股関節屈曲拘縮を調べるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Thomasテストは、股関節の屈曲拘縮、特に腸腰筋の短縮の有無を評価する代表的な理学療法検査です。患者を仰臥位にし、検査側の股関節と膝関節を最大限に屈曲させることで腰椎の前弯を平坦にします。この状態で、反対側の股関節がベッドから浮き上がる(=伸展できない)場合、屈曲拘縮があると判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. Allisテストは、乳幼児における発育性股関節形成不全、特に股関節脱臼による下肢長の不均等を評価するための検査です。股関節屈曲拘縮を直接調べるものではありません。正しくは:股関節の発育性股関節形成不全による下肢長不均等を評価する。選びやすい理由:下肢の長さを評価する検査であり、股関節に関連するため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:トーマステストとは目的が全く異なります。股関節周囲の他の検査と混同する可能性は低いですが、下肢の検査という大枠で捉えられることがあります。
- 2. McMurrayテストは、膝関節の半月板損傷を評価するための検査です。股関節屈曲拘縮を調べるものではありません。正しくは:膝関節の半月板損傷を評価する。選びやすい理由:膝関節も下肢の主要な関節であり、関節の機能障害を調べるテストとして連想されるかもしれませんが、部位が異なります。混同注意:股関節の検査であるトーマステストとは対象となる関節が明確に異なるため、混同する可能性は低いですが、運動器の検査という点でまとめて学習していると間違えるかもしれません。
- 3. Patrickテスト(FABERテスト)は、股関節の病変(例:変形性股関節症、関節唇損傷)や仙腸関節の機能不全、または腸腰筋のスパズムを評価するための検査です。股関節の可動域や痛みを評価しますが、屈曲拘縮を直接、特異的に評価する検査ではありません。正しくは:股関節や仙腸関節の病変、腸腰筋スパズムによる痛みを評価する。選びやすい理由:股関節の評価に用いられる検査であり、股関節の可動域や痛みに焦点を当てるため、屈曲拘縮の評価と混同しやすいです。混同注意:股関節の検査という点でトーマステストと共通しますが、トーマステストが「拘縮の有無」を明確に評価するのに対し、パトリックテストは「病変の有無や痛みの誘発」を評価する点が異なります。
- 4. Simmondsテスト(Thompsonテストとも呼ばれる)は、アキレス腱断裂を評価するための検査です。股関節屈曲拘縮を調べるものではありません。正しくは:アキレス腱断裂を評価する。選びやすい理由:下肢の検査ではありますが、足関節・下腿の検査であるため、股関節とは部位が大きく異なります。名称を誤って覚えていたり、他のテストと混同している場合に選ぶ可能性があります。混同注意:下肢全体の運動器を評価する検査の一つという点で、他のテストと一括りにされることはありますが、目的や対象部位は明確に異なります。
- 5. 正解。Thomasテストは、股関節の屈曲拘縮、特に腸腰筋の短縮によるものを評価するために広く用いられる検査です。このテストでは、一方の股関節と膝関節を完全に屈曲させて腰椎の前弯を平坦にした状態で、反対側の股関節がベッドから浮き上がるかどうかを確認します。浮き上がれば、股関節屈曲拘縮が存在すると判断されます。
国試ポイント
理学療法国家試験では、各関節の代表的な拘縮や機能障害を評価する検査の名称と目的を正確に理解しているかが頻繁に問われます。特に、下肢の主要な関節(股関節、膝関節、足関節)の検査は重要です。複数の関節を評価する検査や、目的が類似しているが対象疾患が異なる検査との鑑別もポイントとなります。
混同注意
股関節の検査としてはPatrickテスト(FABERテスト)と混同しやすいですが、Patrickテストは股関節や仙腸関節の病変・痛みを誘発する目的で用いられ、屈曲拘縮を直接評価するものではない点が異なります。また、股関節の可動域制限を評価する他の検査(例:膝胸テスト)とは、目的は類似するが実施方法が異なるため、区別して覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、股関節屈曲拘縮だけでなく、股関節の伸展・外転・内転・内外旋拘縮を評価する各テストの名称と具体的な方法、および陽性所見の意味を問う問題が出ると考えられます。また、拘縮の原因となる筋肉や関節包の構造、関連する疾患の知識も必要となります。
関連知識
Thomasテストの陽性所見は、腰椎の前弯を平坦にした際に、反対側の股関節がベッドから浮き上がる(=伸展制限がある)ことです。股関節屈曲拘縮の原因としては、腸腰筋の短縮、関節包の線維化、股関節疾患(例:変形性股関節症)、腰椎疾患(例:腰椎前弯増強)などが挙げられます。その他の選択肢に示された検査の目的も、合わせて理解しておくことが重要です。