MRC sum scoreで評価できるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
MRC sum-scoreは、集中治療室(ICU)入室中に発症する筋力低下であるICU-Acquired Weakness (ICU-AW) の診断と重症度評価に用いられる国際的な評価指標です。両側の上肢(肩関節外転、肘関節屈曲、手関節背屈)と下肢(股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈)の各3筋群について、徒手筋力テスト(MMT)の0~5点の6段階評価を行い、合計点(0~60点)を算出します。一般的に、意識清明で指示理解可能な状態でMRC sum-scoreが48点未満である場合にICU-AWと診断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。MRC sum-scoreは、集中治療室(ICU)入室中に発症する全身性の筋力低下であるICU-Acquired Weakness(ICU-AW)の重症度を客観的に評価するために開発された指標です。上肢と下肢の主要な6つの筋群の徒手筋力テスト(MMT)の合計点で評価します。
- 2. 意識レベルの評価には、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)やジャパン・コーマ・スケール(JCS)といった、意識状態に特化した評価尺度が一般的に用いられます。正しくは:意識レベルの障害を評価するのはGCSやJCSなどである。選びやすい理由:ICUの患者さんは意識障害を伴うことも多く、MRC sum-scoreもICUで使用される評価法であるため、関連付けて考えてしまうかもしれません。しかし、評価対象が異なります。混同注意:筋力低下の評価と意識レベルの評価の目的や方法を混同しやすいです。
- 3. 嚥下機能の障害を評価するには、反復唾液嚥下テストやフードテストなどのスクリーニング検査、または嚥下内視鏡検査(FEES)や嚥下造影検査(VFSS)といった専門的な画像診断が用いられます。正しくは:嚥下機能の障害を評価するのはFEESやVFSS、スクリーニングテストなどである。選びやすい理由:ICU患者さんは人工呼吸器管理などにより嚥下障害を合併することも多いため、ICU-AWと混同しやすいかもしれません。混同注意:全身の筋力評価と、特定の部位(喉頭・咽頭など)の機能評価を混同しやすいです。
- 4. 入院関連能力低下(Hospitalization-Associated Disability:HAD)は、入院によって生じるADL能力全般の低下を指すより広範な概念です。MRC sum-scoreはHADの一因となる筋力低下(ICU-AW)を評価するものであって、HADそのものを直接評価するものではありません。HADの評価には、FIM(機能的自立度評価法)やバーセルインデックスなどのADL評価尺度が用いられることが多いです。正しくは:入院関連能力低下(HAD)はFIMやバーセルインデックスなどのADL評価尺度で評価される。選びやすい理由:ICU-AWはHADの一種であるため、MRC sum-scoreがHADを評価するものと誤解しやすいです。混同注意:特定の筋群の筋力評価と、入院による包括的な機能低下の評価を混同しやすいです。
- 5. 抑うつ状態の評価には、患者健康質問票(PHQ-9)やハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)などの心理学的評価尺度や精神科医による面接が用いられます。正しくは:抑うつ状態はPHQ-9やHAM-Dなどの心理尺度で評価される。選びやすい理由:ICU患者さんはせん妄や精神的な苦痛も抱えやすいため、関連付けてしまうかもしれません。混同注意:身体的な筋力評価と精神的な状態評価を混同しやすいです。
国試ポイント
理学療法士国家試験では、特定の評価尺度(スケール)がどのような病態や機能を評価するために用いられるかを問う問題が頻繁に出題されます。特に、ICU関連の病態(ICU-AW、せん妄、PICSなど)とその評価指標は重要な学習ポイントです。評価尺度名と評価対象となる病態や機能を正確に結びつけて覚えることが求められます。
混同注意
MRC sum-scoreは筋力低下の評価に特化しており、意識レベルを評価するGCSやADL能力を評価するFIM/バーセルインデックスなど、他の評価尺度とその評価対象を混同しやすいです。また、ICU-AWと、入院によって生じるより広範な機能低下であるHADやPICSとの区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
この論点について次回問われた場合、MRC sum-scoreで評価する具体的な筋群(肩関節外転、肘関節屈曲など)や、ICU-AWの診断基準となるカットオフ値(例:48点未満)まで詳細に問われる可能性があります。また、ICU関連の他の合併症(せん妄、PICSなど)とその評価法についても関連付けて学習しておく必要があります。
関連知識
ICU-AWは、ICU入室後48時間以降に新たに発症または悪化した末梢神経系あるいは筋系に起因する筋力低下と定義されます。長期人工呼吸器管理、敗血症、多臓器不全、ステロイド投与などがリスク因子として知られています。ICU-AWは回復に時間を要し、退院後の身体機能障害や生活の質の低下(Post-Intensive Care Syndrome: PICSの一部)に繋がるため、早期発見と適切な介入が重要です。