68歳の男性。5年前にParkinson病と診断された。現在、両手に安静時振戦、両側上下肢に中等度の筋強剛を認める。「最近、歩いているときに足が出にくく、バランスを崩して転びそうになることが増えてきた」との訴えがある。日常生活は自立しているが、屋外歩行時には転倒への不安があるため外出を控えている。この患者のHoehn & Yahrの重症度分類ステージはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Hoehn & Yahr分類では、ステージⅢが「両側性症状があり、平衡機能の障害(立ち直り反射障害)が認められるが、日常生活活動は自立している」と定義されています。患者は両側の振戦と筋強剛があり、歩行時のバランス障害を訴えているが、ADLは自立しているため、このステージに合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. ステージⅠは、症状が片側のみに現れる初期段階を指します。この患者は両側に症状が認められるため、当てはまりません。正しくは:片側のみの症状で、バランス障害がない場合に該当します。選びやすい理由:症状の軽度さやADL自立から初期段階と誤解する可能性がありますが、両側性でありバランス障害が示唆されている点で異なります。混同注意:初期の症状や軽度な機能障害と混同しやすいですが、片側性と両側性の区別が重要です。
- 2. ステージⅡは、症状が両側に現れますが、バランス障害は認められません。この患者は「バランスを崩して転倒しそうになる」と訴えており、明らかにバランス障害があります。正しくは:両側性の症状がありながらも、平衡機能の障害が見られない場合に該当します。選びやすい理由:両側性の症状とADLの自立からこのステージを選びそうになりますが、転倒のリスクやバランス障害の有無が重要な判断基準となります。混同注意:両側性である点は正しいですが、平衡機能の障害の有無でステージⅡとⅢを区別します。
- 3. 正解。この患者は両側に症状があり(安静時振戦、筋強剛)、さらに「バランスを崩して転倒しそうになることが増えた」と訴えていることから、平衡機能の障害(立ち直り反射障害)が認められます。しかし、日常生活は自立しており、介助なしで生活できているため、Hoehn & YahrのステージⅢに該当します。
- 4. ステージⅣは、重度の障害があり、歩行や起立は可能ですが、介助を必要とする段階を指します。この患者は日常生活が自立しているため、該当しません。正しくは:高度の障害があるが、介助があれば起立・歩行が可能な場合に該当します。多くの場合、日常生活に介助を必要とします。選びやすい理由:転倒への不安から外出を控えている状況を重度と捉えがちですが、ADLの自立度がこのステージの判断を左右します。混同注意:ADLの自立度や介助の必要性でステージⅢとⅣを区別します。
- 5. ステージⅤは、車椅子生活または寝たきりで、介助がなければ起立・歩行が不可能な末期段階を指します。この患者はADLが自立しており、歩行も可能であるため、該当しません。正しくは:介助がなければ車椅子または寝たきりの状態の場合に該当します。選びやすい理由:非常に進行した状態であり、この患者の状況とは明らかに異なります。混同注意:末期的な状態であるため、比較的容易に除外できる選択肢です。
国試ポイント
パーキンソン病の重症度分類であるHoehn & Yahr(ホーエン・ヤール)の各ステージの臨床的特徴を正確に理解しているか、特に平衡機能障害の有無とADL自立度の組み合わせで鑑別できるかが問われます。
混同注意
Hoehn & Yahr分類のステージⅡとⅢ、およびⅢとⅣの区別が混同しやすいポイントです。ステージⅡはバランス障害なし、ステージⅢはバランス障害ありだがADL自立、ステージⅣはバランス障害がありADLに介助が必要、という点を明確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、患者の症状が「片側性か両側性か」「平衡機能(バランス)障害の有無」「日常生活活動(ADL)の自立度」「介助の必要性」の4つの観点から、それぞれのステージの定義と照らし合わせて判断できるようになるべきです。
関連知識
パーキンソン病の診断基準(MDS-UPDRSなど)、他の評価スケール(H&Y、病期分類、運動機能評価、ADL評価など)の知識、レボドパなどの薬物療法による症状の変化、リハビリテーション介入の時期と内容。