加齢に伴う生理的変化について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
加齢に伴い、免疫系の機能は全体的に低下します。T細胞の機能低下、B細胞の抗体産生能力の低下などにより、抗原に対する免疫応答、すなわち抗原抗体反応が効率的に行われなくなります。これは高齢者が感染症にかかりやすくなる主要な理由の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 加齢に伴い、肝臓の細胞数が減少し、全体的な肝重量は減少する傾向にあります。正しくは:肝臓の重さは減少する。選びやすい理由:臓器機能の低下と重量変化が直結しないと考える学生が、特定の臓器は増大すると誤解する可能性があります。混同注意:脂肪肝など病的な状態での肝腫大と混同しやすいかもしれません。
- 2. 加齢により免疫系の機能は低下しますが、自己と非自己の認識能力の低下から自己抗体の産生はむしろ増加する傾向にあります。これは自己免疫疾患のリスク増加にも関連します。正しくは:自己抗体の産生は増加する。選びやすい理由:一般的に免疫機能が低下するという知識から、すべての免疫関連反応が低下すると考えてしまう可能性があります。混同注意:一般的な抗体産生能力の低下と、自己抗体産生の変化を混同しやすいです。
- 3. 正解。加齢により免疫細胞の機能が低下するため、異物(抗原)に対する抗体産生能力や、一度作られた抗体と抗原が結合する反応性も全体的に低下します。これが高齢者の感染症罹患リスク増加の要因の一つです。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:特になし。加齢による免疫機能低下という基本的な知識に合致します。
- 4. 加齢に伴い、肝臓でのタンパク質合成能力が低下するため、血中のアルブミン量は減少する傾向にあります。これは浮腫などの原因にもなり得ます。正しくは:血中のアルブミン量は減少する。選びやすい理由:血液検査データが必ずしも「低下」するとは限らないという曖昧な知識から、特定の項目は「増加」すると考えてしまう可能性があります。混同注意:高齢者に見られる他の血液成分の変化と混同しやすいです。
- 5. 加齢により腎機能は低下するため、腎臓が老廃物を濾過する能力の指標であるクレアチニンクリアランスは減少(低下)します。正しくは:クレアチニンクリアランスは減少する。選びやすい理由:腎機能の指標について曖昧な知識しかなく、クリアランスという言葉から排出機能が促進されるかのように誤解する可能性があります。混同注意:血清クレアチニン値の上昇と混同しやすいです。血清クレアチニン値は腎機能低下で上昇しますが、クレアチニンクリアランスは低下します。
国試ポイント
この問題は、加齢に伴う様々な臓器やシステムの生理的変化に関する基礎知識を問うものです。特に免疫系、肝臓、腎臓など、高齢者の健康管理に直結する重要な分野の知識が求められます。一般的な機能低下の傾向に加え、一部例外的に増加または変化しない項目も理解しているかがポイントです。
混同注意
免疫系の全体的な低下と、自己抗体産生のように一部増加する反応を混同しやすいです。また、各臓器の機能指標(例:クレアチニンクリアランスと血清クレアチニン値)の意味を正確に理解していないと間違いやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出た場合、主要な臓器(心臓、肺、腎臓、肝臓、神経系、免疫系、内分泌系、筋骨格系)それぞれの加齢変化を具体的に覚えているか、特に指標となる検査値がどのように変化するかを問われる可能性が高いです。
関連知識
加齢に伴う生理的変化として、心機能(心拍出量低下、血管弾性低下)、呼吸機能(肺活量減少、残気量増加)、骨・筋(骨密度低下、筋量減少)、神経系(反応速度低下、平衡機能低下)、消化器系(消化液分泌低下、腸蠕動運動低下)なども重要です。免疫系では、胸腺の萎縮、T細胞機能の低下、B細胞の抗体産生能力の低下が起こります。