健常成人の血圧に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
選択肢3は、健常成人では上腕より末梢(足部)の方が収縮期血圧が高くなるという生理学的特性を正しく述べています。選択肢4は、血圧測定の基本であり、水圧差による誤差を防ぐためにカフを心臓の高さに合わせるという原則を正しく述べています。
選択肢ごとの解説
- 1. 背臥位では下肢の静脈還流が促進されるため、心臓に戻る血液量が増加し、心拍出量が増えます。これにより収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧の変化は比較的少ないため、脈圧(収縮期血圧−拡張期血圧)は立位に比べて大きくなる傾向があります。正しくは:背臥位では立位に比べて脈圧が大きくなる。選びやすい理由:体位による血圧変動は複雑なため、直感的に判断しにくい。混同注意:体位による収縮期血圧や拡張期血圧の単独の変化と混同しやすい。
- 2. 足関節上腕血圧比(ABI)の基準値は0.9から1.3未満であり、1.5から2.0は動脈硬化や石灰化の可能性を示す異常値(偽高値)と判断される範囲です。正しくは:足関節上腕血圧比の基準値は0.9〜1.3未満である。選びやすい理由:具体的な数値を知らないと正誤の判断が難しい。混同注意:ABIが1.4以上で動脈硬化の可能性を疑うことはあるが、それが正常範囲ではない。また、他の検査指標の基準値と混同しやすい。
- 3. 正解。健常成人では、心臓から遠い部位ほど動脈の抵抗が増し、また血管の弾性波の反射などにより、収縮期血圧は末梢(足部)で高くなる傾向があります。そのため、上腕の収縮期血圧は足部よりも低いのが一般的です。
- 4. 正解。血圧測定の基本原則として、カフの位置が心臓の高さと異なる場合、水圧差によって測定値に誤差が生じます。カフが心臓より低い位置にあると高めに、高い位置にあると低めに測定されるため、正確な測定のためには心臓の高さに合わせる必要があります。
- 5. コロトコフ音が聞こえ始めた時点の圧力を収縮期血圧(第I音)とし、コロトコフ音が消失した時点の圧力を拡張期血圧(第V音)とします。正しくは:Korotkoff音が聞こえ始めた時点での圧を収縮期血圧とする。選びやすい理由:コロトコフ音に関する知識は必要だが、収縮期と拡張期のどちらに該当するかを混同しやすい。混同注意:コロトコフ音の第I音と第V音の定義、およびそれぞれが示す血圧の種類(収縮期/拡張期)と混同しやすい。
国試ポイント
血圧測定の基本原則(体位、カフの位置)、各体位における血圧の生理的変動、および特定の指標(ABI)の基準値と臨床的意義に関する知識が問われています。特に、血圧の測定方法と正常な生理的変動の理解が重要です。
混同注意
血圧の体位による変動(特に脈圧)と、収縮期・拡張期血圧それぞれの変動を混同しやすい。また、コロトコフ音の各相が示す血圧の種類を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の体位での血圧変動(座位と立位の比較、運動時の変化)、他の血圧測定に関する注意事項(カフのサイズ、反復測定)、特定の疾患(例:大動脈弁閉鎖不全症)における脈圧の変化などが問われる可能性があります。
関連知識
血圧の定義、測定方法(聴診法、オシロメトリック法)、コロトコフ音の第I〜V相、血圧に影響を与える因子(体位、運動、精神状態、気温)、高血圧と低血圧の基準、ABIの計算方法と臨床的意義。