リンパ浮腫への対応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
リンパ浮腫では皮膚が乾燥しやすく、亀裂や傷が生じやすいです。これらは蜂窩織炎などの感染症の入り口となるため、皮膚のバリア機能を維持するための保湿ケアが極めて重要です。利尿薬や水分制限はリンパ浮腫には無効であり、剃毛は皮膚に傷をつけるリスクがあります。患肢を低い位置に保つことは浮腫を悪化させます。
選択肢ごとの解説
- 1. リンパ浮腫は、利尿薬では根本的に改善されません。リンパ管の機能不全によるタンパク質に富んだ間質液の貯留であり、単なる水分貯留とは病態が異なります。正しくは:複合的理学療法(用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下の運動療法、スキンケア)などを用いて治療する。選びやすい理由:むくみ=水分貯留=利尿薬、という一般的なイメージから誤って選びやすい。混同注意:心不全や腎不全などによる浮腫(全身性浮腫)とリンパ浮腫を混同しやすい。
- 2. リンパ浮腫は水分摂取制限で改善するものではありません。むしろ脱水を招き、便秘などを悪化させる可能性があり、適切な水分摂取は必要です。正しくは:水分摂取は制限せず、適切な量を摂取する。選びやすい理由:浮腫=水分過多=水分制限、という誤った連想から選びやすい。混同注意:腎不全や心不全などによる浮腫で水分制限が必要な場合とリンパ浮腫を混同しやすい。
- 3. 剃毛は皮膚に微細な傷を作り、感染(蜂窩織炎など)のリスクを高めるため、リンパ浮腫患者には推奨されません。正しくは:患部の皮膚を清潔に保ち、外傷や感染のリスクを避ける。体毛の処理が必要な場合は、皮膚に負担をかけない方法(例:トリマーでのカット)を検討する。選びやすい理由:清潔保持の意識から、または一般的な医療処置としての剃毛を連想して選びやすい。混同注意:手術前の準備としての剃毛と、日常的なリンパ浮腫管理を混同しやすい。
- 4. 正解。リンパ浮腫の患肢は、リンパ液の貯留による皮膚の乾燥、角化、亀裂が生じやすく、これらが感染経路となるリスクが高まります。保湿は皮膚のバリア機能を保ち、感染予防に非常に重要です。
- 5. 患肢を低い位置に保つと、重力の作用でリンパ液が貯留しやすくなり、浮腫を悪化させます。リンパ浮腫の管理では、患肢の挙上や運動療法が推奨されます。正しくは:患肢を高い位置に保つか、適度な運動を行う。選びやすい理由:静脈瘤などで足を動かさない方が良い場合と混同したり、安静を重視するあまり選びやすい。混同注意:炎症性疾患などでの局所安静と、リンパ液の循環を促すリンパ浮腫管理を混同しやすい。
国試ポイント
リンパ浮腫の病態生理に基づいた適切なケアの知識、特にスキンケアの重要性が問われています。誤った民間療法や他の浮腫に対する治療法との鑑別がポイントです。
混同注意
リンパ浮腫と全身性浮腫(心性浮腫、腎性浮腫など)の病態と治療法を混同しやすいです。また、浮腫=水分過剰という単純な連想に基づく誤った対応や、一般的な清潔ケアとリンパ浮腫患者のデリケートな皮膚ケアを混同しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
リンパ浮腫の病態を正確に理解し、それが他の浮腫とどう異なるかを把握することが重要です。特に、リンパ液の組成(高タンパク)と、それによる皮膚の変化、そして感染リスクへの対策が今後も問われやすいでしょう。
関連知識
リンパ浮腫の病態、分類(原発性、続発性)。複合的理学療法(用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下の運動療法、スキンケア)の各要素とその目的。蜂窩織炎の予防と対応。