病態と図に示す靴の補正との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
踵骨骨棘はかかとの衝撃緩和のためにヒールクッションが有効です。槌指は、足指の変形により靴のつま先部分で圧迫されやすいため、トーボックス(つま先の高さ)を調整して空間を確保することが重要です。他の選択肢は、病態と示された補正の組み合わせが誤っています。外反平足には内側ウェッジ、外反膝にはヒール内側挙上、内反足には外側ウェッジや足関節装具がそれぞれ適応となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。踵骨骨棘は、かかとの骨に棘状の突出物が形成され、歩行時などに痛みを伴う病態です。ヒールクッション(heel cushion)は、かかとの衝撃を緩和し、痛みを軽減するために有効な靴の補正であり、踵骨骨棘の保存的治療によく用いられます。
- 2. 外反平足は、足のアーチが低下し、かかとが外側に傾く(外反する)状態です。この場合、内側のアーチを支え、かかとの外反を抑制するために、靴底の内側に厚みを持たせる『内側ウェッジ(メディアルウェッジ)』が適切です。図の②は、靴底の外側に厚みを持たせる『外側ウェッジ(ラテラルウェッジ)』を示しており、これは内反足やO脚(内反膝)に適用される補正です。正しくは:外反平足には内側ウェッジ(メディアルウェッジ)が適切です。選びやすい理由:ウェッジという言葉が足部の変形と関連が深く、図の②もウェッジ形状であるため、関連があるように見えやすいです。混同注意:内側ウェッジと外側ウェッジの適用疾患が混同されやすいです。外反平足には内側ウェッジ、内反足には外側ウェッジを適用します。
- 3. 外反膝(X脚)は、膝が内側に湾曲し、膝関節の外側に負担がかかりやすい状態です。これを矯正するためには、膝関節の外側への負荷を軽減し、内側へのモーメントを増加させる目的で、靴のかかと部分の『内側を高くする』ヒールインナーウェッジ(内側ウェッジ)が適用されます。図の③は、靴底のかかと外側部分を高くする補正(ヒールアウターウェッジまたはヒール外側挙上)であり、これはO脚(内反膝)に対して用いられるものです。正しくは:外反膝には、かかと内側を高くするヒールインナーウェッジ(内側ウェッジ)が適切です。選びやすい理由:ウェッジの種類が多岐にわたるため、名称や形状と適用疾患が混同されやすいです。特に外反膝と内反膝に対するウェッジの向きは逆になるため注意が必要です。混同注意:外反膝と内反膝に対するウェッジの選択が混同されやすいです。外反膝にはヒール内側挙上、内反膝にはヒール外側挙上です。
- 4. 内反足は、足が内側に弯曲し、足底が内側を向く変形です。内反足の補正には、足の外側荷重を促す『外側ウェッジ』や、足首の関節を安定させる『足関節装具』などが用いられます。図の④は『トーボックス(つま先部分)』を示しており、これは足指の変形(槌指など)がある場合に、指の圧迫を避けるために高さを確保する目的で用いられる補正ですが、内反足の主要な補正ではありません。正しくは:内反足には外側ウェッジや足関節装具などが適切です。選びやすい理由:トーボックスも靴の一部であり、足部の変形と関連する可能性があるため、知識が曖昧だと選択肢として検討してしまうことがあります。混同注意:足の変形に対する様々な靴の補正(ウェッジ、アーチサポート、トーボックスなど)の適用が混同されやすいです。トーボックスは主に足指の変形に対応します。
- 5. 正解。槌指(ハンマートゥ)は、足指の関節が異常に曲がり、指の背側が盛り上がる変形です。この状態では、通常の靴を履くと指の盛り上がった部分が靴の甲に当たり、痛みや胼胝(たこ)が生じやすくなります。図の⑤で示される『トーボックス(つま先部分)』の補正は、指の高さに合わせた十分な空間を確保することで、圧迫を軽減し、快適性を向上させる目的で用いられます。
国試ポイント
この問題は、様々な疾患に対する靴の補正や装具療法の基礎知識を問うものです。特に足部・足関節の変形とそれに伴う靴の調整(ウェッジの向き、クッションの種類、トーボックスの役割など)は頻出テーマです。病態と補正の図を正確に結びつける理解が求められます。
混同注意
足の様々な変形(内反足、外反足、扁平足、内反膝、外反膝など)に対するウェッジ(内側ウェッジ、外側ウェッジ、ヒール挙上)の選択が特に混同されやすいポイントです。また、各部位の名称(トーボックス、シャンク、カウンターなど)とその役割も正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず図に示された各補正の名称と基本的な役割を正確に特定します。次に、各疾患の病態を把握し、その病態を改善または軽減するためにどの補正が適切かを判断します。特にウェッジに関しては、負荷を軽減したい側と挙上する側が逆になることがあるため、注意が必要です。
関連知識
足関節・足部の解剖学、バイオメカニクス、理学療法における装具療法全般、靴型装具の適応と種類、各疾患の病態生理。