嫌気性解糖で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
嫌気性解糖は、酸素が十分に供給されない状況下で、グルコースを分解してエネルギー(ATP)を産生する経路です。この過程では、グルコースがピルビン酸に分解され、その後、乳酸デヒドロゲナーゼの作用によりピルビン酸が乳酸に変換されます。この乳酸生成の過程で、NADHがNAD+に再酸化されるため、解糖系を継続させることが可能となります。この記述は嫌気性解糖の最も重要な特徴の一つを正確に捉えています。
選択肢ごとの解説
- 1. 嫌気性解糖ではTCA回路は利用されません。TCA回路は好気性代謝経路の一部です。正しくは:嫌気性解糖ではTCA回路は利用されない。選びやすい理由:TCA回路がエネルギー産生に関わる重要な経路であるため、なんとなく正しい選択肢に見えてしまう。混同注意:好気性代謝(TCA回路、電子伝達系)と嫌気性代謝(解糖系)の区別が曖昧な場合。
- 2. 嫌気性解糖(解糖系)は細胞質ゾル(細胞質基質)で行われます。正しくは:嫌気性解糖は細胞質ゾル(細胞質基質)で進行する。選びやすい理由:ミトコンドリアが細胞のエネルギー産生において重要な役割を担っているため、そこで行われると誤解しやすい。混同注意:好気性代謝(TCA回路、電子伝達系)がミトコンドリア内で行われることと混同。
- 3. 供給エネルギーの持続時間が約15秒なのは、ATP-CP系(クレアチンリン酸系)です。嫌気性解糖系の持続時間は数十秒から数分程度です。正しくは:嫌気性解糖によるエネルギー供給の持続時間は数十秒から数分程度である。選びやすい理由:瞬発的な運動に関わるエネルギー供給系として、短い持続時間が結びつきやすいため。混同注意:ATP-CP系と嫌気性解糖系の持続時間の違い。
- 4. 正解。嫌気性解糖では、グルコースがピルビン酸に分解され、酸素がない環境下ではピルビン酸が乳酸に変換されることでNAD+を再生し、解糖系を継続させます。これが嫌気性解糖の特徴的な代謝経路です。選びやすい理由:この記述は嫌気性解糖の定義そのものであり、疑問の余地が少ない。混同注意:特に無し。
- 5. グルコース1分子から嫌気性解糖で生成されるATPは、正味2分子です。4分子は総生成量で、初期に2分子を消費するため、正味は2分子となります。正しくは:グルコース1分子から正味2分子のATPが得られる。選びやすい理由:生成されるATPの総量が4分子であるため、この数字に注目してしまうと誤答につながる。混同注意:ATPの総生成量と正味生成量の違い。
国試ポイント
嫌気性解糖の代謝経路、反応場所、産生されるATP量、他のエネルギー供給系(ATP-CP系、好気性代謝)との違いや持続時間に関する知識が問われています。特に、正味のATP生成量と総生成量の区別、そして最終産物(乳酸)の意義を理解しているかが重要です。
混同注意
好気性解糖(TCA回路や電子伝達系を含む)との反応場所、生成物、ATP産生効率、持続時間。また、ATP-CP系とのエネルギー供給持続時間。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各エネルギー供給系の反応場所、最終産物、正味のATP産生量、エネルギー供給の持続時間、およびその系が優位になる運動の種類について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
・解糖系の反応過程と各酵素。・乳酸生成の意義とコリ回路。・ATP-CP系、嫌気性解糖系、有酸素性代謝系のそれぞれの特徴(持続時間、ATP産生速度、ATP産生効率、代謝産物)。・運動強度とエネルギー供給系の関係。