74歳の女性。変形性膝関節症に対して人工膝関節全置換術が行われた。術後に使用するCPM装置で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
人工膝関節全置換術後のCPM装置の目的の一つは、関節可動域の早期回復です。そのため、患者の状態や疼痛の程度を確認しながら、設定する屈曲角度を段階的に増やしていくことが適切な使用方法です。これにより、組織への過度な負担を避けつつ、安全に関節可動域を拡大できます。
選択肢ごとの解説
- 1. CPM装置は関節可動域の維持・拡大、浮腫の軽減、軟骨の栄養、疼痛緩和などを主な目的とした他動運動装置であり、筋力を直接的に増強する目的ではありません。筋力増強には能動的な運動が必要です。正しくは:関節可動域の維持・拡大を主な目的としています。選びやすい理由:リハビリテーションの一環であるため、筋力増強も関連すると誤解しやすいかもしれませんが、CPMは他動運動である点が異なります。混同注意:能動的な運動療法と他動的なCPMの目的が混同されやすいです。
- 2. 正解。人工膝関節全置換術後のリハビリテーションにおいて、CPM装置は患者の疼痛や状態を確認しながら、設定する屈曲角度を毎日少しずつ増やしていくことで、関節可動域の早期改善を目指します。急激な角度設定は組織損傷や疼痛を引き起こす可能性があります。
- 3. CPM装置での関節運動は、患者に過度な負担や疼痛を与えないよう、通常はゆっくりとした速度で実施します。速すぎる速度は、関節への負担を増やし、疼痛や組織損傷のリスクを高める可能性があります。正しくは:ゆっくりとした適切な速度で関節運動を実施します。選びやすい理由:短時間で効率的にリハビリを終えたいという考えから、速い方が良いと誤解することがあります。混同注意:リハビリの効果と速度の関連性について、誤った認識を持つことがあります。
- 4. CPM装置は他動運動を提供するものであり、患者は装置の動きに身を任せるべきです。装置の動きに抵抗すると、それは他動運動ではなくなり、関節への過剰な負荷や組織損傷を引き起こす可能性があります。また、患者の疼痛も増悪させることがあります。正しくは:CPM装置の動きに抵抗せず、リラックスして関節運動を行います。選びやすい理由:リハビリは能動的に頑張るべきという意識から、抵抗運動が効果的だと考えてしまうことがあります。混同注意:他動運動と抵抗運動、または自動介助運動の区別が曖昧になりやすいです。
- 5. CPM装置は患者個々の体格(大腿骨や下腿骨の長さ)に合わせてアーム長を調整する必要があります。指定された汎用のアーム長ではなく、患者に合った長さに調整することで、安全かつ効果的な関節運動が可能になります。調整を怠ると、関節への不適切な負荷や皮膚の擦れなどを引き起こす可能性があります。正しくは:CPM装置は患者の体格に合わせてアーム長を調整して使用します。選びやすい理由:医療機器は定型的に使用するものだという考えから、個別調整の重要性を見落とすことがあります。混同注意:汎用的な医療機器の使用方法と、個別調整が必要な機器の使用方法が混同されやすいです。
国試ポイント
人工膝関節全置換術後のリハビリテーションにおけるCPM装置の基本的な使用目的と方法について、特に可動域拡大の漸進性、速度、患者の協力(抵抗しない)、および装置の適合性(アーム長調整)が問われます。
混同注意
CPMの目的(筋力増強ではない)、CPMの速度(速いのは不適切)、CPM中の患者の関与(抵抗は不適切)、CPMの個別性(アーム長調整の必要性)などが、それぞれ他のリハビリテーション手技や一般的な医療機器の使用方法と混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
CPMに関する問題が出題された際は、まず「目的(何のためか)」と「正しい使用方法(どう使うか)」に注目します。特に、他動運動であること、漸進性、個別の調整が必要であること、患者の負担を最小限に抑えることがキーワードになります。
関連知識
CPMの主な目的には、関節可動域の維持・拡大、浮腫の軽減、疼痛の緩和、軟骨の栄養供給促進、癒着の防止などがあります。使用時には、患者の痛み、皮膚の状態、神経血管系の状態を常に観察し、必要に応じて設定を調整することが重要です。また、CPMはあくまで他動運動であり、その後の自動運動への移行がリハビリテーションの重要なステップとなります。