除細動が必要となる可能性が高い不整脈はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
心室頻拍は、心臓のポンプ機能が著しく低下し、血圧低下や意識消失などを引き起こす可能性のある重篤な不整脈です。心室細動に移行するリスクも高く、生命を脅かす状況であるため、緊急の電気的除細動(DC)が必要となる可能性が非常に高いです。他の選択肢の不整脈は、それぞれ重症度が異なり、特に1度房室ブロック、単発の上室期外収縮、連続しない心室期外収縮は通常、除細動の適応にはなりません。慢性心房細動も、通常は除細動より薬物療法が優先され、緊急除細動が必要となるのは血行動態が不安定な場合などに限られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 1度房室ブロックは、心電図上でP-R間隔が延長する状態ですが、通常は無症状で、血行動態に大きな影響を与えることは少なく、直ちに除細動を必要とするような危険な不整脈ではありません。正しくは:1度房室ブロックは血行動態が安定しており、通常は経過観察や原因疾患の治療が優先されます。除細動は不要です。選びやすい理由:「ブロック」という言葉から重症な印象を受けるかもしれませんが、1度は最も軽度です。混同注意:より重度の房室ブロック(2度、3度)や、心停止に至る可能性のある不整脈と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。心室頻拍(VT)は、心室から異常な興奮が頻繁に発生し、心拍数が非常に高くなる不整脈です。血圧低下や意識障害を引き起こすことが多く、心室細動に移行するリスクが高いため、電気的除細動が緊急で必要となる可能性が高い、非常に危険な不整脈です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:この選択肢は、重篤な不整脈として認識されやすいため、正解を選びやすいでしょう。混同注意:上室性頻拍と混同されることもありますが、心室頻拍の方が一般的に生命予後が悪いです。
- 3. 単発の上室期外収縮は、心房や房室接合部からの単発の異常な拍動であり、多くの場合は無症状か軽い動悸を感じる程度です。通常は良性で、除細動の対象とはなりません。正しくは:単発の上室期外収縮は、緊急の治療は不要な場合が多く、経過観察が一般的です。除細動は不適切です。選びやすい理由:「期外収縮」という言葉に不安を感じるかもしれませんが、「単発」かつ「上室性」であれば重篤性は低いです。混同注意:多発性や連発性の期外収縮、特に心室性のものと混同しやすいかもしれません。
- 4. 慢性心房細動は、心房が不規則に興奮し、不整な脈拍となる状態です。血栓形成による脳梗塞のリスクはありますが、安定している場合は直ちに除細動が必要となることは少なく、むしろ抗凝固療法やレートコントロールが主な治療となります。緊急除細動の対象となるのは、血行動態が不安定な場合や発症から間もない心房細動であることが多いです。正しくは:慢性心房細動の主な合併症は血栓塞栓症であり、除細動よりも抗凝固療法や心拍数コントロールが重要です。血行動態が安定している場合は除細動の緊急性はありません。選びやすい理由:「細動」という言葉から重篤な不整脈と判断されがちですが、慢性であれば安定しているケースも多いです。混同注意:心室細動や、発症後間もなく血行動態が不安定な急性心房細動と混同しやすいかもしれません。
- 5. 連続しない心室期外収縮(PVCs)は、心室からの単発の異常な興奮であり、多くの場合は良性で、自覚症状も少ないです。基礎心疾患がない限り、直ちに除細動を必要とするような危険な不整脈ではありません。正しくは:連続しない心室期外収縮は、多くの場合は経過観察で十分であり、除細動の適応とはなりません。連発性や多形性のVTであれば治療が必要です。選びやすい理由:「心室期外収縮」という言葉自体が不安を煽るかもしれませんが、「連続しない」という条件が重要です。混同注意:連発性の心室期外収縮(非持続性心室頻拍など)や心室頻拍と混同しやすいでしょう。
国試ポイント
不整脈の病態理解と、それぞれの不整脈に対する適切な治療法(特に緊急処置の要否)を問う問題です。危険な不整脈とそうでない不整脈の鑑別、および除細動が適応となる不整脈の種類について正確な知識が求められます。
混同注意
心房細動と心室細動、上室性頻拍と心室頻拍、良性期外収縮と危険な期外収縮など、類似した名称や症状を持つ不整脈を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、心室細動、心室頻拍(脈なし)、pulseless VT(無脈性心室頻拍)といった、直ちに除細動が必要な不整脈を識別できるかどうかが問われる可能性があります。また、徐脈性不整脈に対するペースメーカー適応や、薬物療法が優先される不整脈についても問われることが考えられます。
関連知識
心電図波形の判読、不整脈の分類(上室性、心室性)、各不整脈の重症度、心肺蘇生法(BLS/ACLS)における電気的除細動の適応、抗不整脈薬の薬理作用。