末梢神経伝導検査が診断に有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
手根管症候群は、正中神経の絞扼性障害であり、末梢神経伝導検査によって神経伝導速度の遅延や潜時の延長など、客観的な神経機能異常を捉えることができるため、診断に非常に有用です。他の選択肢は、中枢神経疾患、原発性筋疾患、血管疾患であり、末梢神経伝導検査は診断の第一選択ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. パーキンソン病は脳の中枢神経系に起こる変性疾患であり、末梢神経の機能評価を行う末梢神経伝導検査は、この疾患自体の診断には直接的な情報を提供しません。正しくは:パーキンソン病の診断には、特徴的な臨床症状の確認、ドーパミン製剤への反応性、必要に応じて脳画像検査(DATスキャンなど)が主に用いられます。選びやすい理由:神経系の疾患であるため、神経検査全般が有用であると誤解する可能性があります。混同注意:中枢神経疾患と末梢神経疾患の診断アプローチ。
- 2. 正解。手根管症候群は、手首の正中神経が圧迫されることによって生じる末梢神経の障害です。末梢神経伝導検査では、この部位における神経伝導速度の低下や潜時の延長が検出されるため、診断に非常に有用であり、客観的な評価指標となります。
- 3. 多系統萎縮症は、脳や脊髄といった中枢神経系の広範な部位が障害される神経変性疾患です。末梢神経伝導検査は末梢神経の機能を評価するものであり、この疾患の診断には直接的に寄与しません。正しくは:多系統萎縮症の診断には、特徴的な自律神経症状や小脳症状、パーキンソニズムなどの臨床症状、およびMRIなどの脳画像検査が主に用いられます。選びやすい理由:これも神経変性疾患であるため、広義の神経疾患として検査が有効だと誤認する可能性があります。混同注意:中枢神経系疾患と末梢神経系疾患の鑑別。
- 4. 筋ジストロフィーは、筋肉そのものが変性・壊死する原発性筋疾患です。神経自体には異常がないため、末梢神経伝導検査では通常、異常は検出されません。診断には筋生検や針筋電図、遺伝子検査が用いられます。正しくは:筋ジストロフィーの診断には、筋生検、針筋電図(筋原性変化を示す)、または遺伝子検査が主に用いられます。末梢神経伝導検査は通常正常です。選びやすい理由:筋力低下を主症状とするため、神経の異常と関連付けてしまうことがあります。混同注意:神経原性疾患(神経に原因)と筋原性疾患(筋肉に原因)。
- 5. 閉塞性動脈硬化症は、動脈の狭窄や閉塞によって血流が悪くなる血管の病気です。神経の機能評価を目的とする末梢神経伝導検査は、この血管疾患の診断には直接的に有用ではありません。正しくは:閉塞性動脈硬化症の診断には、足関節上腕血圧比(ABI)の測定、血管エコー検査、CT血管造影、またはMRI血管造影が主に用いられます。選びやすい理由:下肢のしびれや痛みなどの症状から、神経障害を連想しやすいですが、主たる原因は血管です。混同注意:血管性疾患による症状と神経疾患による症状。
国試ポイント
末梢神経伝導検査の適応疾患、特に末梢神経障害(絞扼性神経障害を含む)と、中枢神経疾患、筋疾患、血管疾患との鑑別が問われています。各検査が評価する対象(神経、筋肉、血管など)を理解しているかが重要です。
混同注意
末梢神経伝導検査は末梢神経の機能評価に特化しており、中枢神経疾患(パーキンソン病、多系統萎縮症)や筋疾患(筋ジストロフィー)、血管疾患(閉塞性動脈硬化症)の診断には第一選択ではありません。これらの疾患と、ギラン・バレー症候群、糖尿病性神経障害などの末梢神経障害とを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まずその疾患が「末梢神経」に問題があるのか、「中枢神経」に問題があるのか、「筋肉」に問題があるのか、「血管」に問題があるのかを明確に分類し、末梢神経伝導検査が評価する対象と合致するかどうかを判断します。
関連知識
末梢神経伝導検査は、運動神経伝導速度(MCV)、感覚神経伝導速度(SCV)、H反射、F波などを測定し、神経障害の有無、種類(軸索障害か脱髄障害か)、部位を特定するために用いられます。ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性神経障害、多発単神経炎などの診断にも重要です。筋疾患の評価には針筋電図がより有用です。