22歳の男性。大学の野球部に所属している。右上肢の投球動作時の違和感を訴えて受診し、理学療法が開始された。図に示す手法で伸長される筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
図では、患者が側臥位になり、上肢を外転90度、肘関節屈曲90度とし、前腕を重錘などを用いて下垂させることで肩関節内旋位をとっている。この肢位は、肩関節内旋筋群を伸長するストレッチであり、大円筋は肩関節内旋作用を持つため、このストレッチで伸長される筋である。
選択肢ごとの解説
- 1. 棘下筋は肩関節の外旋筋であり、図の肩関節内旋位では収縮位に近い状態であり、伸長される筋ではない。正しくは:棘下筋を伸長するには、肩関節外転90度、肘関節屈曲90度で、前腕を上方へ持ち上げ、肩関節を内旋位から外旋位へ誘導するストレッチが必要である。選びやすい理由:棘下筋もローテーターカフの一部であり、肩関節周囲筋として選択肢に挙がりやすいため。混同注意:大円筋(内旋筋)と棘下筋(外旋筋)の作用が混同される。
- 2. 棘上筋は肩関節の外転作用を持つ筋であり、図の肩関節内旋位のストレッチでは主なターゲットではない。正しくは:棘上筋のストレッチは、肩関節を内転位に保持して行うのが一般的である。選びやすい理由:棘上筋はローテーターカフの一部であり、肩関節障害と関連が深いため、誤って選択しやすい。混同注意:棘上筋は主に外転作用であり、内旋・外旋のストレッチとは異なる筋がターゲットとなること。
- 3. 小円筋は肩関節の外旋筋であり、図の肩関節内旋位では収縮位に近い状態であり、伸長される筋ではない。正しくは:小円筋を伸長するには、肩関節外転90度、肘関節屈曲90度で、前腕を上方へ持ち上げ、肩関節を内旋位から外旋位へ誘導するストレッチが必要である。選びやすい理由:小円筋もローテーターカフの一部であり、棘下筋と同様に肩関節周囲筋として選択肢に挙がりやすいため。混同注意:大円筋(内旋筋)と小円筋(外旋筋)の作用が混同される。
- 4. 前鋸筋は肩甲骨を外転・上方回旋させる作用を持つ筋であり、図の肩関節内旋位のストレッチでは主なターゲットではない。正しくは:前鋸筋を伸長するには、肩甲骨の内転・下方回旋の動きを行うストレッチが必要である。選びやすい理由:前鋸筋は投球動作において重要な役割を果たすため、野球選手の問題文から連想されやすい。混同注意:肩関節のインナーマッスル(回旋筋)と、肩甲骨のスタビライザー(前鋸筋)の機能が混同される。
- 5. 正解。図のストレッチは、肩関節を外転90度、肘関節屈曲90度とした状態で、前腕を重錘などで下垂させることで肩関節の内旋運動を強制している。大円筋は肩関節の内旋、内転、伸展作用を持つため、この内旋位への強制により最も効果的に伸長される筋である。22歳の野球選手が投球動作時の違和感を訴えていることから、肩関節内旋筋群の柔軟性改善が理学療法の目的の一つと考えられ、このストレッチは適切である。選びやすい理由:正答であるため、適切な解剖学的知識があれば選びやすい。
国試ポイント
肩関節周囲筋の作用とストレッチ方法を正確に理解しているか。特に投球動作に関わる肩関節の筋肉とその機能解剖。
混同注意
棘下筋や小円筋などの肩関節外旋筋群と混同しやすい。これらの筋は肩関節外旋位で伸長されるため、図の肢位とは逆の方向にストレッチされる。
次に同じ論点が出たら
同様の問題では、提示された図の肢位がどの関節運動を強制しているかを読み取り、その運動と拮抗する作用を持つ筋を特定する。
関連知識
野球選手における投球障害肩の病態と理学療法介入。投球動作では肩関節の内旋筋群と外旋筋群のバランスが重要であり、特に内旋筋群の柔軟性低下は障害の一因となる。