Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸障害について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸障害は、呼吸筋の筋力低下による換気不全が主病態です。これにより、十分な換気ができなくなり、体内に二酸化炭素が蓄積しやすくなるため、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇します。これはⅡ型呼吸不全の特徴です。咳の力の低下、側弯症による呼吸機能悪化、後期での呼吸不全の顕在化が特徴として挙げられます。
選択肢ごとの解説
- 1. Duchenne型筋ジストロフィーでは、呼吸筋だけでなく咳に関わる筋力も低下するため、咳をする力も弱まります。正しくは:Duchenne型筋ジストロフィーでは、咳をする力も低下する。選びやすい理由:初期段階では比較的保たれていると誤解されやすいが、進行とともに著しく低下する。混同注意:初期の比較的軽度な呼吸筋力の低下と混同しやすい。
- 2. 口すぼめ呼吸は、主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)などで気道が虚脱しやすい場合に、気道内圧を保ち呼気を長くするために用いられます。Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸不全は筋力低下による換気不全が主であり、口すぼめ呼吸の適応ではありません。正しくは:口すぼめ呼吸はDuchenne型筋ジストロフィーの呼吸不全には有効ではない。選びやすい理由:呼吸補助法の一つとして知られているため、なんらかの呼吸器疾患には有効と思われがち。混同注意:慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの閉塞性呼吸器疾患と、拘束性呼吸器疾患である筋ジストロフィーの病態生理の違い。
- 3. 進行性の筋力低下に伴い、Duchenne型筋ジストロフィーでは脊柱の側弯症が高頻度で発症します。重度の側弯症は胸郭の変形を伴い、肺の容積を減少させるため、呼吸機能をさらに悪化させます。正しくは:脊柱側弯症は呼吸機能に悪影響を及ぼす。選びやすい理由:呼吸筋の直接的な問題ではないため、側弯症が呼吸機能に与える影響を見落としやすい。混同注意:筋力低下そのものの呼吸障害と、それに伴う二次的な胸郭変形による呼吸障害。
- 4. 正解。Duchenne型筋ジストロフィーでは、呼吸筋の進行性の筋力低下により十分な換気が行えなくなり(換気不全)、体内に二酸化炭素が蓄積しやすくなるため、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇します。選びやすい理由:呼吸不全というと、まず低酸素血症(PaO2低下)をイメージしがちですが、筋疾患による呼吸不全は換気不全から高炭酸ガス血症(PaCO2上昇)をきたすことが特徴です。混同注意:Ⅰ型呼吸不全(PaO2低下が主)とⅡ型呼吸不全(PaCO2上昇が主)の鑑別。
- 5. Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸不全は進行性であり、多くの場合、10歳代後半から20歳代にかけて顕著になります。5歳以下で呼吸不全が問題となることは稀です。正しくは:呼吸不全は、主に10歳代後半から20歳代にかけて問題となることが多い。選びやすい理由:発症年齢が比較的早い疾患であるため、合併症も早期に発症すると誤解されやすい。混同注意:疾患の初期症状の出現年齢(歩行開始後など)と、重篤な合併症である呼吸不全の発症時期。
国試ポイント
Duchenne型筋ジストロフィーの病態生理、特に呼吸障害のメカニズムと特徴(換気不全、高炭酸ガス血症、合併症としての側弯症の影響)について正しく理解しているかどうかが問われる問題です。年齢による症状の進行度合いも重要です。
混同注意
Ⅰ型呼吸不全(酸素化障害)とⅡ型呼吸不全(換気障害)の区別、また疾患の初期症状の発現時期と、重篤な合併症である呼吸不全が顕在化する時期を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
筋ジストロフィー患者の呼吸管理において、PaCO2上昇の兆候や夜間低換気などを把握し、適切な介入(非侵襲的陽圧換気療法など)を判断できるか。また、側弯症の進行が呼吸機能に及ぼす影響を予測し、早期からの対応を検討できるか。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーの病態(ジストロフィンの欠損)、主な臨床症状(Gowers徴候、仮性肥大など)、心筋症の合併、理学療法介入のポイント(ROM維持、呼吸管理、車椅子シーティングなど)。また、呼吸不全の一般的な分類と管理。