関節リウマチに対する理学療法で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
関節リウマチの理学療法では、病期や関節の状態に応じた適切な介入が求められます。特に活動期の関節炎に対しては、関節への負担を最小限に抑えつつ筋力低下を予防することが重要です。等尺性運動は関節を動かさないため、炎症を悪化させるリスクが低く、筋力維持に効果的です。他の選択肢は、炎症の増悪、関節の不安定化、脊髄損傷のリスクなど、患者さんに有害となる可能性が高い不適切な介入です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。関節リウマチの活動期や疼痛がある場合、関節に過度な負担をかけず筋力低下を予防するために、等尺性運動(静的筋力トレーニング)は非常に有効です。関節運動を伴わないため、炎症が悪化するリスクが低いとされています。
- 2. 関節強直は、関節の構造が器質的に変化し、すでに動きが失われている状態です。この段階で無理に可動域訓練を行っても、改善は見込めず、かえって痛みを誘発したり、患者さんに不必要な苦痛を与えたりする可能性があります。正しくは:関節強直が進行する前の段階で関節可動域訓練を行い、強直を予防することが重要です。強直が起きてしまった場合は、残存機能の活用や装具療法などを検討します。選びやすい理由:関節可動域訓練がリハビリテーションの基本的な要素であり、関節の機能維持に重要であるという一般的な認識から、一見すると正しい選択肢のように見えるかもしれません。混同注意:関節可動域制限と関節強直を混同している可能性があります。可動域制限の初期であれば運動療法が有効ですが、強直はすでに動きが失われた状態です。
- 3. ムチランス変形は、骨の融解により関節が極度に不安定となり、関節の脱臼や亜脱臼が生じやすい状態です。このような不安定な関節に対して他動運動を行うと、さらなる関節の不安定性や破壊を招き、重篤な損傷を引き起こす危険性があります。正しくは:ムチランス変形では、関節の安定性を最優先し、装具を用いた固定や、不安定性を悪化させないよう日常生活動作の指導を行うことが重要です。選びやすい理由:関節の柔軟性や可動域を維持するために他動運動が有効なケースがあるため、ムチランス変形にも適用できると考えてしまうかもしれません。混同注意:一般的な関節の変形や可動域制限と、ムチランス変形のような重度の不安定性変形による危険性を混同している可能性があります。
- 4. 関節リウマチの活動期には関節に炎症が生じており、温熱療法を行うと血流が増加し、炎症反応を悪化させて疼痛を増強させる可能性があります。活動期の炎症性疼痛には冷却療法が適しています。正しくは:活動期の痛みに対しては、炎症を鎮静化させるために冷却療法を用いることが適切です。温熱療法は、非活動期や慢性期の疼痛緩和に用いることがあります。選びやすい理由:温熱療法が一般的に筋肉のこわばりや慢性的な痛みの緩和に用いられるため、リウマチの痛みにも効果的だと誤解しやすいです。混同注意:温熱療法と冷却療法の適応、特に炎症の有無による使い分けを混同している可能性があります。
- 5. 環軸椎亜脱臼は、上位頸椎の不安定性であり、脊髄圧迫のリスクを伴う非常に危険な状態です。頸椎の可動域訓練を行うと、不安定性が増強され、脊髄損傷による麻痺や呼吸困難などの重篤な神経症状を引き起こす可能性があり、禁忌とされています。正しくは:環軸椎亜脱臼が確認された場合、頸椎の安定化を図ることが最優先されます。頸部カラーによる固定や安静臥床、重度の場合は手術的治療が検討されます。可動域訓練は絶対に行ってはいけません。選びやすい理由:可動域訓練がリハビリテーションの基本的な要素であるため、頸椎にも適用できると考えてしまうかもしれません。しかし、環軸椎亜脱臼の重篤性を理解していないと誤答を選びやすいです。混同注意:一般的な頸部痛や軽度の頸椎機能障害と、環軸椎亜脱臼による上位頸椎の重度な不安定性および脊髄圧迫のリスクを混同している可能性があります。
国試ポイント
関節リウマチにおける病態の理解に基づいた理学療法介入の選択が問われています。特に、炎症の活動性、関節の変形の種類、合併症の有無といった要素を考慮した、適切な運動療法の適応と禁忌に関する知識が重要です。
混同注意
活動期と非活動期における治療方針の違い(温熱療法と冷却療法)、一般的な関節可動域制限と関節強直やムチランス変形などの特殊な病態に対する運動療法の違い、そして環軸椎亜脱臼のような重篤な合併症に対する運動療法の絶対的禁忌を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
関節リウマチ患者の臨床評価において、炎症の活動性や関節の安定性、変形の程度を正確に把握できるか。また、その評価結果に基づいて、患者さんの安全性と治療効果を最大化できる理学療法計画を立案できるか、という点が次に問われる可能性があります。
関連知識
関節リウマチの病態生理、関節保護の原則、各関節の変形(スワンネック変形、ボタン穴変形など)とそれに応じた理学療法、活動性評価指標(DAS28など)、各種理学療法手技の適応と禁忌、および環軸椎亜脱臼の症状・リスク・管理方法について学習しておく必要があります。