口すぼめ呼吸の指導で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
口すぼめ呼吸は、COPD患者など気道が虚脱しやすい病態において、呼気時に口をすぼめて抵抗を加えることで、気道内圧を維持し、末梢気道の虚脱を防ぎ、肺内の空気の閉じ込め(air trapping)を軽減することを目的とします。これにより、呼吸困難感を緩和し、ガス交換効率を改善します。
選択肢ごとの解説
- 1. 口すぼめ呼吸は、主に呼気をゆっくりと長くすることで、気道内圧を維持し、末梢気道の虚脱を防ぎ、空気の閉じ込め(air trapping)を軽減することを目的とします。吸気は自然に行い、意識的に延長させることは推奨されません。正しくは:息を吐く時間を長くするように促す。選びやすい理由:呼吸運動全体をゆっくり行うイメージから、吸気も長くすると誤解する可能性があります。混同注意:吸気と呼気の目的や、それぞれの呼吸相で意識すべきポイントについて混同しやすい。
- 2. 口すぼめ呼吸は、ゆっくりと深い呼吸を促すことで、呼吸数を減少させ、呼吸仕事量を軽減することを目的とします。呼吸回数を増やすと、かえって呼吸困難感を増強させる可能性があります。正しくは:呼吸の回数を減らすように指導する。選びやすい理由:効率的なガス交換を目指す中で、呼吸数を増やすことが有効だと短絡的に考えてしまう可能性があります。混同注意:浅く速い呼吸と深くゆっくりとした呼吸の生理的効果について混同しやすい。
- 3. 正解。口すぼめ呼吸は、COPD患者によく見られる気道虚脱と空気の閉じ込め(air trapping)を軽減するために非常に有効な呼吸法です。呼気時に口をすぼめることで陽圧をかけ、気道の閉塞を防ぎ、より効率的に肺内の空気を排出できるようになります。
- 4. 口すぼめ呼吸の目的の一つは、呼気を効果的に延長し、空気の閉じ込め(air trapping)を軽減することです。空気の閉じ込めが軽減されることで、肺の中に残る空気の量、すなわち機能的残気量が減少することが期待されます。正しくは:機能的残気量を減少させることを目的とする。選びやすい理由:呼吸法の指導で何らかの肺容量が増えるのではないか、と誤解する可能性があります。混同注意:機能的残気量や残気量の生理的意義、およびCOPD病態との関連性について混同しやすい。
- 5. 口すぼめ呼吸では、口をすぼめてゆっくりと均一に息を吐き出しますが、頬を膨らませることは推奨されません。頬を膨らませると、気道内圧が過度に上昇し、かえって末梢気道の虚脱を招いたり、呼吸筋に余計な負担をかけたりする可能性があります。正しくは:頬を膨らませずに、口をすぼめてゆっくりと息を吐くように指導する。選びやすい理由:息を吐く際に口をすぼめる動作と、頬を膨らませる動作を混同しやすい。または、力を入れて吐くことと関連づけてしまう可能性があります。混同注意:口すぼめ呼吸の正しい方法と、効果的でない、あるいは有害な呼吸様式を混同しやすい。
国試ポイント
口すぼめ呼吸の生理学的効果、目的、および適用される疾患(特にCOPD)について正確な知識が問われています。指導方法の具体的なポイントも理解している必要があります。
混同注意
呼吸法の指導においては、吸気と呼気の目的、呼吸数と呼吸深度の関係、肺容量(機能的残気量など)の変動、および呼吸筋の効率的な使い方などが複合的に問われるため、それぞれの概念を正確に区別する必要があります。特に、気道内圧を適正に保つための具体的な方法(例:口すぼめ方)についても誤解しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、口すぼめ呼吸の効果を評価する指標(例:呼吸困難感のVASスコア、SpO2、呼吸数)、他の呼吸法との比較(例:横隔膜呼吸との併用)、あるいは具体的な指導における注意点(例:口すぼめ方の具体的な指導方法、呼気吸気比率の指導)が問われる可能性があります。
関連知識
COPDの病態生理(気道狭窄、肺の過膨張、空気の閉じ込め)、呼吸困難感のメカニズム、呼吸リハビリテーションにおける呼吸法の種類(横隔膜呼吸など)とそれぞれの目的、ガス交換の生理。