脳腫瘍の発生部位と症状の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
小脳は、運動の協調性、バランス、姿勢の制御に不可欠な役割を担う脳部位です。この機能が障害されると、典型的に運動失調、企図振戦、構音障害(断綴性言語)といった協調運動障害が現れます。したがって、「小脳:協調運動障害」の組み合わせが正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 視床は感覚の中継核であり、視覚情報も通過しますが、視力障害の直接的な原因となることは稀です。視力障害は主に視覚路(視神経、視交叉、視索、視放線、後頭葉視覚野など)の障害で生じます。視床病変では、対側の感覚障害や不全麻痺、意識障害などが主な症状となります。正しくは:「視床:感覚障害」または「後頭葉(視覚野):視力障害」選びやすい理由:視床が脳の深部に位置し、感覚器から来る情報の中継点であるため、視覚にも関わると思われやすいです。しかし、視力そのものに直接影響を与える部位ではありません。混同注意:視覚路の他の部位(視神経、視交叉、視索など)の障害による症状と混同しやすいです。また、視床の機能である感覚中継と、視力という特定の感覚障害を混同することもあります。
- 2. 正解。小脳は身体の平衡感覚、姿勢制御、随意運動の協調性維持に重要な役割を担っています。そのため、小脳が障害されると、歩行時のふらつき(小脳性歩行)、企図振戦(目的の動作を行う際に震えが増強する)、構音障害(断綴性言語)、眼振などの協調運動障害が典型的に現れます。
- 3. 視交叉は左右の視神経が交差する部位であり、視覚情報の伝達路です。その障害は視野障害、特に両耳側半盲(左右の視野の外側が見えなくなる)を引き起こしますが、言語機能(失語)とは直接関連しません。失語は大脳皮質の言語野(ブローカ野やウェルニッケ野など)の障害で生じます。正しくは:「視交叉:視野障害(両耳側半盲)」または「大脳皮質言語野:失語」選びやすい理由:「視」という文字から視覚に関連する症状を連想させますが、「失語」は言葉の障害であり、視覚の障害とは異なります。視覚に関する高次脳機能障害(失認など)と混同する可能性があります。混同注意:視覚に関する症状(視野障害、視力低下など)と、言語機能に関する症状(失語)を混同しやすいです。また、視覚を司る他の脳部位の機能(後頭葉など)と、言語を司る部位(側頭葉、前頭葉)の機能を混同することもあります。
- 4. 前頭葉は思考、計画、判断、人格、随意運動などを司る部位であり、聴覚機能とは直接関連がありません。聴覚を司る一次聴覚野は側頭葉に位置しています。前頭葉の障害では、思考力低下、人格変化、運動麻痺などが主な症状となります。正しくは:「側頭葉(聴覚野):聴力障害」または「前頭葉:思考力低下、人格変化」選びやすい理由:脳の広範な部位であるため、多様な機能に関与していると思われがちですが、機能局在には特定の領域があります。混同注意:聴覚を司る側頭葉の機能と混同しやすいです。脳の異なる部位がそれぞれ異なる主要な機能を担っているという基本原則を理解していないと誤りやすいです。
- 5. 脳幹は生命維持に不可欠な機能(呼吸、心拍、意識レベルの維持)や、脳神経の核が存在する重要な部位です。人格機能は主に大脳皮質、特に前頭葉の機能と関連が深いです。脳幹部の障害では、意識障害、呼吸循環障害、脳神経麻痺などが主な症状となり、人格障害が前面に出ることは通常ありません。正しくは:「脳幹部:意識障害、脳神経麻痺」または「前頭葉:人格障害」選びやすい理由:脳の深部に位置するため、高次機能にも影響を与えると思われがちですが、人格機能は主に大脳皮質、特に前頭葉が担っています。脳の損傷が重篤な場合、二次的に意識レベル低下や認知機能障害が生じ、結果として行動に変化が見られることもありますが、これは直接的な「人格障害」とは異なります。混同注意:人格機能を司る前頭葉の機能と混同しやすいです。また、脳幹の機能(生命維持、意識維持)と、より高次な精神機能(人格、思考)を混同することもあります。
国試ポイント
脳の各部位がそれぞれどのような主要な機能を担っているか、そしてその部位が障害された場合にどのような典型的な症状が現れるかという、神経解剖学および神経生理学の基礎知識を問う問題です。特に、大脳皮質の各葉、小脳、脳幹、視床などの主要な脳構造の基本的な機能は国家試験において頻出のテーマです。
混同注意
脳の機能局在は複雑であり、各部位の機能やそれに関連する症状が混同されやすいです。特に、視覚路や聴覚路の特定の部位の症状と、失語、失行、失認といった高次脳機能障害の発生部位を正確に区別することが重要となります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の脳部位(例:側頭葉、頭頂葉、後頭葉、基底核、視床下部)の障害とそれに伴う症状の組み合わせが問われる可能性があります。特に、失語、失行、失認といった高次脳機能障害の機能局在についても重点的に学習しておくことが求められます。
関連知識
大脳皮質の各葉(前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉)の機能、基底核の機能、視床下部の機能、脳神経とその支配、錐体路・錐体外路の症状など、中枢神経系の構造と機能全般に関する知識が関連します。