運動学習の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
正の転移は、先行する学習経験が後続の新しい学習や技能習得に良い影響を与える現象を指します。ソフトボールの投球と野球の投球は、基本的な運動パターンや筋活動に共通する要素が多いため、ソフトボールの経験が野球の投球動作の習得を促進するという記述は、正の転移の典型的な例として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ソフトボールと野球の投球動作は共通する要素が多く、先行する学習が後続の学習を促進するため、これは「正の転移」の適切な例である。
- 2. トレッドミル歩行中に計算課題を行うのは、二重課題(デュアルタスク)訓練の一例であり、「エラーレス学習」とは異なる。「エラーレス学習」は、誤りが生じないように学習環境を調整し、失敗体験を避ける指導法である。正しくは:エラーレス学習:セラピストが常に具体的な指示や補助を行い、患者が間違った動作をすることなく、目的の動きを反復して習得できるように導く。選びやすい理由:「学習」という言葉が含まれているため、何らかの学習方法と誤解しやすいかもしれない。混同注意:二重課題訓練、コグニティブ・モータートレーニング
- 3. 動作中に動画撮影する行為自体は「同時」に行われるが、その映像を「終了後に確認する」のは、結果フィードバック(Terminal feedback)または知識のフィードバック(Knowledge of Performance: KP)に分類される。「同時フィードバック」は、動作の遂行中にリアルタイムで提供される情報である。正しくは:同時フィードバック:バッティング動作中に、モニターに映し出された自身のフォームをリアルタイムで確認しながら修正する。選びやすい理由:「動画撮影」が「同時」に行われるため、フィードバックが同時であるかのように錯覚しやすい。混同注意:結果フィードバック(Terminal feedback)、知識のフィードバック(Knowledge of Performance: KP)
- 4. 患側下肢の「荷重量」を伝えるのは、運動の結果に関する情報であり、「結果の知識」(Knowledge of Results: KR)に該当する。「パフォーマンスの知識」(Knowledge of Performance: KP)は、動作の質やパターンに関する情報である。正しくは:パフォーマンスの知識:部分荷重練習時に、足部が適切に接地しているか、膝の屈曲角度は適正かなど、動作の具体的な質についてフィードバックする。選びやすい理由:「パフォーマンス」という言葉があるため、動作中の情報と誤解しやすい。混同注意:結果の知識(Knowledge of Results: KR)
- 5. 実際に身体を動かし「試行錯誤を繰り返す」のは、身体的練習(Physical practice)であり、「メンタル・プラクティス」とは異なる。「メンタル・プラクティス」は、実際に身体を動かさずに、心の中で運動をイメージする練習方法である。正しくは:メンタル・プラクティス:起き上がり動作を頭の中で繰り返しイメージすることで、実際に動作を行った際の成功率が高まる。選びやすい理由:「失敗数が減少する」という良い結果が提示されているため、正しい学習方法と誤解しやすい。混同注意:身体的練習(Physical practice)
国試ポイント
この問題は、運動学習における基本的な概念(正の転移、エラーレス学習、フィードバックの種類、パフォーマンスの知識/結果の知識、メンタル・プラクティス)の定義と具体例を正確に理解しているかを問うものです。各概念の名称と、それがどのような学習状況を指すのかを正しく結びつけられるかどうかがポイントです。
混同注意
各選択肢で問われている運動学習の概念と、誤って記述されている概念との混同が主な引っかけの構造です。特に、フィードバックの種類(同時 vs 結果、KP vs KR)や、学習方法(エラーレス vs 二重課題、メンタル・プラクティス vs 身体的練習)は混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、他の運動学習の原則(例:シェーピング、チェイニング、トークンエコノミーなどの行動療法的な学習概念や、ブロック練習とランダム練習のような練習スケジュールの効果、外発的・内発的フィードバックの区別など)と具体的な例の組み合わせが問われる可能性が高いです。また、各概念がどのような疾患の患者に適応されるか、といった臨床応用と結びつけた問題も考えられます。
関連知識
負の転移、フィードバックの頻度・タイミング、スキーム理論、エコノミーの原則、内発的フィードバックと外発的フィードバック、ブロック練習とランダム練習、分散練習と集中練習、全体練習と部分練習。