。これも医学的モデルに近い考え方です。
国試ポイント
ノーマライゼーションは、障害者福祉の根幹をなす理念であり、その定義、提唱者、および中心となる原則(例:自己決定権、社会参加、脱施設化、生活の質の向上)が頻繁に問われます。特に、医学的モデルや慈善モデルとの違い、社会モデルとの関連性を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
ノーマライゼーションは、「健常化」「障害の克服」といった医学的モデルに基づく考え方や、「自立=援助なし」といった誤解と混同されやすいです。また、リハビリテーションの目標(機能改善)と、ノーマライゼーションの目標(社会参加・QOL向上)が混同されることもあります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題された場合、ノーマライゼーションの提唱者や、具体的なノーマライゼーションの原則(ニィリエの8つの原則など)、あるいは脱施設化や地域生活支援におけるノーマライゼーションの具体的な実践例が問われる可能性があります。また、社会モデルの観点からの問題も想定されます。
関連知識
ノーマライゼーションの提唱者(バンク-ミケルセン、ニィリエ)、ニィリエの8つの原則、社会モデルと医学的モデル、自己決定とエンパワメント、ICF(国際生活機能分類)の考え方、脱施設化と地域移行、障害者権利条約。