高次脳機能評価が含まれるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は、脳卒中患者の神経学的所見を定量的に評価するスケールであり、意識レベル、視線、視野、顔面麻痺、運動機能、運動失調、感覚、構音障害、言語、そして『注意・無視』といった項目が含まれています。この『注意・無視』の項目が高次脳機能の一部を評価する内容に該当します。他の選択肢は、ADL、運動機能、痙性など、高次脳機能とは異なる側面を評価するものです。
選択肢ごとの解説
- 1. バーセルインデックスは、食事、排泄、更衣などの基本的な日常生活動作(ADL)の自立度を評価するための尺度です。高次脳機能そのものを直接評価するものではありません。正しくは:「基本的な日常生活動作(ADL)の自立度を評価する尺度である」と修正すれば正しい記述になります。選びやすい理由:リハビリテーションでよく用いられる包括的な評価であるため、高次脳機能の側面も含むと誤解するかもしれません。混同注意:他のADL評価尺度(例:FIM)や、より広範な生活機能評価と混同されることがあります。
- 2. フューゲルマイヤー評価は、主に脳卒中後の運動機能(上肢・下肢)と感覚機能の回復度合いを評価するものです。高次脳機能の評価は含まれていません。正しくは:「脳卒中後の運動機能と感覚機能の回復度合いを評価するものである」と修正すれば正しい記述になります。選びやすい理由:脳卒中後の総合的な機能評価という印象から、高次脳機能もカバーしていると考えるかもしれません。混同注意:その他の脳卒中評価尺度(例:NIHSS、Brunnstrom Stage)と混同されることがあります。
- 3. 改訂アッシュワース尺度(MAS)は、筋の過緊張、特に痙性の程度を評価するための指標です。高次脳機能とは関連がありません。正しくは:「筋の痙性の程度を評価するものである」と修正すれば正しい記述になります。選びやすい理由:脳疾患による症状の一つである痙性を評価するため、脳機能全体と関連付けてしまうかもしれません。混同注意:別の痙性評価尺度(例:Tardieu Scale)や、筋力評価(MMT)と混同されることがあります。
- 4. モトリシティインデックスは、脳卒中後の片麻痺患者の運動麻痺の程度を簡便に評価するための尺度です。筋力テストを簡略化したものであり、高次脳機能の評価は含みません。正しくは:「脳卒中後の運動麻痺の程度を簡便に評価するものである」と修正すれば正しい記述になります。選びやすい理由:脳卒中後の評価として知られているため、高次脳機能も含まれると誤解するかもしれません。混同注意:その他の運動機能評価尺度(例:徒手筋力テスト MMT、FMA)と混同されることがあります。
- 5. 正解。NIHSSは、脳卒中急性期の神経学的重症度を評価するためのスケールです。意識レベル、視覚、顔面麻痺、運動機能、感覚、小脳機能、失語症などに加え、「注意・無視(Attention/Neglect)」の項目が含まれており、これは高次脳機能の一部を評価するものです。
国試ポイント
理学療法士国家試験において、各評価尺度が何を目的とし、どのような項目を評価するのか、その主要な特徴を正確に理解しているかが問われます。特に、高次脳機能評価は多岐にわたるため、どのような評価にどの側面が含まれるのかを区別できる知識が重要です。
混同注意
各評価スケールの名称と評価内容が混同されやすいです。特に、脳卒中に関連する評価は多数あり、それぞれが運動、感覚、高次脳機能など異なる焦点を持ちます。例えば、FMAとNIHSSはどちらも脳卒中患者に使用されますが、FMAは運動・感覚の回復を、NIHSSは急性期の神経学的重症度と一部の高次脳機能(注意・無視)を評価します。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず問題文が「高次脳機能」のどの側面を問うているのかを確認し、各評価尺度の具体的な項目内容を思い出す必要があります。特に「注意・無視」や「言語(失語)」などの項目が含まれるかどうかが判断の鍵となります。
関連知識
高次脳機能の他の代表的な評価尺度には、MMSE(Mini-Mental State Examination)、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)、FAB(Frontal Assessment Battery)、WCST(Wisconsin Card Sorting Test)、TAP(Test of Attentional Performance)などがあります。それぞれの評価が、どの高次脳機能(記憶、注意、遂行機能、失語など)を評価するのかを理解しておくことが重要です。