78歳の男性。18時に突然右上下肢の脱力、呂律困難を自覚し救急搬送された。 元々ADL は自立しており、高血圧症に対して通院中であった。19時に病院に到着し、頭部単純CT で明らかな異常所見は見つからなかった。 次に行う頭部画像検査で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
症例は78歳男性で、突然の右上下肢脱力と呂律困難を認め、脳卒中を疑う症状です。発症から1時間後に頭部単純CTで明らかな異常所見がない場合、虚血性脳卒中の超急性期ではCTで病変が描出されない「CT blind time」である可能性が高く、脳梗塞を見つけるにはMRI、特に拡散強調画像(DWI)が最も感度が高いからです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。発症1時間後の単純CTで異常がない場合、超急性期の脳梗塞を診断するにはMRI、特に拡散強調画像(DWI)が最も感度が高く、虚血病変を早期に検出できるため、本症例で最も適切な検査です。選びやすい理由:脳卒中を疑う症状であり、超急性期の脳梗塞診断にMRIが第一選択肢であることを知っているため。混同注意:急性期脳卒中全般の画像診断において、CTとMRIの使い分け。
- 2. PETは脳の代謝や血流を評価する検査であり、脳梗塞の急性期診断にルーチンで使用される画像検査ではありません。主に脳腫瘍や認知症、てんかんなどの診断に用いられます。正しくは:超急性期脳梗塞の診断にはMRI(DWI)を行うべきです。選びやすい理由:脳機能や血流を評価する検査であるため、脳の異常を見つけられそうだと考えるかもしれませんが、急性期診断の第一選択ではありません。混同注意:脳の機能評価が必要な他の疾患の診断。
- 3. SPECTも脳血流や神経伝達物質受容体を評価する検査であり、脳梗塞の診断においては主に慢性期の血流評価や予後予測に用いられることがありますが、急性期の診断には適していません。正しくは:超急性期脳梗塞の診断にはMRI(DWI)を行うべきです。選びやすい理由:脳血流を評価する検査であるため、脳梗塞を見つけられそうだと考えるかもしれませんが、急性期診断の第一選択ではありません。混同注意:脳血流評価が必要な他の疾患や、慢性期の脳梗塞の評価。
- 4. 造影CTは血管病変や脳腫瘍、炎症性疾患などの診断に有用ですが、非造影CTで異常所見がない超急性期脳梗塞の診断において、単純CTより感度が飛躍的に向上するわけではありません。むしろ造影剤の使用による腎機能への影響や、虚血性病変の描出にはMRIのDWIが圧倒的に優位です。正しくは:超急性期脳梗塞の診断にはMRI(DWI)を行うべきです。造影CTは血管病変の評価に用いられますが、単純CTで異常がない超急性期の脳梗塞診断にはMRIが優れています。選びやすい理由:脳梗塞は血管の閉塞によって起こるため、血管を評価する造影CTが有効だと誤解する可能性があります。しかし、梗塞巣自体の早期検出にはMRIが優位です。混同注意:脳血管病変の詳細な評価や、出血性病変と鑑別後の診断。
- 5. 頭部X線検査は頭蓋骨骨折や副鼻腔炎の診断には有用ですが、脳実質の病変、特に脳梗塞のような軟部組織の異常を描出することはできません。脳卒中を疑う症状に対して行う検査としては不適切です。正しくは:超急性期脳梗塞の診断にはMRI(DWI)を行うべきです。選びやすい理由:単純な画像検査として選択肢に提示されるため、手軽な検査だと感じるかもしれませんが、脳実質の評価には全く適していません。混同注意:骨病変や頭部外傷での骨折の診断。
国試ポイント
急性期脳卒中の診断における各種画像検査の役割と特徴を理解し、特に虚血性脳卒中超急性期の画像診断の選択を覚えること。CT blind timeとMRI DWIの有用性は必須知識です。
混同注意
出血性脳卒中(脳出血、くも膜下出血)の診断には頭部単純CTが第一選択ですが、虚血性脳卒中(脳梗塞)の超急性期診断にはMRIが優れています。この鑑別が重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出題された場合、発症からの時間(特に数時間以内か)、単純CTの所見(異常なしの場合)、および症状(脳卒中を疑う神経学的症状)から、虚血性脳卒中の超急性期と判断し、脳梗塞の検出に最も感度の高いMRIを選択すると判断します。
関連知識
虚血性脳卒中の急性期治療である血栓溶解療法(t-PA静注療法)や血管内治療の適応判断には、迅速かつ正確な脳梗塞の診断と出血除外が不可欠であり、これらの検査は治療開始までの時間短縮にも寄与します。