6歳の男児。1年前から歩行時の転倒が頻回にみられるようになったため病院を受診し、遺伝子検査でDuchenne型筋ジストロフィーと診断された。四肢体幹筋は萎縮しており、MMTで両側下肢の近位筋が2、遠位筋が3である。屋内は四つ這いで移動し、小学校の普通学級に車椅子で通学している。機能障害度(厚生省筋萎縮症研究班)のステージで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類では、ステージ5は「起立歩行は不能であるが、四つ這いは可能」な段階です。本症例は屋内を四つ這いで移動し、通学には車椅子を使用していることから、ステージ5に当たります(公式正答2)。ステージ4は介助なしで歩行できるが椅子からの立ち上がりは困難な段階、ステージ6は四つ這いはできないがいざり這いが可能な段階です。
選択肢ごとの解説
- 1. ステージは、自力歩行が可能な段階を指し、本症例の車椅子移動を要する状態とは異なります。正しくは:このステージは、通常、自力歩行が可能で、歩行補助具を要しない段階です。選びやすい理由:初期のDuchenne型筋ジストロフィーでは自力歩行が可能な時期があるため、そのイメージと混同しやすいため。混同注意:疾患の初期段階や、自力歩行が可能だが階段昇降に介助が必要なステージなど。
- 2. 正解。本症例は、屋内では四つ這いで移動し、小学校に車椅子で通学していることから、自力歩行が困難で車椅子移動を要する段階に該当します。これは、厚生省筋萎縮症研究班の分類でステージに相当します。選びやすい理由:具体的な症状とステージ分類の定義が一致するため、正答として判断しやすいです。混同注意:他の疾患の機能評価スケールや、ステージとステージの間の微妙な境界線。
- 3. ステージは、寝たきりとなり、移動は介助を要するが、呼吸器装着は要しない段階を指します。本症例は車椅子で通学しており、この段階には至っていません。正しくは:このステージは、寝たきりで移動が介助を要し、呼吸器装着がない段階です。選びやすい理由:疾患の進行に伴い重症化するイメージから、より重度なステージと判断してしまう可能性があります。混同注意:呼吸器装着を要しないものの、完全な寝たきり状態のステージや、さらに重度のステージ。
- 4. ステージは、人工呼吸器を装着しているが、気管切開はしていない段階を指します。本症例は呼吸器装着の記載がなく、この段階には該当しません。正しくは:このステージは、人工呼吸器を装着しているが気管切開はしていない段階です。選びやすい理由:Duchenne型筋ジストロフィーが最終的に呼吸器管理に至ることから、進行期のイメージと混同しやすいため。混同注意:気管切開の有無による呼吸器管理の段階や、さらに末期のステージ。
- 5. ステージは、気管切開を行い人工呼吸器を装着している段階を指します。本症例は呼吸器装着の記載がなく、気管切開も行っておらず、この段階には該当しません。正しくは:このステージは、気管切開を行い人工呼吸器を装着している段階です。選びやすい理由:Duchenne型筋ジストロフィーの末期は非常に重篤な状態に至るため、最も重いステージを選択してしまう可能性があります。混同注意:人工呼吸器管理の有無、さらに呼吸器管理が複雑化した末期のステージ。
国試ポイント
Duchenne型筋ジストロフィーの機能障害度分類(厚生省筋萎縮症研究班)を、各ステージの具体的な運動能力や移動手段と関連付けて理解すること。
混同注意
Duchenne型筋ジストロフィーの機能障害度分類は、他の疾患(例えば、ALSや脊髄性筋萎縮症など)の機能評価スケールとは基準が異なるため混同しないこと。また、筋力評価のMMTの数値と、総合的な機能障害度が直接的に一致するわけではない点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、患者の具体的なADL(特に歩行能力や移動手段、例えば「屋内移動はどうか」「屋外移動はどうか」「車椅子使用の有無」)と、MMTなどの筋力評価の結果を総合して判断します。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーはX染色体劣性遺伝疾患であり、ジストロフィンの欠損が原因で筋線維の変性・壊死が進行します。症状は2~5歳頃に発現し、Gowers徴候、動揺性歩行、転倒しやすさ、仮性肥大などがみられます。一般的に10歳前後で歩行不能となり、車椅子生活へ移行します。20歳前後で呼吸筋や心筋障害が進行し、生命予後を決定します。