前十字靱帯損傷で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
前十字靱帯損傷の診断にはラックマンテストが非常に有用であり、陽性を示すことが多いです(選択肢2)。また、ハムストリングスは脛骨を後方へ引く作用があるため、収縮することで前十字靱帯にかかる前方剪断力を軽減し、保護する役割があります(選択肢5)。
選択肢ごとの解説
- 1. 前十字靱帯損傷は、半月板損傷や内側側副靱帯損傷など、他の膝関節構造物と合併して発生することが多く、単独損傷の割合は通常20〜30%程度とされています。正しくは:単独での損傷は比較的少なく、他の組織との合併損傷が多い。選びやすい理由:一般的な疾患の中には単独損傷が多いものもあるため、知識が曖昧だと誤って選びやすいかもしれません。混同注意:他の比較的軽微な靱帯損傷(例:軽度の内側側副靱帯損傷)や、稀な完全単独損傷のケースと混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。ラックマンテストは、膝を軽度屈曲位で脛骨を前方に引き出すことで前十字靱帯の安定性を評価する徒手検査であり、前十字靱帯損傷の診断において非常に感度が高いとされています。
- 3. 前十字靱帯の再建術は、膝関節の不安定性を改善し、半月板損傷などの二次的な合併症を予防するため、受傷後早期(炎症や可動域制限が落ち着いた数週間から数ヶ月後)に実施されることが一般的です。1年以降まで待つことは通常推奨されません。正しくは:再建手術は、炎症や可動域制限が落ち着いた受傷後早期に行われることが多い。選びやすい理由:手術時期に関する知識が曖昧な場合、術後の回復期間や慎重な判断が必要という漠然とした印象から、長期期間を誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:急性期の炎症や可動域制限が治まるまでの待機期間、あるいはスポーツ復帰までの期間と混同しやすいかもしれません。
- 4. 前十字靱帯再建術後のスポーツ復帰率は、単純なスポーツへの復帰ではなく「受傷前と同じ競技レベルまで復帰できる」となると、一般的に70〜80%程度とされており、9割を超えることは稀です。特に高度なコンタクトスポーツではその傾向が顕著です。正しくは:受傷前の競技レベルまでスポーツに復帰できる割合は7割から8割程度である。選びやすい理由:手術技術の進歩やリハビリテーションの充実により、復帰への期待が高いため、高い成功率を過大評価してしまう可能性があります。混同注意:単に「スポーツへ復帰できる(レベルは問わない)」割合と、「受傷前レベルへの完全な復帰」の割合を混同しやすいかもしれません。
- 5. 正解。ハムストリングスは脛骨を後方へ牽引する作用を持つため、収縮することで脛骨の前方移動を抑制し、前十字靱帯にかかる前方剪断力(緊張)を減少させる効果があります。これは、前十字靱帯の保護やリハビリテーションにおいて重要な機能です。
国試ポイント
前十字靱帯損傷の病態、診断(特に徒手検査)、治療(手術時期)、予後(スポーツ復帰率)、および関連する筋群(大腿四頭筋とハムストリングス)の機能的役割に関する基礎的な知識が問われています。特に、ハムストリングスの前十字靱帯保護作用は頻出のポイントです。
混同注意
前十字靱帯損傷の診断で用いられる他の徒手検査(前方引き出しテスト、pivot shift test)や、後十字靱帯損傷との鑑別における徒手検査の方向性(後方への動揺性)と混同しやすいです。また、再建術後のリハビリテーション期間と、スポーツ復帰までの期間、大腿四頭筋の作用(ACLに前方剪断力を加える)との対比も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
前十字靱帯損傷に関する問題が出た場合、まず受傷機序、症状、そして診断のための主要な徒手検査(Lachman test, pivot shift testなど)の陽性所見が問われる可能性が高いです。また、リハビリテーションにおける大腿四頭筋とハムストリングスの機能的役割、特にハムストリングスの保護作用は重要視される論点です。再建術の適切な時期や予後、合併症についても注意深く学習する必要があります。
関連知識
前十字靱帯損傷の発生機序(非接触型・接触型、in-direct injury)、Lachman test、前方引き出しテスト、Pivot shift testの手技と意義、ACL再建術の術式(自家腱の種類など)、リハビリテーションプログラム(フェーズごとの目標)、大腿四頭筋とハムストリングスの協調的な収縮の重要性について理解しておくことが望ましいです。