関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準1995年)を図に示す。正しいのはどれか。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
膝関節の屈曲測定では、股関節を90度屈曲位とし、膝関節が完全に伸展した状態を0度として、そこから屈曲させて計測します。図4は、股関節90度屈曲位での膝関節屈曲を示しており、正しい測定肢位です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩甲骨挙上の0度位は、座位または立位で肩甲骨を下げた状態です。図は肩甲骨の挙上運動を示していますが、計測基準線(0度位)が誤っています。0度位は肩甲骨下制位であり、鎖骨を結ぶ線に平行な線ではありません。正しくは:肩甲骨挙上の0度位は、座位または立位で肩甲骨を下げた状態を基準とします。図の計測基準線を肩甲骨下制位に合わせるべきです。選びやすい理由:肩甲骨の挙上運動自体は示されているため、運動方向は正しいと誤解しやすいです。しかし、基準となる0度位が重要です。混同注意:他の肩関節の運動(屈曲、外転など)の0度位と混同しやすいです。また、計測の開始点が重要であるという認識が不足していると間違えやすいです。
- 2. これは肩関節の水平伸展または外転を示していると考えられますが、肩関節の0度位は上肢を体幹に沿って下垂した状態です。図の0度位は体幹と上肢を一直線にした状態であり、これは通常の肩関節運動の0度位とは異なります。また、図の運動は肩関節の水平伸展ではなく、腹臥位での肩関節外転を示唆している可能性がありますが、その場合でも0度位の解釈が異なってきます。正しくは:この図は肩関節の水平伸展または外転の測定を示している可能性がありますが、0度位は上肢を体幹に沿って下垂した解剖学的肢位が基本です。図のように上肢を体幹と一直線にする場合は、そこからの測定であることを明記する必要があります。もし腹臥位での肩関節外転を示すなら、体幹に沿った上肢を0度位とします。選びやすい理由:上肢の動きが腕を挙げるような動作に見えるため、漠然と肩の運動だと捉えやすいです。混同注意:肩関節の屈曲や外転の0度位、または肩甲骨の運動など、他の肩周囲の運動と混同しやすいです。
- 3. これは股関節の伸展測定を示していると考えられますが、股関節の伸展測定の0度位は、股関節が完全に伸展し、下肢が体幹と一直線になった状態です。図では下肢がすでに挙上しており、これが0度位ではありません。また、運動方向を示す矢印も不適切です。正しくは:股関節伸展の0度位は、下肢を体幹と一直線にした状態(ベッドに接する状態)です。図はすでに伸展している状態からさらに伸展を測ろうとしているように見えますが、その場合でも0度位の設定が間違っています。また、矢印は伸展方向を示すべきです。選びやすい理由:下肢を挙上させる運動が「伸展」であると捉えがちですが、0度位の基準が誤っています。混同注意:股関節の屈曲運動や、大腿部の挙上運動と混同しやすいです。また、0度位の概念が理解できていないと間違えやすいです。
- 4. 正解。膝関節屈曲の測定は、股関節を90度屈曲させ、下腿を垂直に持ち上げた状態を0度とします。そこから膝関節を屈曲させて計測するため、図4の測定肢位は日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準に合致しており正しいです。選びやすい理由:膝関節の屈曲という動作自体は分かりやすいですが、股関節の角度も正しく設定されている点がポイントです。混同注意:膝関節伸展の0度位や、股関節が完全に伸展した状態での膝関節屈曲と混同しやすいです。
- 5. 足関節の底屈(屈曲)の0度位は、足関節が90度であり、下腿と足底が直角をなす状態です。図の0度位は下腿に沿って足部が伸展した状態を示しており、これは底屈の0度位としては不適切です。また、足底屈(屈曲)の表記も一般的ではありません。正しくは:足関節底屈の0度位は、足関節を中間位(下腿と足底が約90度)にした状態です。図の足底が下腿と一直線になっている状態は底屈ではなく、伸展位に近い状態です。選びやすい理由:足部が下方に動く動作は「屈曲」または「底屈」であると理解しやすいですが、0度位が間違っています。混同注意:足関節の背屈の0度位や、足部全体の動きと混同しやすいです。また、底屈を「屈曲」と表現している点も紛らわしいです。
国試ポイント
関節可動域測定の基本肢位と軸、そして運動方向を正確に理解しているか。
混同注意
各関節の0度位の取り方や、測定対象となる運動方向が混同しやすいです。特に、同一関節でも運動方向によって0度位の取り方が異なる場合があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず各図の関節の名称と示されている運動方向が適切かを確認し、次にその運動の0度位が正しく設定されているかを確認します。
関連知識
日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定めたROM測定基準(1995年)は、客観的な評価のために重要です。各関節の正常可動域も合わせて覚えましょう。