60歳の男性。交通事故による右足部の開放骨折のため入院した。1週後に右足部の腫脹、熱感が出現し、右中足骨の骨髄炎と診断され、右足関節離断術が施行された。製作すべき義足はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
右足関節離断術(Syme’s amputation)が施行された場合、脛骨遠位端と腓骨遠位端が残存し、踵骨脂肪褥が断端の荷重面として用いられるため、断端は特有の球状(バルキー)な形状となります。この切断術に適応する義足はサイム義足であり、断端の形状に合わせたソケットと、足継手や足部が一体となった構造が特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. このタイプの義足は、脛骨下端よりも上位での切断(下腿切断)に対して用いられます。足関節離断術は、切断レベルが異なります。正しくは:下腿切断(膝下切断)の場合に製作を検討します。選びやすい理由:下腿義足という大きな分類で捉えると、足関節に近い部分の切断であるため、選択肢として考慮してしまうかもしれません。混同注意:足関節離断術と下腿切断の切断レベルの違い。足関節離断術では、脛骨遠位端と腓骨遠位端は温存され、踵骨脂肪褥が残される特徴的な切断です。
- 2. TSB式下腿義足も、下腿切断(膝下切断)に適用される義足です。足関節離断術の切断レベルとは合致しません。正しくは:下腿切断(膝下切断)の場合に製作を検討します。選びやすい理由:PTB式と同様に、下腿義足の一種であるため、切断部位との関連性を誤解する可能性があります。混同注意:PTB式と同様に、足関節離断術と下腿切断の切断レベルの違い。
- 3. 吸着式は、義足の懸垂方法の一種であり、主に下腿切断に用いられますが、足関節離断術に特化した義足の種類ではありません。足関節離断術の断端は特徴的な形状のため、通常の吸着式懸垂は困難なことが多いです。正しくは:下腿切断における懸垂方法の一つです。足関節離断術には、断端の形状を考慮した適切なソケット設計と懸垂方式が求められます。選びやすい理由:義足の種類の名前として認識し、選択肢に入れてしまうかもしれません。しかし、これは義足の「型」ではなく「懸垂方法」に近いです。混同注意:義足の「種類」と「懸垂方法」の区別。また、足関節離断術の断端がバルキーであるため、単純な吸着懸垂には適さない点を理解していないと混同しやすいです。
- 4. 正解。サイム義足は、足関節離断術(サイム切断術)のために特化して開発された義足です。この切断術では、脛骨と腓骨の遠位端が温存され、踵骨の脂肪褥が足底に移植されるため、荷重に強い断端となります。サイム義足は、この特徴的なバルキーな断端形状を覆い、良好な適合と歩行能力を提供します。
- 5. 足根中足義足は、足根中足関節より遠位(リスフラン関節離断術やショパール関節離断術など)の切断に対して用いられる部分足部義足です。足関節離断術は、これらの切断よりも上位(足関節レベル)での切断であり、義足の適用部位が異なります。正しくは:リスフラン関節離断術やショパール関節離断術のような部分足部切断の場合に製作を検討します。選びやすい理由:「足部」という言葉から、足の切断に関する義足として連想しやすいかもしれません。混同注意:足関節離断術の切断レベルと、リスフラン、ショパールなどの部分足部切断のレベルの区別。足関節離断術は、足根中足関節より上位の主要な関節離断術です。
国試ポイント
この問題は、義肢装具学における切断レベルと義足の種類に関する基本的な知識を問うものです。特に足関節離断術(サイム切断術)の切断部位と、それに適した義足の種類(サイム義足)を正確に理解しているかが試されます。下腿切断術や部分足部切断術など、他の切断レベルとそれぞれの義足の特徴との区別が重要です。
混同注意
サイム義足と下腿義足(PTB式、TSB式など)の区別が混同しやすいです。サイム義足は下腿部に分類されることもありますが、断端の形状と荷重方法、義足の構造が下腿義足とは大きく異なります。また、部分足部義足(足根中足義足)とも切断レベルが異なるため、混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず設問で示された『切断レベル』を正確に把握することが重要です。今回の場合は『足関節離断術』です。次に、その切断レベルに特有の義足の名称を思い出すこと。また、提示された選択肢が、他の切断レベルに適用される義足ではないか、あるいは義足の種類ではなく懸垂方法や構成要素を示しているだけではないか、といった点を確認します。
関連知識
各切断レベル(部分足部切断:趾切断、中足骨頭切断、リスフラン関節離断、ショパール関節離断、足関節離断術:サイム切断術、下腿切断術:膝下切断、大腿切断術:膝上切断、股関節離断術、骨盤離断術)とその義足の種類、特徴、懸垂方式、機能的特徴について整理しておくことが重要です。特に、サイム切断術は断端の機能的予後が良い反面、義足の装着時における外観上の問題やソケットの適合が難しい場合があります。