四肢長と測定部位の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
棘果長は、上前腸骨棘の最下端から内果の最下端までを測定することで、骨盤から下肢の骨自体の長さを正確に評価する指標となる。これは、下肢長不等や骨性変形を評価する上で非常に重要な測定方法である。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。棘果長(true leg length)は、下肢の真の長さを測定する際に用いられる。上前腸骨棘の最下端(または前上方)から内果の最下端までを計測するのが正しい方法である。これにより、股関節や膝関節の屈曲拘縮による影響を受けずに、骨自体の長さを把握できる。
- 2. 手長は橈骨茎状突起の最も低い位置から中指の先端までではない。手長は、手関節の屈側中央(橈骨手根関節裂隙の中央)から中指の先端までを測定するのが一般的である。橈骨茎状突起は手関節のやや外側にある。正しくは:手長:手関節の屈側中央から中指の先端まで。選びやすい理由:橈骨茎状突起が手首のランドマークであるため、なんとなく正しいように感じるかもしれない。混同注意:手掌長や指の長さの測定方法と混同しやすい。橈骨茎状突起は重要なランドマークだが、手長の起点としては不適切。
- 3. 上腕長は肩峰の最も前方の位置から肘頭の最も突出した点までではない。上腕長は、肩峰の最も外側の端(外側縁)から、上腕骨外側上顆(または尺骨神経溝)までを計測するのが一般的である。肘頭は尺骨の一部であり、上腕骨の正確な末端ではない。正しくは:上腕長:肩峰の最も外側端から上腕骨外側上顆まで。選びやすい理由:肩峰と肘頭はどちらも上肢の主要な骨性ランドマークであり、位置関係も近いため、それらしく見える。混同注意:上腕骨そのものの長さを測るというよりは、肩から肘関節までの長さを測るイメージで誤解しやすい。肘関節の構成要素である肘頭を終点とすることの誤り。
- 4. 前腕長は肘頭の最も高い位置から尺骨茎状突起の最も低い位置までではない。前腕長は、肘関節の最も突出した部分(肘頭の先端)から、尺骨茎状突起の最も突出した部分までを計測するのが正しい。選択肢にある「最も高い位置」と「最も低い位置」という表現も曖昧であり、通常は最も突出した部分を指す。正しくは:前腕長:肘頭の先端から尺骨茎状突起の最も突出した部分まで。選びやすい理由:肘頭と尺骨茎状突起は前腕の両端にあるため、一見正しく思える。混同注意:尺骨を基準にしている点は正しいが、「最も高い位置」「最も低い位置」という表現の曖昧さや、測定法の厳密さに欠ける点が誤り。厳密には肘関節裂隙中央から尺骨茎状突起とする場合もある。
- 5. 転子果長は小転子の最も高い位置から外果の外側で突出した点までではない。転子果長(apparent leg length)は、主に股関節疾患などで下肢の相対的な長さを評価する際に用いられ、大転子の先端から外果の先端までを計測するのが一般的である。小転子は触診困難であり、通常測定の起点にはならない。正しくは:転子果長:大転子の先端から外果の先端まで。選びやすい理由:転子も果も下肢の骨性ランドマークであるため、それらしく見える。棘果長と混同しやすい。混同注意:転子果長が真の長さではなく、機能的な長さを測るものであることと、大転子を起点とすること、そして棘果長(上前腸骨棘-内果)と混同しやすい。
国試ポイント
四肢の長さ測定は、理学療法士が身体機能を評価する上で基本的な手技であり、各測定法の正確な起点と終点、そしてその名称を理解しているかが問われる。特に『真の長さ』と『相対的な長さ』を区別できるかが重要。国試では、特定の疾患(股関節疾患、脊柱側弯症など)と関連付けて出題されることもある。
混同注意
棘果長(true leg length)と転子果長(apparent leg length)の測定方法と目的の違い、またそれぞれの起終点。手長、上腕長、前腕長といった各部位の標準的な測定法についても正確な知識が必要となる。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出題された場合、単に測定部位の組み合わせだけでなく、その測定が『何を評価するために用いられるか』といった臨床的意義まで問われる可能性が高い。また、測定時の注意点(体位、ランドマークの触診精度など)も問われることがあるだろう。
関連知識
・棘果長(真の下肢長):上前腸骨棘 → 内果下端 ・転子果長(見かけの下肢長):大転子 → 外果先端 ・上腕長:肩峰外側端 → 外側上顆 ・前腕長:肘頭 → 尺骨茎状突起先端 ・手長:手関節中央(手掌側) → 中指先端 これらの測定は、関節拘縮、骨折、発育性股関節形成不全、脊柱側弯症など様々な疾患での非対称性や変形を評価するために重要である。測定時は、対象者がリラックスし、左右対称の姿勢を保つことが必要となる。