生後4か月の乳児。健診で股関節の異常を指摘された。来院時に右股関節の開排制限を認めたため、股関節のエックス線単純検査を行った。 この患児の股関節のエックス線単純写真(別冊No. 4)を別に示す。行うべき対応として適切なのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図のX線写真が乳児の股関節を示唆しており、先天性股関節脱臼または亜脱臼、形成不全の所見が見られる場合、非観血的治療の第一選択はリーメンビューゲル装具です。この装具は股関節を適切な位置に保持し、自然な臼蓋形成を促進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 画像所見は股関節の形成不全や脱臼を示唆しており、積極的な治療介入が必要です。経過観察だけでは症状が悪化するリスクがあります。正しくは:画像所見に応じて適切な治療法を選択する。選びやすい理由:初期段階や軽度な形成不全では経過観察が選択肢となることもあるため、迷う可能性があります。混同注意:軽度股関節形成不全の初期段階での対応と混同しやすい。
- 2. ギプス固定は安定性が高く確実な整復保持に用いられますが、リーメンビューゲル装具と比較して股関節の可動性が制限され、早期の機能回復を妨げる可能性があります。また、より重度の脱臼や整復困難な場合に検討されます。正しくは:リーメンビューゲル装具で不十分な場合や、より重度の脱臼に対して検討する。選びやすい理由:股関節の安定化を図る方法として、固定という概念は正しいように思えるため。混同注意:より重度の脱臼や他の部位の固定方法と混同しやすい。
- 3. 観血的整復術は、徒手整復が困難な場合や、後方脱臼など整復後の安定性が低い場合に選択される侵襲的な手術です。まずは非観血的治療を試みるのが一般的です。正しくは:非観血的治療(リーメンビューゲル装具など)で整復・安定保持が難しい場合に検討する。選びやすい理由:脱臼が疑われる場合に、根本的な治療法として手術が思い浮かびやすい。混同注意:徒手整復が不可能な状況や、より重度な先天性股関節脱臼に対する最終手段と混同しやすい。
- 4. オーバーヘッド牽引は、主に徒手整復を容易にするために股関節周囲の軟部組織の緊張を和らげる目的で行われます。単独で最終的な治療となることは稀で、その後に整復と固定が必要です。正しくは:徒手整復の前処置として、または他の治療と組み合わせて使用する。選びやすい理由:股関節の問題に対する治療法として牽引という手段があるため。混同注意:他の関節の問題や、急性期の軟部組織の緊張緩和を目的とした治療と混同しやすい。
- 5. 正解。リーメンビューゲル装具は、新生児期から乳児期の先天性股関節脱臼や亜脱臼、形成不全に対して第一選択となる非観血的治療法です。股関節を屈曲・外転位に保持することで、大腿骨頭を臼蓋に深くはめ込み、臼蓋の形成を促します。提示されたX線写真が乳児期のものであり、脱臼または形成不全が示唆される場合、この装具による治療が最も一般的かつ効果的です。選びやすい理由:この選択肢は、乳幼児の股関節形成不全や脱臼の標準的な治療法であるため、知識があれば正答しやすい。混同注意:他の装具や固定方法との違いを理解していないと迷う可能性がある。
国試ポイント
先天性股関節脱臼(DDH)の診断と治療法、特に乳児期における非観血的治療の第一選択肢に関する知識が問われています。画像所見から病態を判断し、適切な治療法を選択する能力が必要です。
混同注意
他の股関節の疾患(ペルテス病など)の治療法や、より重度な脱臼に対する治療法(観血的整復術、ギプス固定など)と混同しやすいです。また、経過観察が選択される軽度な形成不全との鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず患児の年齢を確認し、X線写真から脱臼・亜脱臼・形成不全の程度を正確に読み取る能力が求められます。その上で、年齢と病態に応じた最適な治療選択肢(非観血的 vs 観血的、装具の種類など)を判断する必要があります。特に乳児期であればリーメンビューゲル装具が第一選択であることを再確認しましょう。
関連知識
先天性股関節脱臼の疫学、診断(オルソラニ徴候、バルロー徴候)、病態分類(脱臼、亜脱臼、不安定股、形成不全)、治療法の選択基準、リーメンビューゲル装具の原理と管理、他の装具(パブリックハーネスなど)、ペルテス病や大腿骨頭すべり症との鑑別。